定年後の読書ノートより

入院を愉しむ本、慶応医学部卒杏林病院医師石川恭三著、集英社文庫、
この度妻が乳がんで入院、手術することになった。定年1年にして突然の暗転。いつも側にいてくれる人。妻という人の、この素晴らしさをこの1年つくづくと実感している時、突然の入院。自分は全力を傾けて妻の入院、手術、退院までの日々を看病に尽くしたいと思う。図書館でこの本を借りたのは、病院に過ごす毎日、その視点の如何がどれほど大切か実感している自分にとって、興味有る文庫本として軽く手にした。その中でメモすべき箇所を取り出した。
  • 1−旅行者のような好奇心をもって病院の中を見まわして見ると、結構今まで見たこともないようなところがいくらでもある。病院内の一日の動きをスケッチに残す患者さんを見ていて、入院しているのが、まるでスケッチ旅行にきているように思えてきた。入院生活もこんなふうに過ごせたら、苦痛も少なくてすむだろうなとつくづくと感心させられた。旅行したときの楽しみの一つに、様々な人との出会いがある。今まで自分が住んでいた社会の人達とは全く異なる人との出会いは、まさにスリリングであり、魅惑的でもある。旅行に出たときは、誰でも世間は広いなあと思うが、入院した時も同じである。部屋の中の人達の話にじっと耳を傾けていると、汽車の中で隣の人が話す世間話を聞いているような気分になり、時間が経つのを忘れてしまうほどである。
  • 2−入院中でも、何か楽しみや生きがいといったものをしっかりと持っている人にとっては、生活に張りとゆとりのようなものが感じられる。
  • 3−この世の中で本当に頼りになるのは、夫であり、妻である。この事が入院してみると現実実をもって感じられる
  • 4−ひとそれぞれ、自分のおかれた境遇の中で、ときには、短期間しか生きられないという仮定を立てて、回りを見渡し、自分をながめてみる必要がある。入院しているいまこそ、それを考える絶好の機会である。

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