定年後の読書ノート
もっとウソを!日高敏隆・竹内久美子著、文芸春秋社
京大理学部日高研究室には好奇心の塊みたいな連中が集まっていた。混沌こそ研究室の根本思想。なんでもいいから勝手なことをせい。おかげで、学生の売れ行きは良くない。なぜなら、セールスポイントが判らない。でもここには異才を放つ人材が集まってくる。

チンパンジーは1日何十回と交尾をする。しかしペニスは意外に小さい。何故か。人間は何故性交時間が長いのか。人間のペニスは大きい。黒人がすごい。チンパンジーは入れる行為だけに忙しい。人間は他人の精子を追い出して、自分の精子を入れ込むのに、入念なのだ。タンザニアのメスのチンパンジーは1日で50回も性交したという記録もあるよ。

精子はすべて卵子に向かって突進するとは限らない。他人の精子を途中で食い止めようとする専門の精子もあるよ。精子の密度も重要だ。精液の量は同じでも。夫婦間、恋人間長い間、性交が無かった後には、精子は濃密なのさ。しかし、これも新鮮でないといけない。マスターベションなんて、精子新鮮さを保つオス側の自己防御策と判ってきた。

男の射精と女のオルガムスに微妙なタイミングのずれ、これが実は微妙なのさ。男の射精よりだいぶ前におんなにオルガムスが起きる。これは一見喜ばしいように思っているが、女は満足していると思うと大違い、オルガムスが起きると、膣の化学変化がおきて、受精しにくくなっている。その後男が射精しても、精子はなかなか卵子までたどりつけない。日高先生と教え子の竹内久美子先生、激しい会話はまだまだ続く。

この本のタイトル、もっとウソを!なんて、ゲーテのもっと光を!をもじっているのかな。とにかく、京大の研究者達は面白い。しかし日高先生、実は東大理学部卒。日高先生曰く。授業中の飲み食い自由の森毅先生も、SEX先生の大島清先生も、皆東大だよ。京大名物教授は東大出、京大はこのいい加減なところが、また悠々としているわけ。京大のこのいい加減なところが実に良いと日高先生。

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