定年後の読書ノートより
ウズベック共和国紀行、加藤周一著、加藤周一著作集第10巻
1959年、まだ自分が大学2年の頃、この紀行文は岩波新書として発行された。このことを知ったのはごく最近、そこで古本屋や図書館を捜したが岩波新書は見つけられなかった。偶然これを加藤周一著作集の中に発見、早速読み終えた。加藤氏は戦後間も無くA,A作家会議出席で社会主義辺境諸国「ウズベック・クロアチア・ケララ」を訪問、この紀行で氏は何を書き残しておられるか、大変興味深かった。この紀行文は丹念にウズベキスタン観察ノートとして自分なりに整理した。読み終わって、矢張り来春ウズベキスタンに是非出かけてみようという気持ちになった。自分の手で続ウズベキスタン紀行を書いてみたくなった。社会主義革命40年のウズベキスタンを書いた加藤周一氏。社会主義から離れて10年目のウズベキスタンを書くのは自分だ。すでに今から胸がわくわくする。加藤氏はこの紀行の始めにこんなことを書いておられる。
  1. 旅行者の観察は、しばしば浅薄にならざるを得ない。表と裏のある社会では特にそうだ。
  2. 多くの責任者に会って話を聞いた末の知識も、その社会に住む一人の人物との一晩の話には及ばない。
  3. 旅行者は訪れた土地のいかなる組織にも属さず、組織からの束縛が無いから、その言動においても、思考においても自由である。その自由は彼の観察者としての中立性、客観性、正確さのために有利な条件として働くだろう。
  4. 社会主義国は進んだ国ではなく、遅れた地域で革命が成功した。一方進んだ資本主義国では、没落するはずの中産階級は、絶対的、相対的に増大するばかり。彼等は「絶対的及び相対的貧困化」の代わりに、実質賃金の絶対的増加とその分け前の相対的増加を経験した。
  5. 先進資本主義国では、社会主義とは富の公平なる分配という視点から最初の興味を掻き立てられたがすでにこんな関心すらもなくしている。一方後進国での関心とは、社会主義による富の絶対量そのものの増大である。

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