70歳で読み直す資本論

第5章 労働過程と価値増殖過程  資本論原典による宮川講義の予習

第3篇 絶対的剰余価値の生産 第5章 労働過程と価値増殖過程

第1節 労働過程

労働力の使用は労働そのものである。労働力の買い手は、その売り手を労働させることにより、労働力を消費する。労働には注意力としての意志が必要とされる。しかも労働が労働者を魅了することが少なければ少ないほど、ますます注意力は多く必要とされる。土地は労働諸手段の本源的な武器庫である。土地そのものが労働手段であるとはいえ、全一連の他の労働手段と、労働力を前提とする。どのような労働手段をもってつくられるかが、経済的諸時代を区別する。ある使用価値が労働過程から生産物として出てくるとき、それ以前の労働過程の諸生産物である他の諸使用価値が生産諸手段としてこの労働過程に入り込む。ある使用価値が原料として現れるか、労働手段として現れるか、生産物として現れるか、その使用価値の労働過程における位置、機能によって変わる。

わが資本家は自分の買った商品、労働力の消費に取り掛かる。労働者は自分の労働の所属する資本化の管理のもとで労働する。生産物は資本家の所有物であって、直接的生産者である労働者の所有物ではない。資本家は、労働力の日価値を支払う。その日のあいだ、資本家に属している。


第2節 価値増殖過程


資本家は、交換価値を持つ使用価値、商品を生産する。

資本家は、生産諸手段と労働力との価値総額よりも、大きい価値を持つ商品を生産しようとする。資本家は、価値だけではなく、剰余価値をも生産しようとする。商品そのものが使用価値と価値そのものとの統一であると同様に、商品の生産過程は労働過程と価値増殖過程との統一でなければならない。

生産物の価値は、前貸しされた資本の価値と同じなら、資本家は愕然とする。なんら剰余価値を生まなかったら、資本家は愕然とする。資本家はつぶやく。労働者は、資本家が材料や生産手段を与えたから生産できた。しかし俺には何も残っていない。と。


もっと詳しく見てみよう。労働力の日々の維持費は交換価値を規定し、労働力の日々の支出は、使用価値を形成する。労働力の価値と、労働過程における労働力の価値増殖とは、2つの異なる大きさである。決定的なのは価値の源泉である。労働力という特殊な商品は、独特な役立ち方をする。労働力の売り手は、他の商品の売り手と同様に、労働力の交換価値を実現してそれの使用価値を譲渡する。労働者は、使用価値を手放すことなしには、交換価値を受け取ることは出来ない。

剰余価値を生む手品の中に、貨幣は資本に転化した。商品交換の法則は少しも損なわれていない。等価物どうしが交換された。資本家は、労働力の価値どうりに支払った。資本家は商品の使用価値を消費した。労働力の消費過程は、商品の生産過程でもある。


価値増殖過程は、ある一定の点を越えて延長された価値形成過程に他ならない。価値形成過程は、有用的労働である。ここでは量的側面からのみ現れる。労働過程と価値増殖過程との統一としては、資本主義生産過程、商品生産の資本主義的形態である。


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