定年後の読書ノートより
家族・私有財産・国家の起源、フリードリッヒ・エンゲルス著、岩波文庫
マルクスが他界したのが、1883年、この本の初版が発行されたのは1884年、この事情に関しては、序文でエンゲルスは書いている。これはマルクスの遺言執行であると。マルクスが発見した唯物史観と同じ考えで、モーガンは、未開と文明を明快に説明した。モーガンの「古代社会」は「資本論」「種の起源」に匹敵する。唯物論では歴史における究極の規定は、人類の増加にあり、これは生産手段の生産と種の繁殖であり、従って労働と家族の発展である。労働が未発達の段階では、社会秩序は血縁的紐帯で支配されていた。やがて労働が発達し私有財産が階級対立を生み、古い社会は粉砕され、地縁関係を土台とする国家が現れた。

家族史は男女間の性交の歴史でもある。モーガンは文化諸民族の父権性氏族の前段階として本源的な母権性氏族を再発見し原始史を家族史の輪郭で描くことを可能にした。人類史は野蛮・未開・文明と区分、生活手段の生産と進歩に応じて下位、中位、上位に層別する。すべての生物の中で人類だけが、食料の生産に対する支配に到達した。野蛮=天然産物取得、未開=牧畜と農耕、生産増大、文明=加工、工業と技能。そして種の繁殖の歴史は群婚、対偶婚、単婚と婚姻形態が発展した。勿論資本主義の一夫一妻制は売春、姦通を補完物として成立っているが。

エンゲルス曰く、女性の解放、男女の平等は、女性が社会的な生産的活動から排除されていて、家事の私的労働に局限されたままであるかぎり、不可能事であり、女性の解放は、女性が大きな社会的な規模で生産に参加でき、家事労働がとるに足らない程度にしか女性をわずらわさなくなるときに、始めて可能となると。

国家は公権力と徴税権を把握して、社会の機関として社会の上に立っている。国家は階級対立を制御する必要から生じたものである。国家は、もっとも有力な、経済的にも支配する階級のものである。そしてこの階級は、国家を通じて、政治的にも支配し、こうして被抑圧階級を抑制し搾取する為の新しい手段として国家を獲得する。近代的代議制国家は資本による賃労働の搾取の道具である。いまやその階級は、必要な存在ではなくなりつつあり、生産の発展段階に障害になり、不可避的に滅びつつある。そしてこの階級と共に国家も不可避的に滅びるであろう。

モーガンは書いている。「もし進歩が、過去でそうであったように、将来の法則でもあるとするならば、たんなる富の追求は人類の最終使命ではない。行政における民主主義、社会における友愛、権利の平等、普通教育は、経験と理性と科学が不断に到達しようとつとめている時代のより高度な社会段階の、手ほどきをするであろう。

それは昔の自由、平等、友愛の復活だが、より高度な形態での復活であろう」

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