自転車の歴史探訪

 
日本の自転車変遷の試案

 日本に初めて自転車が到来してから明治30年までの変遷について考えてみたい。どうも判然としない期間が多い。例えば明治10年頃には主にどのような車種の自転車が日本国内で見られたか、或いはオーディナリーが何年に現れ、何年ごろまで見られたか、などである。当然、日本国内と言っても地域によってかなりの格差や差異があったであろうから、ここでは主要都市での変遷ということになる。明治30年までとしたのは、安全型が定着し、一応自転車の形式が現代のものと殆ど変わらないからである。材質とかパーツなどは、これ以降も進化して行くのであるが、基本的なダイヤモンド・フレーム形状は、ほぼ固定したからである。

 それでは、試案として下記に図式化したので見ていただきたい。この試みは既に1989年9月(会報”自転車”48)で実施しているが、今回この歴史探訪を記述しながら、自分なりに再度整理し、変更の必要性を感じたからである。他意はなく一つの目安或いは参考として提供したいと思うからである。


★日本の自転車変遷図表★
--M1------------------M10-----------------M20-----------------M30---

---<ラントン型>-------------------------------------------------------

-----------------------<三輪車・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・>------------------

-----------------------<ミショー型・・・・・・・・・・・・・・・・・・>------------------

-------------------------------------------<ダルマ型>----------------

---------------------------------------------------<安全型・・・・・・・・・・・

          
ラントン型・・明治元年〜明治5年(ラントンの登場と竹内寅次朗の木製三輪車)
三輪車・・・・・明治10年〜明治25年(各種の三輪車、シンガーとメテオは明治14年頃から)
ミショー型・・・明治10年〜明治25年(木製国産ミショー型)
ダルマ型・・・明治19年〜明治27年(コロンビアの輸入と木製国産)
安全型・・・・・明治25年〜(ビクターの輸入、アッセンブル方式国産)

 この表で空白期間、例えば明治5年〜明治10年などは、まったく自転車が無かったという意味ではない。単に普及期から外れているとの解釈である。

 安全型も細分化すれば初期のソリッドタイヤ、クッションタイヤ、空気入りタイヤの時期と分けることができるが、ここでは安全型で統一した。理由は、数年の短期間で移行したことと、併用期もあったからである。

 以上、試案として作成したが、今後も新しい資料が発見された段階で、微調整或いは抜本的な改正をしたいと考えている。

参考資料:

●「日本における初期自転車変遷の試み」大津幸雄
  日本自転車史研究会 会報”自轉車”48 1989年9月15日発行