21回実技講習の報告

                                記:玉井進吾郎

日 程:200723(土)〜4日(日)

行動記録3日 JR比良駅(09001010)〜大山口11:45(ダケ道)〜カモシカ台1252〜北比良峠1415〜八雲ヶ原1440、テント設営

4日 起床0400〜出発0610〜コヤマノ岳の分岐0830〜武奈ヶ岳0936〜分岐点1015〜テント場(11101200)〜カモシカ台1315〜公園トイレ1430〜比良駅1520

参加者:(スタッフ)L.玉井、有元  

(受講者)  大澤、清水

目 的:雪上の歩行技術及びテント生活技術

 

 

行動概要:

23日:集合はJRの湖西レジャー号の3両目に乗り合わせることにしていたが、大澤が乗っていない。ケータイで連絡を取ると「30分遅れる」ということだった。おかげで?比良駅ではゆっくり装備を着用しながら時間を潰す。県連救助隊の雪上搬出訓練も比良で行なわれるので20数名が集まって出発の準備をしていた。大澤が40分ほど遅れて到着し、1010出発した。琵琶湖周辺は23日前の冷え込みによる降雪で一面白くなっていた。清水はこんな景色に大喜びで感激していた。天気は快晴、寒気も去って歩き始めると暑くて堪らないくらい。上は長袖の肌着になったが、下はパッチにオーバーズボンだから汗だくである。それでも国道の神社からは雪道を歩けて雪山気分は十分だ。始めは清水がトップで歩く、元気がいいのでドンドン先を歩く。イン谷口の国定公園管理事務所の登山届けBOXに計画書を入れる。前回と同じくダケ道をルートにした。カモシカ台の少し下から大澤がトップを替わった。彼女はゆっくりながら頑張って歩く。13時ごろ、救助隊パーティーに追い抜かれた。午後になって少し雲が出て来たが天気は続いた。八雲ヶ原に着いてテント場をどこにしたらいいのかを考えてもらう。広い平地だからどこでもいいが、風向きや地形などを考えて場所を選定した。雪面の踏み固めから始めてエスパース1号テントを設営した。テント内に入ってお茶を飲むと直ぐにラジオの天気通報が始まり全員で聞き取り天気図を仕上げた。明日の予報は移動性高気圧の張り出しで晴となった。雪を溶かして水を作る「水道局」の作業を始めるが、ここの雪は新雪でも湿った効率の良い雪だから簡単に水が作れた。夕食は定番のキムチ鍋。今回の食担は清水がやった。同じメニューでも担当が替われば食材や味付けも変わって大変美味しい夕食となった。20時半ごろに就寝。

 

24日:夜半からテントに雪の降る音がしていたが、朝まで降り続いている。全員、昨晩は寒くなくて快適な寝心地だったようだ。お茶を飲んでから朝食のラーメンを作る。これもたっぷりの具材で朝から満腹状態になった。外は新雪が10cmほど積もり、風があった。予報が外れたのは何故だろう。有元が後日調べてくれることになった。雪山らしい光景となり、登山教室の雪山講習としては良いロケーションだ。ワカンを履いて出発する。スキー場跡の斜面でトレースのない所を横一列で登る。次の斜面の傾斜が急に変わるところで弱層のハンドテストを行なう。上10CMが昨晩の新雪で指先の加重で剥がれた。その下40CMに旧雪があり、この面でも剥がれた。有元の判定では上10CMは踏み抜いて歩行するので問題なし、ということであった。小雪が風に吹かれ、小さな雪庇も見えたのでその構造と危険性を説明する。交代でラッセルしながら稜線を目指す。清水はワカンを履くのは全く初めてであるが、何のトラブルもなく、ラッセルもよくやっていた。コヤマノ岳から北に延びる稜線の手前で単独行者がテントを撤収していた。彼は昨日坊村から西南稜を6時間ラッセルして登って来たそうだ。8時半ごろ、樹林の中でツェルトを張って休憩する。ここでワカンを外し、今度はアイゼンを装着した。坪足でもいいのだが、雪の中でのアイゼン歩行の練習とした。昨日のトレースはほとんど消えており、赤テープの標識やトレースの残骸、ブッシュの切り開き状況を判断しながらルートを見つけながら歩く。武奈ヶ岳が近づき深く掘れ込んだ登山道はまるでブッシュをくぐりながらの障害物競走だ。ピーク手前で清水は大澤を待って登頂を彼女に譲った。残念ながら今回も展望に恵まれなかった。降雪は収まりかけたが、風は強い。記念写真を撮って早々に下山する。分岐点からイブルキノコバ経由で帰ろうとしたが、トレースもなく、ラッセルで時間がかかりそうなので往路を帰ることにした。10時半ころから少しづつ天気が良くなり、スキー場跡最上部からは琵琶湖まで見渡せるようになった。

