定年後の読書ノートより
読書術
加藤周一著、岩波同時代ライブラリー、850
本を読む。最近多くの人は如何に本を早く読むかを考える。それは正しくない。本は遅く読む、精読法、これこそ重要です。遅く読むとは、大切な本を読むということです。そうです、古典です。しかし、古典とは、何も2千年以上も昔の本を読まねばならないという事ではありません。私、加藤周一が古典として、是非皆様に読んで欲しいのは、マルクス、エンゲルス、レーニンの書いた本です。

いま、私たちが生きている世界の全体を、偏見なしに、誤解なしに、どうにか判ろうと思えば、最小限度の条件として、マルクスの本の中で、大切な部分を丁寧に読んでみることが必要です。

かって日本ではこうした本を読むことは大変危険を意味しました。しかし、今は憲法で保障され、どんな本を読んでも、警察に襲われることはありません。私たちが世界を客観的に公平に理解していく為には、マルクス、エンゲルス、レーニンの本をゆっくり、精読する必要があります。マルクス主義の通俗的解説の多くが、表面的で、およそマルクスからかけ離れたことを書いていることが、マルクスの古典を読んでみるとはっきり判ります。私は大学では医学部で学びました。だから大切な本を遅くきちんと読めば、外の本が思わず早く読めることを、いつも経験しました。こうして、読書法は身に付いてくるのです。

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