定年後の読書ノートより

再生産論と恐慌(第4回)、不破哲三、雑誌経済4月号
マルクスは資本論を仕上げる以前に、膨大な草稿ノートを作りあげている。恐慌に関する理論展開はすでに「1857〜1858年草稿」「1861〜1863年草稿」に資本主義では過熱、バブルが恐慌に先行し、生産の異常な増大や過剰投機のうちに恐慌の接近の確実な指標をみると書かれているが、草稿ノートというものでは、研究論文を論理的に積み上げて問題の解明に迫っていくという性格のものではなく、思考の順序や、文脈をたどるのも容易ではない。それだけに、今回雑誌経済で不破さんが我々が資本論を読む事前知識としてノートに展開されている理論を解説しておられるのは、我々にとってマルクスの理論確立過程を歴史的に学ぶことが出来本当に素晴らしい機会だと思う。

草稿ノートの第11分冊〜13分冊はリカードの研究というタイトルになっているが、ここにおいて、マルクスは再生産論と恐慌に関して貴重な論文を幾つか残している。

資本主義経済では、恐慌という形で矛盾の解決が避けられないのは何故か。マルクスはまず「生産と消費との矛盾」を挙げている。この意味は、資本家は、自分の生産物を消費するお客さんとして労働者たちが大きな購買力を持つことを希望しながらも、またそれを期待して生産の拡大に走るのでだが、それぞれ自分の企業の中では、搾取の実を出来るだけ大きく上げようとして、労働者達の消費を制限することに努める。この矛盾のなかに恐慌の「基礎」「根拠」「原因」があることをマルクスはつきとめた。

恐慌の最大の特質は、生まれた不均衡が是正されないままに累積してゆくことにある。その累積が過剰投機となって現れる。この過熱現象はなぜおきるか、そこに至る運動形態と仕組みの解明にこそ、恐慌論の基本問題があるというのが、マルクスの問題意識でした。

マルクスは、なによりもまず必要なことは、不変資本の再生産を明らかにしていくことだと述べている。マルクスはケネーの「経済表」に大きな刺激を受けて、自分の経済表を作りあげていく。再生産過程の進行のなかで、不均衡が大きく拡大し。強力な手段(恐慌)によって、均衡化を実現するほか均衡化への道がないとも述べている。

この過程で、経済学者は恐慌によって恐慌を説明するという過ちを犯しやすい。レーニンも、恐慌の可能性を指摘して、恐慌を生産の無秩序から説明しようとしています。生産の無秩序とは、生産の無政府性ということで、これは資本主義的商品生産に内在する恐慌の可能性の一形態に過ぎない。

マルクスが恐慌の根拠としてとらえた「生産と消費の矛盾」の根底には、資本主義的生産方法の根本矛盾があります。生産の無制限な拡大への衝動と傾向、他方では剰余価値の生産を目的とする資本主義経済の固有の制限と限界、この矛盾は人類史のなかに、生産力の飛躍的な発展の一時代を産み出した資本主義的生産様式の歴史的使命と労働者階級、人民大衆の犠牲によってしかこの使命をはたせないこの生産様式の限界性とのあいだの歴史的な矛盾である

ここをクリックすれば、読書ノートの目録に戻れます。