定年後の読書ノートより
何を大切に生きていくのか、吉田千秋説話、名古屋哲学セミナー4月13日
何を大切に生きていくのか、人生における価値観、これが人間の行為の原点になる。

価値観は歴史的、社会的影響を常に受けて変化する。社会システム全体構造が変れば、価値観は変る。人生にとって本当に大切な物、常に変わらず永遠に大切な物という規定は有り得ない、そして今、我々が求めている人生の豊かさとは社会変化の中で考えて行かねばならない。思えば高度経済成長崩壊の中で、我々の私生活中心主義の幸福感は行き詰まり、横のつながりがないと自己保身すら不可能だという流れがでてきたにもかかわらず、いつのまにかこの流れも消え、いまや若者を主体に仕方がないという諦めの哲学が横行している。

真剣になって、人生には何が大切かを問うこと自体、馬鹿げたことだという風潮が出てきている。今の日本には、何が大切かを問う、主体的精神のヒマすらない状況、考えること自体がゼイタクという風潮がある

効率を求める論理は時間の管理から始る。時間管理は効率化を求める企業の論理でもある。こういう状況の下では、主体性を発揮することが困難になってくる。こうした状況下は、企業の論理を崩していくのは、働く者の力で変えて行かない限り、企業の言うままになってしまう。所有することが大切だというのは、作られた価値観である。神戸大震災で全てを無くした人が、始めて家族のアルバムこそ大切だったと気づく状況からも我々は教えられる。人間は失って始めて本当の価値が判る。

大切な物とは何か、その中味を良く吟味することが大切だ。

社会システム全体構造が駄目な時、物を求めて、背伸びする前に、自然体で考えなければならない。実践的な考え方として、出来ることをやってみる、お互い手を伸ばし、お互いのつながりの中で、何が大切なのか、中味を吟味することが大切なのだ。

競争に勝つことが大切というのは、企業論理のエリートが持つ立場の考え方だ。しかし、ペイペイの立場=弱者の論理、下町からの視点でないと見えないものがある。

次の世代に戦争の体験を伝えるのは、ますます難しくなってきた。しかし一人一人の命が大切だという考えを世代を通じて共有していきたい。

企業社会では、人々の欲望を刺激して、何が大切かを見えなくさせている。だからこそ自己制御が重要になってくる。何が大切か、それをどうやって掴むか。

物は本当に豊かになっているのか。欲望選択能力、これを築かねばならない。人間らしく生きる、そこには一定の条件がある。最低限安心して生きていけること。最低な生活がきちんと保障された人生、しかし世の中には最低の条件すらも充たされない人々が一杯いる。その視点にたって、人間らしく、一人の市民として、先進国という枠組みを越えた、広い立場で即ち人類の一人として、物を見つめ、かつ常に、自己の狭い範囲でキチント生きていきたいものだ。

Think global ,and act local and global !

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