定年後の読書ノートより
「自分」と「人生」を考える心理学、伊藤順康著、KKベストセラーズ
  • *1−幾山河越えさり行かば寂しさのはてなむ国ぞ今日も旅行く(若山牧水)人生の本質は淋しさと悲しさであり、淋しさのうちに旅することに安住を見出していこうという諦観。人生は悲劇の構造をしている。それを完全に受容して、安住する。それが人生達人の生き方かも知れない。しかし、ゆーうつな、生の哀しみからの出口はないものだろうか。

  • *2−無力感の中に、われわれが社会の中で作られた価値観が流れこんでいないか。自分の価値観を徹底的に再吟味してみる必要があるのではないか。

  • *3−人間の存在の意味や目的は、初めからあるのではなく、創っていくものだ。人生の意味は、探すものではなく、その人が創っていくものだ。我々が人生に何かを期待するのではなく、人生が、我々に何をするか期待しているのだ。(フランクル)

  • *4−失敗をどう受け止めるかが、無力感の形成につながる。逞しい人間になる為には、危機に直面したとき積極的に対決する姿勢が大切。環境に働きかければ、環境は何らかの反応をする。耐性ある根性を持つ。自分の力で生き抜くのだ。死ぬ前に死ぬな。感情は思考で変る。

  • *5−人間はその受け取りかたによって、世界は違って見える。我々は受け取りかたの世界、意味付けの世界に住んでいる。感情は思考によって変る、感情は我々の思考の結果である。しかし価値観が誤っていれば、どんなに明晰な思考力を働かせても、感情はとんでもないものになってしまう。価値観はそのひとの自由であるが、誤った価値観は排除しなければならない。

  • *6−まず、その思い込みが事実にあっているか、論理性があるか検証する。行動を左右するのは言葉である。行動を左右する言葉を重視する。心の中の価値観の非合理的、非論理的な思い込みを筋道の通った思考に変えていく。そのために心の中の文章記述に着目し、文章記述を変えていくことだ。不健全な感情は、非合理的な文章によって生み出される。論理的とは、何よりも事実に基いて観察や説明が可能であり、だれにも納得出来る筋道が通っていることである。

  • *7−価値観の中には非合理的な思い込みが混入している。何故か。我々の価値観は自覚的に作られたものではなく、流されて生きてきた人生の中で、社会的に作られてきたからである。我々は暗示をかけられて成長してきた。相手もその人なりに価値観と感情を持って行動している。感情と行動はそのひとの論理の世界に属することだという悟りを開くと良い。

  • *8−幸福感、喜び、楽しみ、といった積極的な感情は、行為の副産物として生まれるものであって、他人の指示なんかで生まれるものではない。不幸に陥る人は、自分でその感情を選択している。

  • *9−我々の価値観の中には、健全なものもあるが、非合理的思考や、自己矛盾、偏見など、自滅的傾向に導かれていくような排除すべき思考も入りこんでいる。適切な思考と不適切な思考を明確に区別して、生存と幸福を増進し、苦痛を回避する思考を有益な思考として、有益な思考を増進すべきである。

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