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ー日本でこれ程大ヒットしながら、何故 日本版「冬のソナタ」が生まれて来ないのかー




ユージンとサンヒョクは同じ名門高校に通う幼馴染み。冬のある日、一人の転校生がやってきた。ハムサンな、しかしどことなく陰のある彼は数学のずば抜けた天才で、かつスポーツは万能。

やがて転校生ジュンサンとユージンは、お互い1歩ずつ近づいていく。2人で飛び越した高校の裏塀。2人で弾いた講堂のピアノ。2人で授業を抜け出しデートした並木の散歩道。2人で眺めた冬の北極星。

しかし突然ジュンサンは、交通事故で、皆の前から逝ってしまう。そして10年後、サンヒョクとユージンは婚約式を迎える。その夜、ユージンの前に突然現れたジュンサンそっくりな好青年。話はここから展開が始まる。



全20話の長編
TVドラマ。主人公も泣くが、観ている私たちも、思わず泣いてしまう。画面への切ない思いがいつまでも余韻として残る。自分も、「冬のソナタ」に刺激され、最近ハングル学習を再開し、「冬のソナタ」に関する本もどっさりと買い集め、ビデオは何度も見直している

 

監督ユン・ソクホはNHKで「冬のソナタ」についてこんな話をしている。「誰にでも胸に秘した初恋があります。初恋は美しい。だから初恋をモチーフにTVドラマを作ったのです」。ユン・ソクホ監督は、自らも初恋を胸に秘し、今も独身を守り続ける、ベレー帽が良く似合う往年(40歳)のロマンチスト。

主演女優チェ・ジュウの女子高生が実に清楚で美しい。自らの感情をきちんと表現する、理性的な表情が素敵だ。昔、何処かでこんな女性に出会った思い出が胸を締め付ける。

主演男優ぺ・ヨンジュンの堂々とした明るい好青年も大人気。「微笑みの貴公子」とか。ドラマを構成する各俳優はそれぞれの役に実に適役。私もこれほどまでに
TVドラマにのめり込んだのは「初めて」。PC掲示板では、この興奮が毎日にぎやかに語り続けられている。

  

私も韓国映画は大好きでよく観ています。かっては仕事上で韓国へは何度も出張し、韓国TVも言葉こそ理解できませんが、韓国のホテル自室でよく観ていました。TVではハングルが理解出来なくても、ドラマのストーリは大体理解出来ますし、同じ商品をPRしていても、日本と韓国のCMの対比は結構面白いものです。

韓国に出張するたびに実感するのは、韓国人に根付くハングリー精神の力強さ、ソウル大学出身者を中心とする学歴社会の根強さ、そして、百済、新羅の歴史から発している全羅道と慶尚道対立の根深さでありますが、韓国社会には今も儒教倫理観ははっきりと生きていますし、総じて韓国の男性はカッコ良いし、韓国の女性は美人です。そんな韓国の印象が、「冬のソナタ」では見事にまとめられて観ていて懐かしいし、楽しくなります。

韓国贔屓の一人として、「冬のソナタ」の大成功は嬉しいし、一方では、日本よ、もっと頑張れと掛け声を掛けたくなってくる


韓国は、日本と違い、物事に筋を貫いて見つめる目が、今も生々しく生きています。
「どうして?」「何故?」「そんな!」。韓国ではこんな言葉がよく会話の中に出てきます。韓国では、物事に筋をキチンと通し、真剣に、厳しく追及する風土が今も生きているのです。そんな韓国に比して日本はどうでしょうか。いつの間にか、怒りを忘れ、物事の筋をキチンと追求していく姿勢すらも失ってしまってはいませんか。

日本のこんな風土を助長するかの様に、茶の間の
TVではお笑い番組がもてはやされ、街頭からは反体制デモが消えて久しい。政治家はうそぶいた発言を繰り返し、労働者は組織的抵抗力を自ら放棄し、職場の中では民主主義の土台さえもが侵されています。物事を事なかれ主義で処理を急ぐ日本の風土からは、あの感動的な「冬のソナタ」は生まれっこないと思っています。何故ならば本を捨て、お笑いTVで、
無為な時間を消費させられている日本の大衆には、筋を通す風土がふさわしくないとするTV当局側の先入観が定着しすぎていて、「冬のソナタ」のような、ロマンチックなTVドラマを制作しようとする環境条件にはもうないような気がします。


ハングリー精神を失った日本人には、もうあの感動的なTVドラマは作れないかも知れません。豊かになったと思いこんでいる日本人には、物事に対して筋を通して考え抜く姿勢はふさわしくないとされ、その代償として、与えられた
TV爆笑番組によって人々は益々無気力化していくように思えます。

KBS制作「冬のソナタ」は素晴らしい。何度観ても、感動は衰えない。何故だろ。その秘密は、物事に対し、真剣に、真面目に、筋を通して考え抜く、青春の純真さがそこにあるからこそ、人々は感動すると思います。日本人はTVの前で多くの時間ゲラゲラと笑います。最近の日本人は政治に対し極端に無関心に安住しています。こうした傾向は仕方がないと誰もがあきらめています。しかし、日本の多くの中高年は「冬のソナタ」に感動する純真さをまだ失っていません。しかし、中高年のこの純真さを眠らせてしまおうとする力が、巧妙にTV番組を操作し、人々が物事に対し、真面目に、筋を通して考えようとする日常思考環境を破壊し、人々を無気力化させていくように私には見えてならないのです。

「冬のソナタ」がこれほどまでに日本の国民の間でも燃えているのに、一方ではTV番組は相変わらずクイズ爆笑番組から立ち直っていません。

かってNHK第9チャンネルが、社会の暗黒面を映像で力強く糾弾していたのに、最近はどうして各放送局とも無気力な番組ばかりを流しているのですか。我々は現在のTV番組に対してこれほどまでに怒りをつきつけているのに、日本のマスコミ界は何故か、この事実に気づかないふりをしているとしか見えません。「冬のソナタ」大人気の裏に、こんな日本の放送事情があることをもっと多くの人が怒るべきだと思います。

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