定年後の読書ノートより
勉強法が変る本<心理学からのアドバイス>、市川伸一著、岩波ジュニア新書
この本の最初に、素晴らしいキーポイントがさりげなく語られている。犬とはどんなものか、それを応えられるのが「日常モード」、平行四辺形とはどんなものか、それを応えられるのが「学問モード」。このモード切り替えを高校時代に如何に手際良くやりぬくか、これが高校時代の学習成績の決め手となる

自分の長男も次男も、中学卒業まではほぼ同じ成績水準で推移してきた。しかし高校入学後、長男の場合は3年間の成績はますます席次低下、大学受験では浪人1年を経てある私大へやっともぐりこみ、親としても随分とヒヤヒヤした。一方次男は長男と同じ近くの県立高校へ入学、どうしたことか突然成績は学年トップ、その後卒業までぐんぐん上昇、模擬試験では全国50位以内を常にキープ、理科一類も軽々と通り抜け、東大電子工学修士論文はオーストラリアで開催された光通信国際学会にて最高位の学術評価を得た。

同じ兄弟でどうしてこんなに差が出来てしまうのか、自分もかねがね疑問であり、高校生の後ろ姿を眺めなる度に自問を繰り返している。こんな疑問からこの度年甲斐もなく、大学受験勉強を心理学の立場から考察した東大教育学部教授市川伸一先生の岩波ジュニア新書を手にして、私の疑問に何等かの参考になるかと読み込んでみた。

高校で始る教科は、もう「日常モード」ではなく、「学問モード」に切り替っている。この本にひとつのモード例として、台形の話が取り上げられている。台形とはなにか、これを「日常モード」で応えようとしたら、とてつもなく難しい。しかし「学問モード」で応えれば、難なく応えられる。ここの違いが重要なのだ。この違いに気づくか、気づかないか、これが高校学習姿勢の分かれ目になる。いち早く、自分の考え方総てを「学問モード」に切り替えた人は、軽々と高校の教科をこなし、先頭をきって走ることも出来る。私の長男は「日常モード」から「学問モード」に切り替える大切さに気づかなかった。長男はどうも今も、この「日常モード」のままで、とにかく真面目に努力すれば道は自ずと拓けると信じこんでいるようだ。次男はこのモード切り替えを高校入学と同時に手際良くやった。2人の差がここから始った。

さて、2人の息子も、今や社会人。次はいかに「学問モード」から「社会人モード」に切り替えるかだ。もう親として何のサジェスションもしてやれない。いやそれどころか、私自身このモード切り替えをうまくやり遂げられなかった一人でもあり、何の忠告すら与える資格もないが、息子達2人、うまく「社会人モード」に切り替えをやりとげてくれよと祈らずにはいられない。

ここをクリックすれば、読書ノートの目録に戻れます。