定年後の読書ノートより
愛と抵抗の讃歌―アラゴンとエルザー大島博光著、東邦出版社
石川光一先生から、フランスの原書でLa Diane Francaise ARAGONを頂いた。アラゴンの詩集「フランスの起床ラッパ」である。フランス語原書を読むのは、「星の王子さま」以来2冊目である。

そもそもフランス語は50歳を過ぎてから始めた外国語であり、この外国語を学べばもっと高い水準のフランス文化に接触出来そうな予感から始めた外国語である。確かに予感通り、フランス語を学ぶことによって、フランス文化のみならず人間として生きる素晴らしさを数多く教えられたのは本当に良かったと思う。アラゴンはレコムニストという長編小説があるとは知っていたが、チボー家の人々や、ジャンクリストフは読んでも、アラゴンの作品までを読むまでには我が青春読書世界その範囲の広さを持っていなかった。

この度アラゴンの詩を原書で読みはじめる際し、アラゴンの生涯を大島さんの本で学んだ。1897年パリ生まれのアラゴンは、青年時代ブルトン・スーポー・エリュアール等とダダイズムからシュルレアリスム運動に脱皮していく。この間のアラゴンの自己総括は、「未完の物語」に詳しい。

ダダイズムとは、あらゆる束縛から個人を解放することを謳いあげる考え方であった。ダダイズムを否定するアラゴンにとって、シュルレアリスム運動は新しい現実の追求を意味した。超現実主義はあらゆる理性の制約をとっぱらい、無意識の状態でイメージをとらえようとした。この時期をアラゴンは狂気と錯乱の季節と「未完の物語」で書いている。モロッコ戦争から帝国主義戦争の実態を学びアラゴンは、1927年共産党に入党。しかしアラゴンは狂気と錯乱の精神状態から抜けきれず1928年自殺未遂。
こんな時期エルザに出会い、生涯の転機とする。マヤコフスキーを義兄とするエルザを通じアラゴンは、社会主義レアリズムとシュルレアリスムの接点を求め、模索を続ける。やがて、党活動を続けるなかで、次第に活動家としてのアラゴンは成長しやがて対独反ファッシズム地下活動にて、抵抗詩を謳い上げるアラゴンが生まれる。

第2次世界大戦、フランスは対独地下抵抗戦線を結成する。ここにフランソア・ラ・レコールと名乗る詩人こそアラゴンそのひとであり、人々に詩を通じてファッシズムへの抵抗と、その勇気を与えた。

この度石川先生から頂いた、詩集「フランスの起床ラッパ」は地下生活で謳われたアラゴンの抵抗詩集であり、詩史上まれにみる広範な大衆に愛された詩集でもある。

ここをクリックすると読書目次に戻ります