定年後の読書ノート
種の起源 (全14章) ダーウィン著 八杉龍一訳 岩波文庫 (上・下)各700 1990年第1刷
序言

軍艦ビーグル号に植物学者として乗船(1831年)。南アメリカの生物と地質学研究。ウォーレス論文と鉢合わせ。

「植物学者はいつでも、変異の原因になりうるものとして、外的条件をあげる。しかし、外的条件だけに帰するのは無理である。」「マルサスの原理に基ずき、増殖の結果おこる生存競争により変異する動物は自然に選択される。」この論文が、神学の根底を揺るがす大問題を提起し、多くの反論をうけるであろうことを予期した堂々とした、導入である。

第1章(飼育栽培下の変異)

軽微な変異が人間の選択によって、集積される。変異←生殖系統→本能。遺伝子の未だ発見されていない時代、生物の変異を帰納的に立証していく。カワラバトがハトの祖先であり、人類はエジプトBC3000年も以前より、ハトを飼育、その変異を増殖してきた。変異←選択←人間の介入。繁殖において選択を進める正確な目が必要=軽微な偏差にも厳密な注意が向けられる目。

第2章 自然のもとでの変異

  • 変異:基本的にはこの把握には哲学が必要。観点により重要な部分の変化は幾らでもあり、何を見るかだ。
  • 属と変種の区分は難しい。種と変種に関しても空回りの議論がおおい。共通な祖先ならば変種?
  • 変種が進めば種になりうる。ダウィンは種を特徴がはっきりした変種と位置づけている。しゅとは顕著な特徴をもち、永続的な変種に過ぎない。

第3章 生存競争

  • 生存競争;その固体を保存させるようにはたらき、子孫に利益をもたらすべく受け継がれていく。
  • 生存競争は、あらゆる生物が高率で増加する傾向をもつことの不可避的な結果である。すべての生物は滅びなければならない。さもないと収容しきれない。
  • 気候は種の平均固体数決定に重要な役割を演ずる。しかし長い期間をとってみると諸々の力はよく均衡がとれている。

第4章 自然淘汰

  • 生存競争は、変異に関していかなる作用をするであろうか。有利な変異が保存され、有害な変異が棄てられていくのを自然淘汰と呼ぶ。
  • クワガタムシの雄は、傷を負わされている。おそらく一夫多妻の動物の雄同士の間で、闘いがあろう。
  • 自然選択は、保存されてきた生物にとっていずれも有利な、ごく微少の遺伝的変化の保存と集積によってのみ作用することができる。
  • 全生物が高い幾何学的比率で増加していくのでどの地域もすでに居住者がいっぱいになっており、そのため、選択された好適の種類のおのおのが個体数を増していくに従い、好適さの劣った種類は個体数がへり、稀になっていく。地質学の語るところでは、希少化は絶滅のまえぶれである。

第5章 変異の法則

  • 変異がどのくらい自然選択の集積作用、生活条件に帰すべきか明らかではない。役に立つ変異であれば小さな変異も集積される。
  • 祖先が持っていた形質を失った品種でも、殆ど無限の世代に伝えられていく。
  • この地表の生物は互いに闘争し、最も適応したものが生き残る構造変化を生じさせるのは、以上のような変異が個体にとって有利な場合に、自然選択によって絶えず集積されていく。

第6章 学説の難点

  • ある地域が連続であるからといってこれまでも連続であったと推論することは出来ない。勿論その逆もある。また中間的地域の生物生息は短期間である。
  • 自然選択はそれぞれの生物を、生存競争の相手とせねばならない同じ国の他の生物と完全に、あるいはわずかに勝って完全にする傾向をもつに過ぎない。
  • 女王バチが、娘を生まれるや否やすぐ殺してしまうか、それと闘って身を亡ぼしてしまう野蛮な本能を、集団の利益と自然選択の冷酷な原理として理解せねばならない。

第7章 本能

  • 本能が現在の生活条件のもとで各々の種の幸福の為に、身体的構造と同様の重要性を持つものであることは、普遍的のことである。家畜本能は獲得され、自然本能は失われる。
  • カッコウの卵は3日間隔で生む。子供は同時に育てられない。そこで他の巣に生み、奇妙な本能が生まれた。
  • カッコウのひなが義理の兄弟を巣から押しのけるのも、アリが奴隷をつくるのも、ヒメバチ科の幼虫が生きた毛虫の体内でその身体を食うのも、これら全て個々に付与された、あるいは創造された本能とみなすのではなくて、あらゆる生物を増殖させ、強者を生かし、弱者を死なしめてその進歩を導く一般的法則の小さな結果であるとみなす方が、はるかに満足できるものである。

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