定年後の読書ノートより
イスラムの世界、吉田光邦、藤本勝次、勝野猛、坪内良博、牟田口義郎、矢野陽、大阪書籍
イスラムに関して一番深く迫っている。1982年朝日カルチャセンター大阪講義より。技術史で著名な吉田光邦先生が、日本でも数少ないイスラム学者だったとは知らなかった。吉田先生の講義は、日本史におけるイスラムとの接点が文献により明らかにされる。こうした研究も如何にも吉田先生らしい。この本の圧巻は、牟田口先生の「パレスチナ問題の背景」。
  • 紀元1世紀、多神教のローマ帝国に反逆した、1神教のユダヤ教徒は破れ、国外追放。
  • ディアスボラ、離散はいつの日かシオンの丘へ、旧約聖書を歌って宗教思想は残った。
  • 1880年代ポーランドではボグロムが激しくなり、ブングリオン等パレスチナに戻る。
  • ロスチャイルド家開拓資金提供、バルフォア宣言にて英国はユダヤ人パレスチナを認証
  • トルコへの反乱に決起させるため、英国はアラブ指導者と「フセイン・マクマホン書簡」結ぶ
  • 英国はフランスとの間に、「サイクス・ピコ協定」を結び、オスマン・トルコ帝国を露仏英分割約束
  • 英国の三枚舌、当時パレスチナは先住民族有りとは考慮外。シオニズムは帝国主義手先
  • パレスチナはイギリス委託統治。シオニストは武装民族郷土建設。アラブ人の反発。
  • シオニスト、アラブ民族より反英、反仏。ヒットラーのホロコースト。シオニズム運動
  • イギリスパレスチナ放棄、国連パレスチナ分割決議。国連2/3で採択。欧米中心主義
  • 1948年第1次中東戦争。スターリンのイスラエル支援。パレルチナの8割を占領
  • 1956年第2次中東戦争。エジプト王政打倒よりアラブ民族主義。ナセル登場。
  • 1967年第3次中東戦争。イスラエル圧勝、ナセル威信崩壊。PLO誕生。
  • 1973年第4次中東戦争、サダト戦。石油戦略。OPEC石油価格引き上げ。
  • 和平会議キャンプデービッド。イスラエルはシナイ半島より撤退。パレスチナ自治暗礁

以上の歴史推移をこうしてまとめてみるのは、今日アメリカのテロ撲滅の闘いの時代的背景を知る上でも、重要である。イスラエルの存在は、当初より一貫して帝国主義の尖兵としての役割があったこと、そしてイスラエルとアラブの背景には、アメリカの巨大支配勢力があること、こうした世界戦略に現在ではもうソ連というもう一つの極がなくなって、力のバランスが大きくアメリカ1極に傾いていることが、これからの世界戦略を難しくしている。

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