定年後の読書ノートより
フランス文学案内、渡辺一夫・鈴木力衛著、岩波文庫
渡辺一夫先生の「まえがき」が素晴らしい。

フランス国民は、自分の国の言語を美しく、正確なものにしようと、今も意識的に、意欲的にフランス語を大切にしている。フランス文学の特質は、社交的で社会的だ。社交的とは、フランスでは作品を聞く人、読む人によく理解されて、快い印象を与えているかどうかを非常に大切にしているからであり、社会的とは、例えば「赤と黒」では、ナポレオン没落後から王政復古にかけての, よどんだ社会の空気の中で、野望を満たすことができない青年の悶々とする姿が鮮明に描かれていることからも判る。

フランス文学は、人間に関する連続講義であり、人間学の教程である。フランス文学のどのページにも、人間が描かれており、いかなる動機、いかなる状景が人間を動かすか、魂の神秘さの奥を描き出す。フランス文学は人間の赤裸々の姿を描き出す。

  • ガリヤ地方で使われたラテン語が、9世紀ロマン語、12世紀フランス語となった。
  • ユマニストとは、聖書原典を学び、キリスト教本来の姿に戻れ、人間性を重視主張。
  • デカルト「方法序説」一見カトリック教理に合理的根拠を与えたように見えるが、合理主義批判精神故に、既成概念、信仰を破壊することも有り得る点に同時代人気づかず。
  • モリエールの演劇観;規則に外れた作品が当たりをとったとしたら、それは規則が悪い
  • モンテスキュー「法の精神」、イギリス憲法を紹介することで絶対王政を動揺させた
  • ディドロ「百科全書」;政府、教会からの弾圧にも関わらず、啓蒙主義を貫いた
  • ボルテールとルソー;人間の理性を主張するか、社会契約論での自然のままの人間か
  • 1789年フランス大革命;貴族と聖職者は特権を失い、ブルジョアジーは支配権握る
  • ロマン主義とは古典主義によって作られた規範や制約を取り除き、自我や感情を解放
  • 写実主義;社会を仔細に観察。生きている人間を描こうとする。詩は高踏派
  • 自然主義;写実主義に科学的根拠を与えようと人間の姿や人間と社会の関係に切り込む
  • ヴィクトル・ユゴー;フランスロマン派の偉大な詩人
  • 自然主義文学の開祖、バルザック「人間喜劇」
  • ダダイズム;従来の詩歌を徹底的に否定し、はがて自ら自体すら解体
  • シュールレアリズム;現実を否定し更に高い精神的現実を追求
  • ベルグソンの哲学;自我の奥底に潜む自由を探求する考え方=ブルースト「うしなわれし時を求めて」現実とは記憶の中にのみ作られる
  • 実存主義;人間が人間であろうとする前に、自由な形の人間がそこにあるという考え方

ここをクリックすれば、読書ノートの目録に戻れます。