定年後の読書ノートより
学生運動の軌跡−20世紀の日本―、TBS報道部監修、小学館ビデオ
反基地、反安保、・・・・ベトナム反戦運動で盛り上り、全共闘運動となって全国を席捲した学生運動が、東大安田講堂事件を頂点として、内ゲバ、テロ活動に変質し、衰退していくまでの映像記録。

映像順に、朝鮮戦争勃発・警察予備隊〜自衛隊発足・血のメーデ・破防法反対闘争・砂川闘争・60年安保闘争・ハガチー米大統領秘書来日阻止闘争・国会突入・樺美智子さんの死・第1次羽田闘争・ヘルメットとゲバ棒の登場・米原子力空母エンタープライズ寄港阻止闘争・王子野戦病院開設反対闘争・成田空港建設反対闘争・国際反戦デー新宿騒乱事件・日大学園民主化闘争・全共闘のたかまり・早大学費値上げ反対闘争・大隈講堂機動隊突入・東大闘争・ゲバルト訓練・民青対全共闘・神田解放区・東大安田講堂機動隊突入・ハイジャック犯独占インタビュー・日本赤軍結成・成田新空港建設強制代執行・相次ぐ爆弾テロ・浅間山荘事件・連合赤軍リンチ殺人事件・三菱重工ビル爆破事件。成田新空港管制塔占拠、ほか。

過日西部の「60年安保」で要約した如く、当時の学生運動には2つの流れがあった。反共に徹して、暴力を是認し、造反有理を叫び時の体制にショックを与えれば、騒乱は連続発火していくとし、暴力は正義だとする通称反共トロッキストグループと、他のひとつは、圧倒的多数の学生がこちらのグループに属していたが、米国従属の支配体制と闘っていくには民主主義を前進させ、暴力ではなく大衆行動によってこそ政治は変えられるとする共産党の考えを支持するグループの2つがあった。2つのグループの学生運動は対称的とも評されるほど何事も対立していた。映像の学生運動は、まむしの頭の部分の映像のみであり、くねくね前進する胴体部分に相当する、多数の学生達が参加した民主主義こそ大切だとする学生運動の映像部分は殆ど写されていない。しかし映像が毒のあるまむしの頭の部分に集中しているからといって、これが学生運動の全てであるかの如く編集されては困る。

自分は学生運動の活動家と言われた人達がその後どんな人生を歩いていくかに常に大きな関心を寄せている。かって「60年安保」を共産主義者同盟という反共グループに属して参加した人達のその後は過日西部の本で明らかな如く、大半の人間が、学者というかくれ蓑を被って右翼論客として、歴史教科書問題等で盛んに暴れて、今も体制側に手を貸している。

他方、民主主義を唱えた学生達のその後はどうなったのか、自分の周りを見渡すと今も陽の当たらない反体制運動の中で、必死に本物の民主主義をと叫んで頑張っている友人もいる

どちらが本物か、それは人生をもうじき終ろうとしている自分には、はっきり見えてくる。ニセモノに焦点をしぼり過ぎたこうした映像記録の影に、いつも黙々と民主主義こそ自分達の未来を開くと信じて闘っている人達が大勢いることをわすれてはいけない。

ニセモノ達は言うだろう、俺達がやったあの闘争は青春の正義だったと。しかし、民主主義をコツコツと求め続けている人達は、ゲバ棒もヘルメットにも縁がないが、今も地球環境の危機を訴えたり、子供の教育にもっと大きな関心を求めて地味な地域運動をすすめたりして、決して映像には登場してこないが、本当はこういう人達こそ歴史の主人公だと思う。

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