定年後の読書ノートより
資本主義の最高の段階としての帝国主義、レーニン著、岩波文庫
序言

1914年の戦争は、植民地や金融資本の勢力範囲の分割と再分割のための帝国主義戦争であった。客観的状勢を解析する為に、レーニンは全世界の経済の基礎にかんする資料の総体を対象としている。レーニンは6ヶ月間の図書館での研究により148冊の単行本、232編の論文等を20冊のノートにまとめ、帝国主義論を書き上げた。特にヒルファーディングの金融資本論、ホブソンの帝国主義論、ブハーリンの帝国主義と資本の蓄積を詳細に読破し批判的検討を重ねている。レーニン全集第39巻はこの20冊のノートを和訳しているが、帝国主義論の10倍以上の分量に及ぶ資料ノートを見て、いいかげんな社会評論家達はきっと恥かしくなるに違いないと思った。

第1章、生産の集積と独占

生産の集中は、資本主義の特質である。多くの経営は巨大企業に結集される。集積の結果、カルテルやトラストが結ばれる。マルクスは資本主義の理論的、歴史的分析によって、自由競争は生産の集積を生み、独占をもたらすことを論証した。資本主義は帝国主義に転化した。独占は、支配と強制を伴う。生産は社会的になるが、取得は依然として私的である。幾つかの産業部門で創りだされる独占は、総体として全資本主義的生産に固有な混沌性を強め、かつ激化させる。恐慌もまた、集積と独占を強める。独占には銀行の役割を常に考慮の中に入れねばならない。

第2章、銀行とその新しい役割

銀行の基本的な業務は支払いの仲介であるが、集積により成長転化し、全能な独占者となる。銀行は企業を従属させ、自己のコンチェルンの内に包含する。銀行は資本の集積と独占の形成を強め、また促進する。新しい資本主義の元では株式取引所の意義は低下する。銀行と企業の人的結合が進み、融合が発展する。銀行資本と産業資本の癒着が進む。新しい資本主義の元では、資本一般の支配から、金融資本の支配へと、転換する。

第3章、金融資本と金融寡頭制

生産と資本の集積は、独占に導き、高度に達する。銀行資本と産業資本の癒着、これが金融資本の発生史。株式会社の事業を左右するのは株式の40%を確保すれば十分である。少数者の手に集積され、事実上の独占を享有している金融資本は、ますます利潤を確保し、金融寡頭制を強化し、その支配を国家機構、政治機構を含む社会全体に及ぼす。

第4章、資本の輸出

商品の輸出から、資本の輸出へ転化する。個々の資本主義の発展は不均等である。資本の過剰は、利潤率の高い海外後進国へ輸出される。巨額な資本輸出は広大な植民地と密接に結びついている。資本を輸出している国は、世界を自分達の間で分割した。

第5章、資本家団体のあいだでの世界の分割

資本家達の独占団体、すなわちカルテル、トラスト、コンチェルンは、生産を自分達の手に収めることによって、市場を独占、資本の輸出の増大によって国際カルテル形成に結びつく。銀行の強化は恐慌を足場とする。国際的な世界の分割は、力関係により再分割も可能である。金融資本の時代には、私的資本と国家独占は一つにからみあっている。この道は必然であり、商品生産と資本主義の体制の下では必然である。これは経済的関係を土台としているが、この力は経済的、政治的力の発展につれて、変化する。

第6章、列強の間での世界の分割。

我々は世界的植民地の再分割の時代にある。世界の分割の闘争の激化。過剰人口の収容、販売領域の確保の為には、新しい土地を確保しなければならない。帝国とは胃の腑の問題である。金融資本はあらゆる国々を隷属させることが出来る。金融資本の基礎の上に成長する経済外的な上部構造、すなわち金融資本の政治やイデオロギーは、植民地征服の熱望を強める。

第7章、資本主義の特殊な段階としての帝国主義

帝国主義は、資本主義一般の基本的諸属性の発展と直接の継続として生じた。資本主義の基本的属性がその対立物に転じたとき、資本主義からより高度な社会、経済制度(社会主義)への過渡時代の諸特徴があらゆる方面にわたって形づくられ、露わになり、独占は自由競争と併存し紛争を生む。資本主義の基礎の上では、一方における生産力の発展および資本の蓄積と、他方における植民地および金融資本の勢力範囲の分割との間の不均衡を除去するのに、戦争以外どのような方法がありうるだろうか。

第8章、寄生性と資本主義の腐朽化

技術的進歩を阻止する経済的可能性が現れる。独占は競争を排除できるものではない。資本輸出は国全体を寄生化する。一握りの高利貸し国家と多数の債務者とに分裂。独占資本主義の寄生性、停滞と腐朽は、資本主義国の産業空洞化を生む。

第9章、帝国主義の批判

金融資本は、所有者階級を帝国主義の側に移行させる。帝国主義擁護者は本質的なものから、人々の注意をそららさせる欺瞞である。帝国主義の政治的特質は反動と民族的抑圧の強化。民主主義を否定する帝国主義と、民主主義を伸ばす大衆との敵対を激化させる。民主主義のための闘争によって、社会主義革命への準備が進み、これがなければ、社会主義革命は遂行不可能である。

第10章、帝国主義の歴史的地位

帝国主義の主な現象とは生産の集積から独占の発生。原料資源の独占的支配。

大資本権力の増大。経済と政治に金融寡頭制。世界の分割と再分割。

帝国主義の拡張政策は覇権獲得の為の利害が、動機のひとつになる。

ここをクリックすると読書目次に戻ります