8回実技報告

記:大杖哲司

年月日:200671日(土)〜2日(日)        

目 的:登山教室実技(縦走、テント生活、パーティシップ)

山 域:氷ノ山

参加者:(スタッフ): 大杖(L.)・朝元(装備)・玉井・伊東(食糧会計)・有元(班L)  

(受講者):伊部美穂(食糧)・大沢律子(装備)・清水玲子(記録)・山對 肇(食糧) 

行動予定:東尾根〜氷ノ山(幕営・座学)〜ぶん回し〜鉢伏山

テント生活の班分け:テント45人用(L.有元、朝元、大澤、清水)

          テント5人用(L.大杖、玉井、伊東、伊部、山對)

 

行動記録  (行動時間 一日目2時間40分、二日目2時間45分)

 1日 1050民宿出発〜1140奈良尾登山口〜1210避難小屋着〜1230避難小屋出発〜1330神大ヒュッテ着〜1415山頂到着〜1430テント設営(各班で休息、夕食作りなど)〜1600気図記入後夕食(朝元・清水、神大ヒュッテまで水を取りに往復)〜1920座学(パーティーシップについて)〜2115就寝(夜間、一晩中、南西の風が強かった)

 2日 400起床・朝食〜515テント撤収完了(依然風強く、悪天候のため、昨日のルートで下山を決定。)〜540頂上小屋出発〜615神大ヒュッテ通過〜725避難小屋着〜〜805奈良尾登山口〜838民宿到着(コーヒーをいただく)〜910天気図記入〜950駐車場発〜10101100入浴〜1100昼食・反省会〜1215各車に分乗して解散

 

経過とまとめ

天気予報は両日ともに雨だった。民宿を出発するときには小雨で雨具は下を着用して出発した。梅雨の最中なので仕方がない。東尾根の避難小屋からは樹林帯のなかで雨はあまりあたらず風があって涼しい。ブナの林がみずみずしい。全員ほぼ快調に歩いている。難なく頂上小屋に着いた。小屋で休憩してから風雨の外に出て幕営する。頂上から少し南に下ったところに水洗トイレがあり、その近くの空き地にテントを張った。設営は特に大きな問題はなし。風があるのでテントの袋などが飛ばされないように注意しなければならない。テントの45人用はフライが良くない。5人用はテントを固定するスリングをつけていなかった。強風であれば必要だ。設営後に天気図を書く。受講者は書き方に個人差はあるが今後経験を重ねれば登山教室終了時点で書くことには問題ないだろうと思われる。前線の動きを読むのは難しい。後で有元の解説をきく。下山後も車中で9時の天気図を書いた。受講者は昨日よりもよく書けていた。テント生活も特に問題なし。食事つくりも協力して順調に進んだ。ただ食糧・装備を班ごとにわける準備が不足していた。準備ミーティングでは班の打ち合わせも必要だった。修了山行にいかす教訓が得られた。食後に明日の水が足りない可能性がでてきて朝元、清水が神大ヒュッテの水場まで汲みに行った。この頃は雨も風も収まり雲海が美しく日本海も見える。明日歩く予定のぶんまわしもよく見えた。夜は座学「パーティーシップ」を行なう。今年5月におこった釈迦ヶ岳の事故事例をもとにパーティーシップを話し合う。この事故は募集山行のようで引率者も一人だった特殊性はあるがパーティーシップが不足すれば山岳会の山行でもあり得ることである。原則をはずれることをしなければ大丈夫なのだが、何が原則かについて認識を一致しておかないと食い違いがでてくるのは間違いない。安易に流れてはいけない。夜中は風がテントに吹き付けて目を覚まされることが数度あった。朝になるとガスで視界が悪い。出発時間になると雨と風が強まる。とりあえず頂上小屋に入って判断することにする。ぶんまわしは風が強いため東尾根を下ることにした。濡れた下り道に注意しながら民宿まで歩いた。民宿でコーヒーをいただいてから車に乗る頃には天気がよくなってきた。今回は縦走ができなかったがそれ以外は成果と改善すべきことが確認できた。前期終了山行にむけて最低限のことはできたと思う。

