定年後の読書ノートより
新版世界各国史3、中国史、尾形勇・岸本美緒編、山川出版社、19986月初版、3500
人間を知りたいならば、人間の歴史を学べ。歴史は偶然が支配しているように見えるが、内的な一般法則が貫徹している。歴史をさかのぼって学ぶことは、現代では見えにくいことが、過去の歴史の上に鮮やかにはっきり見えてくる。 (エンゲルス「フォイエルバッハ論」)

この本は新版世界各国史の中の中国史として、この度全面的に書き替えられた。

特に1949101日新中国成立以降の、第8章、人民中国の光と陰は、圧巻である。新中国誕生に際して、ソ連は決して中国に対して友好的ではなかった。果たしてスターリン独裁だけが、その理由だけなのだろうか。 新中国建設から文化大革命への一貫した流れの中で、毛沢東の構想していた社会主義はどうして現実から大きく乖離していたのだろうか。 権力を握ったことが毛沢東を誤らせたと考えたい。大躍進の失敗を毛沢東を擁護しながら改善し、幾つかの激動を整理し、今日の中国をきちんとリードしてきた周恩来の存在、政治家として周恩来こそ革命後の中国が誇る偉人である。

毛沢東の一列横隊方式による経済政策の失敗と、新政権が掲げる一列縦隊方式(資本主義の競争原理を積極的に取り入れた方式)による成功が今日の中国の底辺にある。しかし民主化運動と天安門事件の背景には急進派と保守派の激しい政治闘争があり、今や中国では社会主義の旗印だけでは人民統一が図れなくなってきている。この本は学術的立場を守り、極めて正確にそして平易に中国を教えて呉れる。

この中国史はこれから何度も読み返したい本のひとつである。

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