定年後の読書ノートより
外国語上達法、千野栄一著、岩波新書
来月、ウズベキスタンに出張することになっている。JICAでは、通訳を必ず準備するとの約束ではあるが、生活する上には、ロシア語をカタコトでも良いからマスターせねばと、この本を読み直した。結論からいえば、語学は大学受験と一緒で、いかにモード切り替えを素直に、手際良く行うか、それが上達のコツだと思う。

面白い話が紹介されている。千野先生は言語学者、身近に多くのバイリンガル、ポリグリットの知人をご存知である。だからいつもご自分の語学才能について劣等感を持っておられるとのこと。しかし、先生は長い語学生活からはっきり結論される。主婦がスーパーマーケットに出かける時は、必ず何をどれだけ買うかはっきり決めておられる。しかし学生はが語学学習といえば、読み、書き、話すベテラン達を夢想し、自分は駄目だとすぐに自信を無くしている。目標を明確にしていないからそんな悩みに苦しむのだと先生は強調される。

ヨーロッパにでかけると、レストランのウエイトレスは、ものの見事に、英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語を使い分けているのを見て日本人はいつも驚かされる。しかし彼女達が出来るのは、お客さんとのわずかな会話だけなのだ。身近な例で、日本航空のスチュアデスはきれいな英語で機内外国人と会話しているかのごとき印象をうける。しかし過日ハイジャック後の外国での記者会見で、飛び出す外人記者の質問に、スチュアデスは殆ど回答できていなかった。実力として、外人記者の英語を聞取る会話能力などは訓練されていないのだ。

要するに、語学習得のコツは、何をどこまでやるか、それを明確にすること。それは、とりもなおさず、この言語を何故自分は今勉強せねばならないかを、自分自身に対して明確にしていることが、先ず何より大切なのだ。

この言語学習の目的を明確にすれば、自ずと学習重点は語彙と文法にしぼられる。語彙は千語マスターすれば良い。しかしこの千語はいい加減ではなく、徹底的に内容を調べ抜き、おぼえこむこと。勿論一番頻度高い単語、千語を選び出さねばいけない。

文法の学びところは、子供に土産を買いたいという意志伝達に、「子供土産」と単語を並べても通じないが、「子供に土産を」とテニオハを明確にすれば、意志は通じる。これが文法を学ぶ目的だ。

この本は、昔一度読んだ。その後、幾つかの言葉を覚え、この著者の主張しておられることが正しいと再認識し、この度またロシア語をマスターしていく機会に読み直してみた。著者の考えに賛同である。

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