定年後の読書ノートより
シルクロードと日本文化、森 豊、白水社(1982年初版)
著者森豊氏の博識に導かれて、日本文化とシルクロードを実にダイナミックに紹介していただける本。読み始めたら止まらない。ぶらりと古本屋で購入してきたが、こういう本に巡りあえるから、古本散策も楽しい。

例えばゾウの話。日本にゾウがもたらされたのは、室町時代1408年。若狭国へ漂着した南蛮船が積んでいたそうだ。第2回目は1574年、第3回目は1574年、明船が九州にゾウとトラをもたらし、第4回目は1602年ベトナムから徳川家康に贈られ、第5回目は、清国人が1728年長崎に牡牝2頭連れてきたが、牝象は長崎で死んだが、牡象は山陽、東海道を歩き、京都で中御門天皇、江戸で将軍吉宗に拝顔出来たそうな。しかし第6回1813年オランダ船が長崎に象を持って来た時、幕府は用なきものとして、持ち帰らせ、第7回、1863年アメリカ商船が横浜に持って来た時は、江戸両国橋詰で見世物をして、江戸町民の人気者となったとある。

この調子で、シルクロードを通じて日本文化はどのように移入されてきたか、詳細に話は進む。

シルクロードと正倉院宝物の話は誰もが一番興味を持つところ。著者森豊氏は、752年4月9日大仏開眼供養の盛儀がいかに国際的な一大ページェントであったか、この日の楽舞の有り様を読む者にリアルに見せてくれる。この国際的な音楽と舞舞と劇が大仏殿の前で展開され、臨席する天皇の近くには、中国、朝鮮、中央アジアからのメンバーに混ざって、736年遣唐使船に乗ってやって来た一人のペルシャ人、李蜜嬰医師も参席していたとのこと。

こんな本を1冊相手に、1日寝転がって読みはじめたら、読書って実に素晴らしいと実感する。

ここをクリックすれば、読書ノートの目録に戻れます。