定年後の読書ノート
四季折々・繊維つれづれ、山本裕彦著、近代文芸社
御幸毛織社長を2年間勤められた、元東洋紡化合繊原材部の山本裕彦氏、戸山高校、慶応経済、東洋紡績と誇り高きエリートコースを巻末で明記。氏は現役時代、仕事上の耳学問をせっせとノートされていたそうで、退職後これをリニューして出版された。

過日、日本繊維技術士センター(JTCC)東海支部総会に会友として挨拶された山本氏曰く、「技術士生涯学習を皆さんは嫌悪している。大きな間違いだ。自らを技術コンサルタントとする人が、1日3時間以上の勉強を重ねるのは当然です。ところで皆様に質問します。最近肌に涼しい繊維が開発されましたが、この中のどれだけの技術士の方がこのニュースをご存知ですか」この強烈なパンチに出席した技術士の皆さん、唖然。なかなか個性の強い方だ。しかし、耳学問的知識詰め込み繊維版知恵蔵と、「体系的実践知識」とは全く別の世界のもの。この違いを認識しないと、どうしても「ハサミとノリ」に過ぎないではないかと読者酷評は避けられない。営業マンにとって、雑学は極めて大切でしょうが、技術とは実践に寄与しない限り、その価値は評価されない宿命にある。この本もそうした意味では技術の世界の本ではなく、あくまで営業の世界の本でしょう。このことと関係あるかも知れません。現役時代山本氏が技術者をあまり正当に評価されてこなかった断面を、過日JTCC会場で拝見、あらためてもう一度、技術と雑学の違いを再認識し、技術とはもっと地味で、実践的で、寡黙な世界に生きていることを山本氏自身、ご認識頂きたいと思った。

さて、この本の、シルクロードの項目、取り出してみた。

交易路シルクロードは、毛織物と麻織物しか知らなかった西洋人にはロマンであった。紀元前4世紀、アレキサンダー大王東征の際に、西洋人は始めて絹織物と綿織物に接した。シルクはラテン語setaから派生。イタリアseta.スペインseda.ドイツseide.フランスsoie.ノルウエー・スエーデン・デンマークsike.イギリスsilk.

シルクロードの名付親はドイツの地理学者、フリードリッヒ・フォン・リヒトホーフェン(1833〜1905)。トルコ・アンタチオから中国・西安の7000kmを「ザイデン・シュトラーセ」、その後弟子のスベェン・ヘディンが、中央アジアの探検記を「シルクロード」と題名をつけ発表した。

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