定年後の読書ノートより
再生産論と恐慌(1)、マルクスの理論形成の道筋をたどる、不破哲三著、雑誌経済
  • 資本主義経済のもとで何故恐慌が起きるのか。生産力の無制限発展の衝動を消費の狭い限界との矛盾、衝突。マルクスはこの矛盾を資本主義生産に内在する根本的な矛盾と意義づけた。
  • しかし、「生産と消費との矛盾」と再生産論との有機的な関連は「資本論」では十分な解明があたえられていない。
  • 恐慌の可能性を現実性に転化させる仕組みや、その運動過程について、マルクスがどう考えていたのか。
  • 「資本論」にマルクスが書く予定で書いていないミッシング、リンクとして、再生産論と恐慌の関わりがそのまま遺されているのではないか。
  • 「資本論」の準備としての「1857年〜58年草稿」「経済学批判(1858〜59年)」「1861年〜63年草稿」をもう一度読み直す必要がある。
  • 「資本論」は第3部(1863〜67)、第1部完成稿(1866〜67)、第2部(1865〜81)従って理論形成は時間経過とともに検討しなければならない。
  • 1848年「共産党宣言」での恐慌論は資本主義にとって致命的意味を持つとしながらも、経済学的な解明を行ない、理論的な発展はしてない。
  • 再生産論及び恐慌論に関するマルクスの問題意識は「省察(1851)」に伺われる。ここでマルクスは資本主義的生産様式の生産の無制限的拡大が恐慌をおこすとし当時恐慌は個人的消費の縮小から始るとする過小消費説をマルクスは斥けた。
  • マルクスが再生産論や恐慌論に本腰を入れるのは、「61〜63年草稿」以後である。「経済学批判」では「資本一般」を研究するという視点。この論理内から資本の運動法則を研究開始。
  • 57〜58年草稿」では貨幣論を展開するなかで「恐慌の可能性」を提起。購買と販売が分離する中に恐慌の可能性を見た。購買と販売との分離が産み出す矛盾を強力な爆発を通じて解決するのが恐慌である。
  • マルクスは貨幣流通を分析して、単純な商品交換の段階にすでに恐慌の可能性がひそんでいると解明した。
  • 資本論商品流通ではこの論理が発展して書かれている。マルクスは最初の草稿ですでに必要なことをすべて考え抜いていたことがわかる。
  • NB。 1850年よりマルクスは亡命先のロンドンで経済学の勉強を猛烈な勢いで開始した。朝の4時まで夜を徹して勉強、その研究内容は、1:経済学の要綱をつくること、2:恐慌のノートをつくることをテーマとしていた。
  • しかし、マルクスは経済学の勉強にはうんざりした時もあったようだ。1851年のエンゲルスへの手紙には、経済学のごたごたは早く片づけ、今後家では経済学、大英博物館では外の科学を勉強したいともらしていたし、事実ロンドンノート(第15〜18分冊1852年)には、ベックマン、ホッペ、ユーリウス、ユアなどの技術史、技術学史の抜粋が残されている。こうした産業革命における技術史の研究は、その後資本論の中で具体的に展開されているし、本件を研究した玉川」寛治先生の「「資本論」と産業革命の時代」(新日本出版社)は、是非お薦めの必読署。小生の「資本論」学習の原点もここにある。

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