定年後の読書ノートより
ロンドン科学博物館、世界の博物館8、講談社
ロンドン科学博物館を訪問したのは1991年9月25日だった。その日の午後、大英博物館と協同使用になっている収蔵庫を参観、ここを訪問出来たのは日本人として極めて稀なこと。これを機会に、ロンドン科学博物館と交信が始まり、やがてトヨタ産業技術記念館には産業革命のきっかけとなったアークライトのウオータフレームやハーグリーブスのジェニー精紡機及びクロムプトンのミュール精紡機等のオリジナルコピーを作らせてもらう。さらにその後、ロンドン科学博物館の方から豊田佐吉のG型自動織機展示をということで、1999年実物展示、今も我々のロンドン科学博物館収蔵庫訪問が達成した実績効果は大きかったと自負している。

ロンドン科学博物館は1851年、万国産業博覧会開催をもとに開館、年間200万人の入場者。展示重点は、イギリスを飛躍させた産業革命。産業革命とはジョンケイのフライシャットルに触発された技術革命、蒸気機関の改良による動力革命、蒸気機関車の発明による交通革命であり、経済の中心が農業から工業に移り、工場制機械工業が発達し、労働者が都市に集中、資本家対労働者の対立が社会の基本テーマとなるという過程をいう。

技術革命としての産業遺産は、1733年ジョン・ケイがフライシャットルを発明し織布作業を手動から解放するきっかけをつくり、1767年のハーグリーブスのジェニー紡績機、1769年アークライトのウオーターフレーム、1779年クロムプトンのミュール精紡機、1791年のカートライトが蒸気を応用した力織機を発明、これらの実物は収蔵庫の中に今も保管されている。この貴重な産業遺産を、我々はトヨタ産業技術記念館にレプリカ展示出来た。

動力革命としての蒸気機関は入口にでっかい1712年トーマス・ニューコメンの大気圧機関や1788年つくられたボウルトン=ワットのビーム型蒸気機関の実物が動態展示されている。ワット発明の調速器と凝縮器が実物で理解できる。

交通革命としての蒸気機関車、スチーブンソンのロケット号、この機関車がマンチェスターとリバプール間鉄道を馬にするか、蒸気機関車にするかで勝利した実物。会場には鑑賞レースに参加したサンバレー号の実物も展示。その他多くの蒸気機関車精密模型の展示も面白い。

ロンドン科学博物館は、大英帝国の基礎を作った産業革命に焦点を絞り、実物で、その機構を学べる実に素晴らしい科学博物館である。

ここをクリックすれば、読書ノートの目録に戻れます。