定年後の読書ノートより
現代版ジャガノートとしての小泉「構造改革」、二宮厚美著、雑誌「経済」
小泉構造改革は弱肉強食・優勝劣敗の競争原理を物神化することだ。

市場原理に立脚した新自由主義的改革を進めること、これが構造改革のエッセンスである。「設備・雇用・債務の三つの過剰」、これを廃棄することが、不良債権処理の理由であり、目的となる。「つぶれるべき企業や銀行はしっかりとつぶす」というのが不良債権処理の第1の目的である。

金融市場は、資金過剰である。竹中は「不況の進行→不良債権の新規発生→不良債権残高の増加」というルートを評価していない。「景気が悪いから不良債権が増えるのであって、不良債権があるから、景気が悪いのではない」

不良債権の一気処理に取り掛かるのは、「構造改革ゆえに不況」をさらに深刻化する。

「設備・雇用・債務の三つの過剰」を破壊する過程で競争社会化を促進し、IT化を機軸にして産業・就業構造を変革しようとする流れ、すなわち「過剰破壊→競争強化→IT国家化→産業・就業構造の変革」という物語、ここで過剰破壊の競争強化の中で発生する失業、格差社会化に対し、セフティーネットの整備をするという。小泉構造改革がうちだした財政健全化策とは、国際発行30兆円以下という目標である。

過剰破壊優先型新自由主義が小泉構造改革案である。ここで、竹中は財政による不況対策を金融の量的緩和策に肩代りさせようとする意図がある。日銀が半ば強制的に通過供給量を増やそうとすれば、それはデフレ対策をこえて悪性インフレの道に入り込まざるをえない

ITはあらゆる部面において労働の節約をもたらす。広範な労働力の流動化・低賃金化をよびおこす。これは国民の消費の萎縮、内需の低迷に結びていて、不況要因に転化する。しかも過剰投資、過剰生産は、投機機会を拡大し、景気の振幅を激しくする。

企業がリストラに邁進し、雇用・賃金のカットに乗り出すと、それが個々の企業の利益になるかもしれないが、社会全体としては、所得水準が落ち、消費が冷え込み、やがては経済全体を不況に落しいれる

サービス業に競争原理を持ち込むと、人件費削減となり、雇用が減少する。ルモンド紙曰く「日本人は小泉氏を信ずることで、ばかげた幻想を抱いている」。

インドにジャガノートという巨大な山車があった。この巨輪に轢かれて死ぬと極楽往生するという迷信があり、祭りの最終日、多数の老若男女が自ら身を投げ出してこのジャガノートの餌食になった。小泉ブームはこのジャガノートへの投身願望、一種の集団ヒステリー現象の扇動とみなすことができる。

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