定年後の読書ノートより
戦争と平和(第2巻、第1編)、トルストイ著中村白葉訳、トルストイ全集
小説「戦争と平和」の登場人物約2千人。読了するには1ヶ月を要するという。話は幸福とは何か、生きるとは何かを問いかけて展開していく。トルストイは全ての人物の何もかも知りぬいている神の立場からこの小説を展開している。この小説を読むに際し、もっとも基本的なこと、それはトルストイに対して絶対的な心服がなければこの本を最後まで読みきることは絶対に不可能だろうということ。

自分はいま各巻、各編、各章ごとに、登場人物の名前と共に、登場人物が何をし、どんな展開になっているか、克明にメモを取りながら読み進んでいる。こうしないと登場人物の名前さえ理解出来ないし、従ってストーリは全然理解不可能になってしまう。しかもこの小説、進めば進むほど、このメモは詳細にならざるをえない。今自分は世界の大古典作品に挑戦中なのだという緊張感が毎日続いている。

ピエールは、妻エレンが自分の若き不良仲間ドーロフと不義密通しているといううわさに悩んだ。ピエールは美人で淫蕩なエレンと寝室のことは、自分の快楽と自慢そのものであった。あの女の威厳と美貌は自分の誇りである。俺はあの女の性格に思いをひそめながら、あの女を理解できない。あの女の肩をあらわにした、欲情にぬれたものうげな目を、強烈な自分の内面に秘しながら、ピエールは妻への怒りにどうすることも出来ない。

ピエールは嘲笑うドーロフの態度に耐え兼ねてついに決闘にいたる。ピエールはドーロフを銃で倒した。ピエールはその足で妻のところに出向き、「別れ」を決意する。「別れるですって、どうぞ。ただし私に財産をくださるならよ」とエレンは言った。「別れるですって、ふん、それが脅し文句なの!」。妻の言葉にピエールは怒りに燃えた、ピエールはソファからはね起きる。そしてよろめきながら彼女にとびかかろうとした。

1週間後に、ピエールはその財産の半分以上を占めている大ロシアの全領地の管理委任状を妻にわたして、1人ペテルブルクを去った。

夫アンドレイを待ちわびて、戦死の報からも遠くにあった公爵夫人リーザは我が児出産と共にこの世をさる。夫アンドレイが奇跡の復帰をしたというのに。ドローホフに4万3千リーブルの大金を賭博負けしたロストフ、父親に泣き詫び大金を仰ぐ、話は正に神トルストイだけが知っている人生というものの、真実の姿をありありと我々の前に描き出してくれる。そこには生きる人間の姿をじっと鳥瞰しているトルストイの姿がある。小説「戦争と平和」はまだ半分にも読み及んでいない。

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