定年後の読書ノートより
レオナルド・ダ・ビンチ博物館。世界の博物館15、講談社
イタリア・ミラノ・レオナルド・ダ・ビンチ博物館を訪問したのは、1991年10月6日だった。この講談社世界の博物館シリーズには、イタリアではレオナルド・ダ・ビンチ博物館が編集されているが、ローマでは、バチカン博物館とローマ国立博物館を訪問した。バチカン博物館のスケールの大きさ、そして参観者の多さには驚いた。特にシスティナ礼拝堂の正面を飾るミケランジェロの名作「最後の審判」は感動的だった。ローマ教会がかって、ヨーロッパにどれほど大きな権力を持っていたかを、この壁画が教えてくれる 残念ながら、このシリーズの中には、バチカン博物館は編集されていない。

レオナルド・ダ・ビンチ博物館を訪問した目的は、我々はどのような技術博物館を創るべきかを検討するためだった。レオナルド・ダ・ビンチ博物館は、1953年レオナルド・ダ・ビンチ生誕500年を記念し、建てられた博物館で、有名な彼の手稿を基に、レオナルド・ギャラリーがメインとなっており、手稿に描かれた天才的デッサンを基に、各種の模型を作り、レオナルドが、飛行機を、自動車を、船を、様々な機械をどう考え、具体化しようとしていたかを興味深く見せてくれる。この講談社の世界博物館シリーズにも。その内の幾つかが写真でも紹介されている。

レオナルドノ芸術家としての仕事は、15世紀イタリアラファエロ、ミケランジェロ、ボッティテェリ等と共に盛期ルネサンスを飾り、レオナルドの鋭い自然観察眼に基く「最後の晩餐」「受胎告知」「岩窟の聖母」「モナ・リザ」等が有名だが、同じミラノ、ブラツィエ教会に飾られている「最後の晩餐」は当時絵画補修中であり、参観することは出来なかったのが残念だ。

レオナルド・ギャラリー入口には、有名な「神聖な比率」が大きく掲げられ、模範的な人体各部の比率デッサンがガラスにプリントされている。ギャラリーに飾られている模型の数々とは、はばたく飛行機(腕と足を使って翼を羽ばたかせる)、近代的な差動装置を機構化した2つの駆動装置を交互に使って運転させる自動車、レオナルドが計算によって1辺7mと求めた四角錘パラシュート、ボートに翼をつけた空とぶ船、オルゴールの原理となったからくり太鼓、濠の底をしゅんせつするしゅんせつ船は現在も使われている機構だとか。戦争の用具として活用した投石器、弾石器、大砲、小さな力で開閉可能な運河水門、これらの機構のひとつひとつが15世紀の天才の頭脳にひらめいた事を思うと感動的。

ルーブル博物館モナ・リザの前には、大勢の観客が、名作を見ようと黒山の人となっている。しかし、天才デオナルドが、15世紀のイタリアで、技術の神様であったことは、多くの人々はご存じない

ここをクリックすれば、読書ノートの目録に戻れます。