 

八雲ヶ原のテントに帰り着いて直ぐに撤収作業にかかる。救助隊のテントは既に撤収し人影もなかった。12時に下山を始め、往路のダケ道を下る。登山靴での下りは滑らないように足の置き方に工夫を要する。昨日の朝のように再び陽射しが強くなって暑くなって来た。降るにつれて積雪も少なくシャーベット状になった。公園でトイレ休憩、そこからは雪はすっかり消えていた。振り返った比良連山の雪化粧も落ちていた。比良駅に1520到着し、「一休」で反省会を行い、1620の電車に乗った。

 

講習を終えて:

今年になってロックガーデン(1/7)、比良山(1/13夜〜14)に続き3回とも雪が降り、雪山の実技講習としては良いコンディションとなった。今回は直前の降雪、さらに1泊中に降雪があり、冬山らしいロケーションに恵まれた。コースは前回と同じダケ道を取ったが、多くの登山者で踏まれていたので歩き易かった。歩行練習は登山靴に加えてワカンとアイゼンで行なった。また、ラッセルも少し体験した。清水は全く初めてだが、ワカン歩行は上手に行ない、ラッセルも良く出来ていた。大澤は経験があったが、体力不足が問題である。アイゼンを履いたが、柔らかい積雪なのでアイゼンの威力を試すことは出来なかったのが残念であった。これだけは関西の山では練習が出来ない。コヤマノ岳からの稜線ではトレースもなくなり、ルートファインディングの練習も出来た。下山の際はザックを担ぎ、バランスを取りながら登山靴の足捌きの練習にもなったと思う。雪山のテント生活技術はテントの設営と撤収、水作り、テント内でのコンロの扱いや食事の準備などを体験し実地で学ぶことが出来たことだろう。生活技術については今回特に問題点は無かった。最後に大澤の遅刻であるが、最善を尽くして遅れる場合もある。問題はその後の対処が大切である。改めて言うことではないが、パーティーとしての一員であることを意識して行動してもらいたい。

 

 

清水 玲子

     反省として、装備のチェックが不十分であった。(@スコップ、ゾンデを二つ持ってきた。坂崎さんから送ってもらったので、手持ちの分は有元さんに当日返却するものと早合点した。有元さんに電話で確認するべきだった。Aヘッドランプの電池切れ(前日に確認したときは点いた。予備を持っておらず、大澤さんにもらった。)

     冬靴にはだいぶ慣れてきた。当初は舗装路やガレ場を歩くのが苦痛だったが、今回は比良〜イン谷口の往復も歩けた。これは、積雪があったこともあるが。)

     服装のレイヤリングもだいぶわかってきた。自分がどれくらいの装備が必要か(行動時・休憩時・就寝時)。

 

     先月歩いた同一ルートであり、前回よりも積雪量が多く、荷物が重かった(20キロ弱)ので、いいトレーニングになった。(景色を見比べたり、ルートの残量と疲労度を比べたり、余裕をもって取り組めた。)

同じルートを続けて登ることは、普段あまりしないので、いい勉強になった。機会があれば、春夏秋冬1回ずつ登ってみたい。

    初日は新雪と無風・快晴という絶好のコンディションで景色を楽しめ、2日目は深夜からのさらなる積雪と武奈稜線での突風など「本当の冬山」気分を味わうことができた。景色が雄大で迫力があった。

    樹林帯では、トレースの消えた部分もあり、赤テープなどの目印がなければもっと不安だっただろう。読図とコンパスの必要性を感じた。

    テント生活も先月から2回目で、スムーズに行えた。食糧計画も、自分で考えるいい経験になった。今回は近場なので省スペース化・軽量化にあまり気を使わず材料を切ってきたりしたので、次回はその点も考えたい。「おいしい」と言ってもらえてうれしかったです。

