定年後の読書ノートより
マルクス、W・ブルーメンベルク著、東大教授浜井修訳、理想社
目下マルクス資本論を再度挑戦中。難解な古典だが、読めば読むほどその深い思索に驚き、この資本論を最後まで読み切れるのか、時々不安になる。また自分の一生もうどのくらい遺されているのか判らないが、今望む事は、自分が死ぬまでに是非資本論だけは最後まで読破し、その内容を理解したいと思う。自分にとって、生涯資本論を読破出来たと自分に言い切れたらそれでもう自分は充分生きた価値があったと思う。

この伝記は1961年、まだソ連がマルクスを神格化し、マルクスの生涯を偶像化しようとする政治権力が強かった時に、かって発表を阻止されたマルクスの陰の部分の往復書簡等を、人間マルクスを赤裸々にするためあえて前面に出して、読者に真実を問うている伝記である。

それだけに極貧と言われたロンドン亡命生活で、その実想像以上のお金を無造作に消費していたと思われるふしがあるし、家政婦ヘレーネ・デームートに生ませたマルクスの息子フレディーをエンゲルスの息子として養育させ、マルクス死後、エンゲルス臨終間際にカウッキー夫人にエンゲルスが真実をもらしていた証拠とか、エンゲルスの内縁の妻が亡くなった報の返事に、お悔やみもそぞろに金工面を請求しエンゲルスを怒らせた話等、かって伏せられた恥部をここでは読者に堂々と資料提供する。

しかし、1961年当時はこうした伝記には随分風当たりも強かったことと思うが、ベルリンの壁崩壊し、今やマルクスをもう一度第1歩から学び直そうとする我々には一つの良い資料であった。決して虚偽で固めないマルクスの伝記、これを読んでもう一度マルクスを知るのは今大切なことなのかも知れない

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