定年後の読書ノートより
安保廃棄と日本経済についての問題提起…試論・・上田耕一郎著…雑誌「経済」復刊3周年特集
過日読んだ名大教授飯田経夫先生の「経済学の終わり」の結びの言葉、「今こそマルクス経済学からの論戦を必要としている。」の呼びかけに応えたような、雑誌「経済」の政策研究報告。
現在、自民党支配の深刻な危機、日本経済舵取り不能状況を作り出した遠因はどこにあるか、いうまでもなく80年代後半のバブルと90年代前半のバブル崩壊による危機の深刻化である。

近代経済学者飯田経夫先生は「私は、バブルの根本原因は、アメリカが。レーガノミックスという失政によって自ら招いた貿易赤字の責任を、不当にも日本に転嫁して、日本に「内需拡大」をせまったことにある」と指摘している。

1985年のプラザ合意により、アメリカの圧力に屈した日本は、急激な公定歩合引き下げ政策をとり、史上最低の2.5%となった。その結果、マネーサプライの異常な急増により前代未聞のバブルを引き起こした。しかし同じ時期、アメリカの圧力で公定歩合引き下げをさせられたドイツ連銀は、6ヶ月でアメリカ金融政策からさっさと脱出し今日に至っている。

アメリカの金融政策に卑屈に追従した日本政府は、プラザ合意のもと、大量の円売りドル買い介入を繰り返し、過剰流動性を生んだ。食料自給率42%という破滅的崩壊に瀕している日本の農業とそして対米従属構造から発している公共事業の巨額化は10年間に430兆円を更に拡大630兆円を約束する日本政府。株式投資と不動産投機が拡大され、バブル崩壊で失われた国民資産は株式が500兆円、不動産が500兆円、合計1000兆円。これは敗戦時に喪失した資産量に匹敵する。

飯田先生曰く「私は反米ではないが、脱米の必要を痛感する」と強く訴えられる。

日本の支配層は、戦前は軍部に従属し、戦後はアメリカに従属、独自の政治的責任を持つことが出来ないのか。

日米軍事同盟はソ連崩壊後の21世紀におけるアメリカのアジア支配すなわち対中国戦略、対東アジア戦略のカナメである。日米軍事同盟のもとに対米追従を基軸とする政治機構を民主的改革することこそ重要である。

フィリッピンがアメリカの軍事基地を締め出したごとく、日本も民主連合政府を樹立して、はっきりと安保条約終了の意志を示せば、国民的展望は開けてくる。

日米安保条約廃棄という革新的事業は「非同盟・中立の日本」への根本的転換である。これは民主的国家創造へのスタートともいうべき壮大な国民的事業である。

この論文はあくまで試論と在るごとく、今後詳細な検討が続けられるが、飯田先生の期待する今こそマルクス経済学からの未来に向けた活発な議論が必要とされるとの提言にしっかりと応えている。

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