    歩き方は、指摘を受けたとおり、トップを歩くときにパーティーへの配慮が足りない。特に荷物が重いとき、自分の歩行に自信がないので、少し距離をかせぎたい(2番手の人にあまりピッタリ後ろにつかれたくない)という気持ちがある。その結果、2番手の人と3番手の人の間に別パーティーが入ったことに気づかなかった。

    冬山では、休憩終了や、テント撤収後の行動開始(アイゼンやワカンの付け外しなども含め)のとき、他のメンバーのペースにあわせすばやく準備しないと、待たされる人は寒くて体力を奪われると感じた。

    玉井さん、有元さん、大澤さんのおかげでとても楽しい山行でした。ありがとうございました。

 

 

 ♪大澤律子

720三ノ宮発の新快速に乗り遅れて皆様にご迷惑をかけて本当にすみませんでした。イン谷口で追いつけない時は、八雲ヶ原まで自分で行けるか?と思って比良駅に940に着くと、清水さんが見えたので助かったーと思いました。

 

 ビーコンの確認テスト等して、1010比良駅を出発。その前に私はスコップの先をリュックに入れて出発しようとしていた。何の為の装備か?雪崩等に対応出来る様に!何も考えていないボケナスの私です。お天気に恵まれすぎて、汗ダラダラ。前回は長袖だった下着を今回は半袖にしたのに!冬山でも下着でなく、1枚になって歩ける様にする事。大山口の小さな橋に5cm位の積雪があった。1時間より短めで休憩になった。私の歩き方では休まざるを得なかったと思いました。でも、その時まだカモシカ台に着いていないのが非常に残念でした。

 

 八雲ヶ原では途中、先を越された朝元さん達レスキューの方々が一番テント場に良い様な所に集合されていた。私達は少し先の所でテント設営で、場所の選び方などを考えて、テント場の大きさや入口の向きにも気をつけてテントを張り、ペグを雪面より40p位深くにうめて、紐をすぐほどける様に結び、一番に清水さんにテントに入ってもらってザックを取ってもらい、タワシで雪を落として靴も中に入れた。400までにお茶をして休憩でき、天気図を書く。私はその仕上げに時間がかかりすぎる。野菜がたっぷりでおいしいキムチ鍋でした。私のアウターの上着もオーバーズボンも選び方ダメなのが分かりました。静かな夜でした。

 

 4日の400起床時はテントに雨が当たっている様な音がしていたが、雪が降っているとの事。600に出発、スキー場の斜面だった所で、全員が直径30p、深さ70p位の円柱を作り、ハンドテストの実習が出来た。有元さんのコンパスは斜度が測れる様になっていた。

 

 玉井さんが武奈ヶ岳に行きますと言われ、『また行ける、ラッキー』と思った。ワカンを付けてラッセルをする時、有元さんも清水さんも長い事出来るなーと感心しました。トレースが分からない時はピッケルで何ヶ所か突くとよく違いが分かった。途中、ワカンからアイゼンに変える時、ツェルトを出してもらえて、ツェルトの有難さが分かりました。歩行中、有元さんに“普通に歩いて”と声をかけてもらうと、その気になれて良かった。武奈ヶ岳に着き、写真撮影して、下山途中、イブルキノコバの方へだったか、変更になった。雪山は恐いと思った。テント場が近くに見えた時は、緑のテントがとてもきれいな良い色のテントに見えた。玉井さんが言われていた1200頃に下山出来る様になって良かった。大澤はもっと手順を考えないといけない。帰路歩行時、もう少しスピードを上げて歩こうとした時、悪い左膝でない右の膝に違和感があったので普通に歩きました。滑りやすい所を通過したと思ったらその先で気が抜けたのか、転んでいました。気が緩んでいる自分に恐くなった。玉井さんがカモシカ台で休憩と言われて、大澤は内心大喜び。もう少しで大山口の所で、有元さんが、この付近で大怪我された人の話をされ、気が締まった。無事にイン谷口のトイレの所に着き、ホッとする。駅まではまだまだで、懸命に歩き、320比良駅着。休憩と反省会をして423の電車に乗る。今のままでは、終了山行の八ヶ岳に行って良いものか心配です。でも是非行きたいと思うので少しずつトレーニングします。

 

玉井さん、有元さん、たくさんの御指導ありがとうございます。清水さんのおかげで楽しめました。ありがとうございます