定年後の読書ノートより
再生産論と恐慌(2)、マルクスの理論形成の道筋をたどる、不破哲三著、雑誌経済
  • 再生産論とは、営利を求める私的資本による商品生産も、全体として社会的分業が編成され、物質的生産、消費活動が反復される。この再生産の条件や法則を解明するのが再生産論。フランスケネーの経済表を最初の体系とし、マルクスは恐慌に遭遇したイギリス産業資本の社会的再生産の総括図式を「再生産表式」とした。
  • 再生産表式とは経済循環図式をいい、商品価値=不変価値+可変価値+剰余価値に分け、それらを生産手段生産部門、消費手段生産部門に大別し、総括する。
  • 57〜58年草稿」を詳細に読み解いていく不破氏は、その過程でマルクスの発想法というべき論理構成を見つけ出す。即ち、マルクスはすでにこの段階で、資本論の論理をクロッキー手法で、どんどん草稿に書き進んでいたことが明らかになる。
  • 草稿では、資本が貨幣形態から商品形態(生産手段+労働力)へ転化し、生産過程を経て、商品形態から貨幣形態(生産物の販売)という過程をとおり、価値増殖が果たされる仕組みを明記している。ここに「偶然性」「内的統一性」という再生産論にいたる思考の原点がある。
  • 資本は流通過程において、絶えざる拡大を絶対条件とする。流通は生産の一契機へと変容する。あらゆる制限を突破して生産を発展させると言う点で、資本主義が人類の歴史の中で革命的意義を持つと力説される。
  • 資本主義の無制限的な発展は、資本主義生産様式の歴史的使命、歴史的任務、歴史的存在理由である。こうして資本主義生産様式の根本矛盾を、まず資本主義観の基本的な観点としてとらえるという見地が必要。
  • あらゆる限界を乗越えて突き進もうとする資本の内的傾向と、その結果ひきおこされる過剰生産、過剰投機のうちに恐慌現象を理解するカギがある。
  • 資本が自分の生産過程では、労働者を、資本対労働という本質的関係における労働者として扱い、その賃金を出来るだけ制限しようするが、他の資本家のもとの労働者、結局は労働者全体は、自分の商品を購買してくれる消費者として扱い、出来るだけ大きな消費力を持つことを望むし、そこに自分の商品の大きな需要が存在しているような幻想を持つ。
  • 何故資本家が比率や均衡を越えた生産に、駆り立てられるか。マルクスは生産が比率を乗越えて拡大する動機として、諸資本の競争という役割に注目している。
  • マルクスは資本主義が内包する矛盾を指摘するが、資本主義が自動崩壊する期待なぞ全然持っていない。資本主義生産に終止符を打てるのは、高度の破局の繰り返しの中で、社会を変革する力が準備され、歴史に働きかける人間の自覚的な活動によってであることをこの草稿の中でも指摘している。

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