定年後の読書ノートより
ライフサイクル、河合隼雄編、臨床心理学体系3
フロイトは、中年期以降の心理的葛藤は、幼児期に抑圧された無意識的な葛藤の再現であると主張した。父親には挫折体験がある。世の中、自分の思いのままにならぬことを知っている、それにも関わらず中年は頑張っている。中年期の理論的研究は、ユング、エリクソン、レビンソン等によって、進められた。中年の自信には、2通りある。ひとつは、他人はどうあろうとも、自分は自分という自信、もうひとつは、他人と比較して、自分はマアマアという自信。マスロー、ロジャース等は、中年における自己実現に注目し、自己実現の道を歩むかどうかは、自由意志と勇気によると主張した。

定年退職期の自我同一性再体制化には幾つかのパターンがある。積極的歓迎型、受動的歓迎型、危機型、あきらめ型。積極的歓迎型には、定年後の具体的計画があり、仕事にせよ、個人的な楽しみにせよ、主体的に取り組む姿勢が示される。自分が持つ様々な能力を発揮し、人生を享受しようとする姿勢。より自分らしく有能に、豊かに生きる事とは、自己の有限性の認識でもある。自我同一性とは、本当に自分らしい生き方とは何かを問い詰めていく生き方である。自我同一性は生涯を通じて深化していく。

我々のイキザマは犠牲を含むが故に、かけがえのない一生である。様々な可能性を犠牲にして、自らが選択したたった一つの生き方を選択する死すべき存在としての自己。エリクソンは言っている。我々の一生は、成熟への一方通行である。

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