定年後の読書ノートより

恐慌とは何か 吉原奉助著 大月書店

・・・・・1、資本主義的生産と恐慌 ・・・・・

過剰生産恐慌の歴史

機械制大工業と世界市場の形成 1825年英国で勃発、以後平均10年周期

商品滞貨、価格暴落、倒産、生産諸力破壊、失業の蔓延、労働条件悪化、賃金切下げ

矛盾の総合的爆発、強力的調整、一時的解決、矛盾の深化。

・・・・・2、近代的恐慌の特徴 ・・・・・・・

過剰生産恐慌 ・・・・・・・・・・・・・商品が社会の購買力を凌駕して市場に横溢、過剰生産

全般的恐慌 ・・・・・・・・・・・・・一切の産業を巻き込み世界市場恐慌として現れる

周期的恐慌 ・・・・・・・・・・・・・・資本の回転循環を物質的基礎とする合法則性

・・・・・3、恐慌の可能性 ・・・・・

販売と購買の別個の自立的過程 、、、、、、、商品譲渡と価値実現の分裂

商品の変態;恐慌の抽象的形態 、、、、、、、資本の変態;恐慌の現実性

・・・・・・4、恐慌の究極の根拠 ・・・・・

資本 対 賃労働

個別生産の価値増殖と拡大 対 社会的生産の無政府性

生産の無制限的発展と労働者階級の狭溢な消費限界のあいだの矛盾として外的な顕在。

・・・・・5、産業循環と現実の恐慌 ・・・・・

不況、好況、恐慌という局面変換を反復経過

恐慌下では、低価格、需要減退していくが、やがて商品滞貨減少、過剰な生産力破壊

遊休資本、低利子率、過剰人口、低賃金により蓄積好条件整い、投資再開。活況。

生産手段生産を中心に活況、消費を上回る生産。過剰生産が暴力的に顕在化。

信用の膨張と崩壊はこの過程を一層激しいものにする。

恐慌の廃絶は資本主義的生産様式を揚棄すること無しには有り得ない。

<附記。現代の恐慌分析のために・・・・・林直道[経済」99年1月号より>

たくみ氏の恐慌論。宇野理論と同じく過剰生産を重視せず、原因を金融市場のバランス崩れに求める。しかも循環性恐慌と大恐慌型と区分し、大恐慌型はデフレ・スパイラルを起こし、価格の下方硬直性が市場機能を変質させているから対策として、公共投資、インフレ的通貨政策、銀行支援が必要と説く。

たくみ氏の結論に唖然とするが、これは氏の理論体系から引き出される結論である。

林氏の恐慌の現実的基礎。資本主義的生産様式は、勤労者大衆の狭隘な消費限界の土台の上で、より大きな利潤獲得をめざして、生産のための生産、蓄積の為の蓄積を強行する。それは繁栄の局面で固定資本投資の一大集中をもたらし、最後には過度投機の熱狂におちいる。その結果、市場の吸収しえない膨大な過剰生産物を形成する。失われた均衡を暴力的再建、これが恐慌の本質的役割である。不況の残酷さ、それは自営業者の年間1000人を超す自殺者の数に示される。

林氏は結論する。消費税減税を中心とした国民の財政負担軽減、国民的購買力引き上げによる個人消費の拡大の道こそ不況脱出の道であると。

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