レマン湖・モンブランを巡る旅

毎年9月、次男夫婦は必ずヨーロッパ旅行に連れて行ってくれる。昨年は南イタリア、2年前は中欧・チェコ・オーストリア・ドイツ、そして3年前は北イタリアへの旅だった。そして今年は、スイスとフランス・レマン湖とモンブランを巡る10日間の旅に連れて行ってくれた。次男はすべてインターネットで綿密に旅を立案する。列車やバスの時刻表は勿論、ホテルのレイアウトまで事前にチェックし、慎重に手造りの旅を企画する。団体旅行では絶対に味わえない豪華な旅の雰囲気を心ゆくまで味あわせてくれる。





KLMアムステルダム経由スイス・ジュネーブに到着。秋のレマン湖のほとりを3人で散策する。140mの天空までレマン湖の水を噴き上げる最新型噴水が見事。翌日、フランス・アヌシーまで、バスで3時間、ここで2連泊してくつろいだ。城と湖に囲まれた、旧市街が美しい。ホテルの窓から多数の人出でにぎ合う青空市場や、旧市街の水路の中に建つ「島の宮殿」なる古城をスケッチする。ディナーで食べたマッシュルームの入ったチーズフォンデュは実に上手かった。


登山電車やバスを乗り継いで、いよいよ目的の地、モンブランの麓シャモニーに至る。高台に建つホテルの窓からは真っ白に雪を頂いたモンブラン全景が真近に迫る。この素晴らしきリゾートホテルに3連泊。毎日モンブラン周辺をゆっくりと歩いて過ごす。急傾斜のロープウエーで一気に白雪の4000mに登る。山頂は強風と寒さで震えあがる。マッターホルンを始め、ヨーロッパの山々が一望に見渡せる。水彩絵具も直ぐに凍てつき、長く座って描いてはいられない。眼下に小さく見えるシャモニーの町に、モンブランから大氷河が迫る。切り立った断崖に、赤ヘルのアルピニストが黙々と独り絶壁をよじ登っているのが見える。よくぞ、こんな断崖絶壁の山頂にケーブルを設置したものだと建設当時の関係者の苦労が偲ばれる。


翌日は、のどかに登山電車で氷河の海をスケッチに行く。3000m級の山々から集まってきた氷河が眼下に広大な、無言の流れを見せる。山頂で日本人の中年男女グループに出会った。「親子でここまでいらっしゃってるのですか。うらやましいですね」と声を掛けられた。シャモニーの町を散策し、教会の屋根の彼方にモンブランの姿がそびえ、素晴らしいと感動する。早速この風景を水彩スケッチしたが、モンブランが見えたのは短い瞬間だけであり、やがてまた雲の中に美しい姿は消えてしまった。シャモニーの町でも、ビールのつまみには矢張り「ムール貝」が実に旨かった。




   





7日目、登山電車に乗って、モンブラン・シャモニーの町からスイス、レマン湖に下りてくる。スイス・レマン湖畔モントールのホテルに滞在。友人がPCで送ってくれたメールに挿入されたレマン湖の対岸のエビヤンの山々の写真こそは、何とこのホテルのロビーから写しているではないか。早速友人に、「お見事」とメール返信する。レマン湖のほとりを3人で1時間程散歩してシヨン城に至る。途中海岸際の散歩道は、世界の大富豪の別荘がずらりと建ち並び、華麗なるヨット群の向こうにシヨン城の旗がひらめく。シヨン城で食べた鴨の肉とほうれん草の添え物、「これすごく美味しいわね」と嫁が褒めていた。






レマン湖海岸の静かな田舎町ニヨンで列車を下車。レマン湖を対岸に船で渡り、フランスの典型的な田舎町イボワールを1日ゆっくり散策する。古いお城と教会を中心にして、坂道に面した村の家々は、美しい花々で飾られ、午後の明るい光線の中で、教会の鐘の音が静かに広がっていくのはのどかな午後の風景だった。湖畔に面した古城と秋の木々の色づきを船着き場に座ってスケッチした。これが今回のスケッチブック最後の1ページとなった。この一冊のスケッチブックを見返しながら、今回の旅こそは、本当に素晴らしい10日間だったと思う。70歳の現在の自分にとって、人生の幸せ、充実感を深く感じさ、心の安らぎ、生きる癒しを与えてくれる素晴らしいスイス・フランスの旅であった。50歳から始めたフランス語も、今回はあちこちで随分と役立った。生きることは本当に楽しく素晴らしい。有難う!心からそう叫びたくなる。








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