定年後の読書ノート
再生産論と恐慌「第8回」、マルクスと資本論、不破哲三著、雑誌経済8月号
1865年末、マルクスは資本論第1部より第3部まで原稿を書き上げた。その後、清書と文体調整の仕事にかかり、1867年7月資本論第1巻が公刊された。ここで第2部、第3部は未完成のままの状態で、第1部のみの公刊には、どんな事情があったのでしょう。理論展開の筋道は、すでに構想されていたのは当然と不破さんも書く。特に恐慌論は資本論の柱であるから、資本の生産過程のみならず、資本の流通過程、資本主義生産の総過程にも通ずる重要問題だから、第2巻、第3巻は非常に大切だと不破さんも書く。

しかし、この問題は触れずに不破さんは、第1編で取り上げられる市場経済の研究は恐慌問題での理論展開の基礎をなすきわめて重要な意義をもつと進んでいってしまいます。

恐慌論の展開にとって、生産の無制限的な拡大の傾向と、労働者階級の消費の問題が重要であると説く。そして、「剰余価値の生産」を推進的動機とする体制に問題ありと説く。

商品経済の基礎をなすのは、社会的分業であり、この体制下では、販売の相手を見出しうるのは偶然に負かされると説く。これを「命懸けの飛躍」という刺激的な表現を名付く。

分業は、労働生産物を商品に転化させ、そうすることによって、労働生産物の貨幣への転化を必然とする。ここでマルクスは購買と流通の対立を取り上げ、使用価値と価値の対立、私的労働が社会的労働になる対立、特殊的具体的労働が抽象的一般的労働として対立、これらの形態は恐慌の可能性を含むと説く。このように第1部で資本主義的生産の研究が、恐慌論とつながっていると説く。

マルクスは資本主義の発展とともに、労働者の生活は悪化すると説く。勿論現実の水準は労働者と資本家の力関係で決まるが。しかし労働者階級を貧困と消費制限の状態においている資本主義の枠組みは変わらない。剰余価値の無制限な拡大の衝動が資本主義生産である。資本主義の突然の膨張を与える要因として、信用。マルクスは再生産論は第2部の第3章で、分析すると予告している。またスミスの再生産論への批判を第3部第7編で書くと予告する。

マルクスは、1881年資本論第2部第8稿を書く。そこではかって随分と検討を重ねた恐慌周期については10〜11年と書く。

ここで最後に不破さん書く。

マルクス・エンゲルスがとらえた世界市場の変化は、実は、独占資本主義時代への移行の過程を反映したものでした。そしてマルクス・エンゲルスが世界市場の変化が生み出す現象として重視した経済環境の周期の変化は、この世界的な移行期の特殊現象であったことが、やがて明らかになりました。と。独占資本主義体制が確立した20世紀は、再びほぼ10年周期の循環が復活することになった。と。

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