定年後の読書ノートより

中国思想について、京大教授、福永光司著、1969年、リブリオ出版
福永先生の主な著作、;荘子(中公新書);老子・荘子(朝日新聞社);列子(東洋文庫);道教思想史研究(岩波書店);中国の哲学、宗教、芸術(人文書院);道教と日本文化(人文書院);馬の文化と船の文化(人文書院);先生の専門研究分野;老壮哲学と中国仏教
老荘哲学に惹かれたのは貧困出身であること、戦時下で生きることについて考えたこと、寺の坊さんは自分でも理解していないことを平気でいう、キリストは現実からのスタートではなく概念からのスタートであること、革命を志向するにはあまりにも小心で臆病な自分、儒教は支配体制の上に立つ思想、そこで反体制の中国の思想、老荘を選んだ。しかも儒教は政治倫理の思想、老荘は形而上学、宗教哲学で心の問題を扱う。

中国思想の時代区分

  1. 中国固有の思想展開BC500AC400。孔子、周、春秋、戦国、秦、漢、三国、西晋、東晋
  2. インド思想と接触、それを受容、摂取AC400AC1100。隋、大唐帝国、北宗
  3. 仏教思想を媒介として中国哲学成立AC1100AC1700。朱子、中国の主体性と安定性確立。
  4. ヨーロッパ思想と接触、AC1600AC1900。清朝、実事求是。具体的事実に基づいて正しい真理。
  5. 中国思想近代的な性格を備え新しい展開。民国革命、社会主義革命、現代

中国思想の特徴的な性格:@ 知行合一的な立場

認識より実践を優先的に考える。体験第1主義。

中国思想の特徴的な性格:A 実際的、功利的性格

中国では、論理的な関心が、現実的な効用性へ屈折する。例えば霊魂の存在の証明。墨子;霊魂の実証を歴史文書で引用、しかし例え霊魂が存在無くても、在ると信じて実があがれば効用大。

死後の世界。死んでからゆっくり確かめよ。生きているうちに議論しても現実にどれほども役に立たない。

要するに人間の倫理と実践を重視。西洋では生と死は相反する。従って生きているものには死はない。

中国思想の特徴的な性格:B 感性的、即物的性格

中国人は論理的、抽象的な思考を好まない。中国語は孤立語。語尾変化を好まない。中国人の思考は全一的、具体的。人間を鋭く把握。中国の人間学の体系化、理論化は次世紀の課題。中国への仏教思想は結局老荘思想の言葉で理解されていく。知覚、感覚的要素重視。

中国思想の特徴的な性格:C 主客未分な均一的な境地

ヨーロッパ2分性の論理、中国は根本原理の知覚。ヨーロッパは横の関係、中国は縦。価値の根本を追求。

中国思想の特徴的な性格:D 万物一体観

中国人は万物を一体と見る考え方。ヨーロッパは欲望を肯定。中国は欲望を抑制することにより、精神の安定を重視。あくまで人間の生き方を第1義に考える。

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