定年後の読書ノートより
タリバン,アハメド・ラシッド著、講談社(2000/10初版、2800円)
全世界が注目するアフガニスタン謎のタリバンとテロリストウサマ・ビン・ラディン氏を追跡したノンヒクション大作。全412ページ。今世界で、このノンヒクション以上に、アフガニスタンを徹底的に現地調査したレポートはない。

著者アハメド・ラシッド氏は1946年生まれ。ケンブリッジ大学卒業。パキスタンの有名なジャーナリスト。英BBC、米CNNのレギュラー解説者。講談社から最近「よみがえるシルクロード国家」を発行している。

ノンヒクションの主なテーマは、「タリバンは国際政治のミステリーを解くカギ」とある。目下アメリカが、全世界の支配ネットで、追跡しようとするテロリストウサマ・ビン・ラディンの潜伏先を詳細に紹介する。タリバンがどんな経過で、アフガニスタンの国家90%を占領したか。そこではどんな政治が行なわれているか。最高指導者ムラー・オマルとはどんな人物か。各国情報機関と大石油資本の策謀はどのよな思惑と駆け引きで展開されているのか。密輸、麻薬が横行する「アフガン回廊」とは。超イスラム原理主義をふりかざす過激な「聖戦」がもたらす影響とは。こうしたテーマが全編張り詰める。

1989年ソ連軍が撤退したあと、ナジブラ大統領の政権が続く。1992年ムジャヒディンがカブール占領、タジク人ラバニとウズベキ人ドスタム将軍。パシュトゥン人勢力は300年のカブール支配権を失った。1994年タリバンが出現した時、アフガニスタンはばらばらな状態だった。軍閥は裏切り、流血、動揺が絶えなかった。イスラム法を前面に、アフガン難民キャンプマドラサ学生タリバンは登場。タリブとはイスラム学生のこと。タリバンがどんな虐殺行為を重ねて権力を把握していったか、その実態はこの本に詳しい。「タリバン」についての初めての本格的ルポルタージュが本書。

中央・南西アジアの歴史、民族、文化、そして新たな石油、天然ガス資源も絡む複雑な国際関係を分析しつつ、この過激なイスラム原理主義運動の全容を明らかにした。発行後間もなく「ニューヨーク・タイムズ」「サンデー・タイムズ」を始め、各国新聞書評で大きく取り上げられ、高い評価を受け、注目されている。

この本は、昨日名古屋書店で見回ったが、丸善に1冊残っていただけで、各社売り切れ、次回配本待ちとあった。アフガンを語るには、この本は必読だ。

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