定年後の読書ノートより
「資本論」時代の工場制度、労働者の実態。玉川寛治著。新日本出版社
産業考古学会の先輩である、玉川先生の雑誌「経済」連載論文。資本論第13章「機械と大工業」でマルクスは繊維技術に言及している。これを現地調査による報告である。産業革命のきっかけはアークライトの綿紡績工場1771年である。貴重な工場写真も掲載。工場の求人広告。珍しい。女性、子供を雇うとある。児童3交替の日記も引用。こうした現物主義の報告は始めて。アークライトはパート中心の雇用体制を社宅によって確保した。こうした解析も玉川先生ならばこそ。ダーウェント川に沿ったストラットのペルパー綿紡績工場群。今も残る銃眼。

ロバート・オウエンの紡績工場に併設した幼児教育施設。マルクスも評価した共同組合。私も訪問したグレッグのクォリーバンク・ミル。実体験できる貴重な博物館。100馬力の水車。今も残る幼年工寄宿舎アプレンティス・ハウス。労働者住宅オーク・コテージ。労働規律を高める為の大時計。工場特徴は 1、水車駆動であること。このこともマルクスはきちんと指摘。 2、レンガ造り5階建て。 3、コミュニティの形成。 4、快適な労働者住宅。これは都市の労働者との対比として特徴とされる。石炭価格を下げた運河開通。

ジョン・ケイによるフライシャトルの発明。ハーグリーブスのジェニー精紡機・アークライトの水車精紡機とその改良のスロッスル精紡機から極細糸も紡績出来るクロンプトンのミュール精紡機。そして今も博物館として残されている産業遺産。最後に産業考古学会とアークライト協会の紹介。読み応えのある報文である。

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