定年後の読書ノートより

新日本共産党宣言、不破哲三・井上ひさし著、光文社

書き出しが面白い。井上ひさし氏は、不破哲三氏の自宅へと光文社のスタッフと共に中央高速を走る。不破さんの自宅は北丹沢の自然の中にある。車で1時間も走ると車窓の景色も緑豊かになる。車の中で井上ひさし氏考える。共産党。近寄りがたき印象。代々木、冷たいところ。しかし車はやがて湖面がきらきら光る不破さんの自宅近くに到着。「すごいところだ」「素晴らしい眺めですね」「想像していた以上の深山ですね」。どうも自然の風景という素晴らしい目くらましに幻想されているようで、これではいけないと気持ちを締め直す井上氏。最初から敵地で戦ってはいけないと思いつつ、抵抗のかいなく、今日ここまでやって来てしまったと述解する井上氏。大自然の中の絶景という道具立てに呑み込まれてはいけないと井上氏気を引き立てる。しかしびっくり仰天はまだまだ続く。(以下本文をどうぞ)

この辺までは立ち読みで目を通した。これは面白そうな本だな。早速購入、一息に読んだ。井上ひさし氏の東北育ちの純朴さと、一途な執着が、常に本物を意識させてくれる。井上氏の私生活もやがて素直に語られる。氏の奥さんは党員だと最初に書かれている。それは知らなかった。米原いたる氏の娘さんが井上ひさし氏の奥さんなんだ。

米原いたる氏がまたすごい。昭和初年旧姓一高時代に入党、以後昭和20年まで地下に潜っていたそうで、米原氏の父親は素封家で貴族議員、父親が帝国議会に出席するため鳥取から上京した際、東京駅構内で偶然地下潜行中の息子とばったり、「いたる。いたるじゃないか。」。すると息子は後じさりしながら、「違います、お父さん」。息子はそう答えて人込みの中に走り込み、姿を消してしまったとのこと。とにかく全編きらきらする痛快な話の連続、不破氏と井上氏、お二人が交互にまとめた、対話記録は読み応えがある。読み終えて気持ちよく、「ヨシ次の選挙には迷わず共産党に投票しよう」という気持ちになる1冊である。

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