定年後の読書ノートより
小泉内閣の構造改革と日本経済、林直道著、雑誌「経済」
構造改善、構造改善と言っていれば、自民党の人気は上がる」と山崎は言う。国民は保守悪癖脱出の期待を小泉に秘め、拍手をおくり漠然と世直しを期待する。「構造改善とは、一体どういうものなのか」、国民は内容未理解のまま淡い期待を小泉に寄せる。

構造改善の中心は不良債権の早期最終処理である。何故、需要喚起ではなく、不良債権処理を急ぐのか。不況脱出は消費喚起ではないのか。公共投資による需要拡大は思わしい結果は出なかった。だから需要拡大による景気回復はダメで、不良債権処理による需要拡大が必要なのだという。誰がそれを言い出したのか。実はアメリカである。

不況が深刻化しそうなアメリカにとって、日本金融界の低迷を恐れる。日本が保有する米国債、社債売却を恐れる。そしてまた、不良債権投げ出しをアメリカファンドは待っている。中小企業の倒産や失業者の増大など、アメリカにとってはどうでも良いことだ。

不良債権処理による失業者の増大は100万人、従って失業者総数500万人。しかし竹中等は、つぶれるべき企業や銀行はしっかりつぶし、低効率部門より、ヒトと資本を引揚げ、高効率部門へ移動し、国際競争力を再生すべきと主張する。これが彼等のいう競争原理の貫徹である。そこにあるのは、露骨な強者の論理だけである。

労働者は富の世界から疎外され、中小企業は弱小の資本しか持たず、その上、権力の力で弱きものをつぶし、大企業には優遇処置を施す。かって近代経済学の流れにも、資本主義制度のもつ本質的な不平等性から目をそらすことが出来ず、独占の規制とか、労働者、中小企業への保護政策などによって、修正資本主義を施そうとしたが、竹中等にはそのあとかたもない。

それは資本主義的不公平・不公正競争の手放しの賛美であり、まさにそれは追いつめられた日本資本主義の危機の一表現ということが出来るであろう。この危機の克服のためには真の世直しが必要なのである。

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