定年後の読書ノートより
戦争と平和(第4巻第2部)トルストイ著、工藤誠一郎訳、新潮文庫
いよいよナポレオン敗走が始った。クトーゾフ大公の老成した軍人の目。

ナポレオンの敗走が始った。報告を深夜持参したボルホビチノフ、すべてを語り終えると、沈黙して、命令を待った。トーリが何か言い出しかけると、クトーゾフはそれをさえぎった。彼は何か言おうとしたが、ふいに目が細くなり、顔がしわくちゃになった。彼は、トーリに片手を振ると、顔をそむけ、たくさんの聖像が飾られているために黒っぽく見える奥の正面に向き直った。「主よ、我等の神よ!よくぞわれらの祈りを聞きとどけてくださりました…」と彼は合掌し、ふるえる声で言った。「ロシアは救われました。感謝いたしますぞ、主よ!」そして彼は泣き出した。

ここまで読んで自分自身も胸が急に熱くなった。トルストイのロシアを愛する気持ちが自分にまで伝わってきた。

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