定年後の読書ノートより
資本主義はどう変るか、工藤晃著、1992年12月新日本出版
この本を読む前に、レーニン全集、第38巻「帝国主義論ノート」を覗いて驚いた。レーニンは「帝国主義論」を書き上げる前に、世界の主要経済論文300冊ばかりを実に綿密に読み、これをノートし、さらに詳細なデータを自分なりに解析している。ノートの実物写真も付図されているが、実に綿密に、びっしりとページ一面書き込まれている。とても、西部や栗本あたりのチンピラが軽薄な書き物を書きなぐるのとは、次元が違う。

先達者はすごいと改めて感服した。それだけに、東京大学理学部地質学科出身の工藤氏が、中央委員会きっての経済専門家として、バブル経済崩壊を科学的社会主義の立場から、徹底的に論じた本書は、一度読み終って、これで終りというわけにはいかない。

この本の見出しにはこんな言葉が印刷されている。

今日の資本主義に特徴的なのは金融資本の支配であり、「バブル」経済であり、金融スキャンダルであり、その崩壊と不況であり、それをまた金融資本的に打開しようとする景気対策の性格である。

「バブル経済」の最終的なまとめは次の2つである。

第1に、資本主義生産様式に内在する信用制度の発展が、生産力の発展を促し、生産の社会化を促し、過渡的形態を生み出すと同時に、資本主義の矛盾が保持されるため、「私的所有の無制限な私的生産」=詐欺・不正・ペテンで金もうけをする、がいよいよ大規模にあらわれること

第2に、第2次大戦後の資本主義の膨張が、IMFの国際管理通貨制度、その後の変動通貨制、国際金融市場の形成、資本の大規模な国際間の移動など、国際的信用制度の発達、国際間の信用のいちじるしい膨張とむすびついてあらわれたこと。それゆえ、最近の南北問題や、アメリカ経済の衰退などの矛盾の新しいあらわれ方になった。

工藤氏は書いている。

マルクスが「資本論」第3巻の中で明らかにした資本主義の歴史的傾向、資本主義の高度に発達したときの未来像が、現代資本主義を分析するとき非常に重要な方法になったと。

この本は、バブル経済崩壊を論じたものだけに、株式の動きについて、実に詳細に書き込まれている。経済に関して、文字通り門外漢である自分にも、株で何故儲けられるか、良く理解できた。

自分の本箱には、以前購入し、まだ読み終えていない、工藤氏の「現代帝国主義研究」がある。これを機会に是非読まなければと思う。

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