 

反省会での感想

伊部:氷ノ山は27年ほど前に来て以来。途中、避難小屋や頂上トイレなど整備されていて助かった。当時はクマザサをかき分けて登ったイメージがあった。今回天候悪かったが整備されており登りやすかった。夜の風にはびっくり。あまり眠れなかった。食糧担当だったが伊東さんにおんぶしてしまい、これからは受講生でできるようがんばりたい。

山對:前回の時2週間ぶりだったので今回は火曜に少し運動しておいた。だが、昨日の最初の登りで避難小屋に着くまで、暑くて体が重かった。その後、登りは楽になったのにリーダーから離された場面があり、自分の歩き方が悪かったのか?初めて登りでストックを使ったせいもあるかもしれない(ストックは年に12回しか使わない)。いろいろ勉強になりました。今日、下山のときは、昨日どうしてあんなところでへばったのかな?と感じた。

大澤:先月2回不参加だったせいか、昨日太ももが攣りかけた。去年六甲全縦で雪が降ったときもツリかけて、足は正直で信号が出る。無事降りることができ、よかった。昨日はエラい風でびっくりして、こわいなーと思った。寝にくかった。でもいい経験できました。

清水:氷ノ山は初めてで楽しみにしていた。雪山遭難のイメージがあり、細い険しい道を予想していたら、整備されていて歩きやすかった。3週続いたので体が慣れたのか、楽に歩くことができた。ボッカのときは歩く途中で筋肉の疲れを感じた。今朝は天候が悪く、神大ヒュッテまでの下りも、昨日朝元さんと水を取りに降りたときとは違う印象で、状況により違うことを感じた。今日の歩き始めは緊張感があった。神大ヒュッテでも止まらず歩き続けたが、どこまでいったら休憩か、メドを知らせてほしかった。小屋泊ではできない経験ができた。

朝元:反省点としては、登る前、降りた後のストレッチができていない。装備・食糧の分配がきちんとできていなくて、テント班にきちんと分けられていなかった。以上は反省として修了山行に生かしたい。夕べの雲海は見事でした。

有元:同様に、装備・食糧の分配について、通常はできているのにチェック不足であった。テントでは大沢さんに敢えて風の当たるところに寝てもらった。

伊東:食事作ることは慣れた人が多かったので手際よくやってもらえた。9人分の食糧計画は初めてで、実際にやってみるとメニューなどどうすればよいのかわかった。はじめから二つに分けてこればよかった。手早く準備できるように下ごしらえはしてきた。    

玉井:メラピークでは45人用テント2班というのは稀で、そういう意味で手馴れておらずいい教訓になった。これで改善されるのでは。昨日の登りのペースとしてはまあまあだった。修了山行本番では荷物がそれぞれ23キロ増える。今回は風も強く、地面が斜めのテント場などいい体験できたのでは。

大杖:食糧と装備の反省点については修了山行に申し送りする。今回はパーティーシップ、テント泊、テントかついでの縦走がねらいであった。縦走はできなかったが、1500メートルでのテント泊は体験でき、8割方成功ではないか。今回は教室ということで、山頂小屋を利用せず、トレーニングのためにテント泊とした。次の雪彦をへて本番となるが、体調整えて参加できるように。

 

伊部美穂

27年ぶりの氷ノ山でした。あの頃は木道の印象はあまりなくクマザサをかき分け登ったような気がします。それに比べ木道が整備されたり避難小屋があったり、頂上にはバイオの水洗トイレがあったりと時代の流れを感じました。途中細い道もありましたが、比較的登りやすい山でした。天気は悪かったですが、夕食後外にでると雲が晴れて360度パノラマの見晴らしで、玉井さんに山々の説明を聞きながらしばし景色に見とれていました。

 夜中は突風のテント泊、風が吹くたび頭をテントでおされ、目を閉じて眠ろうとしたのですがねむれません。ついつい何度も寝返りして両隣には迷惑かけました。なんとか雨は小降りでテント撤収までもってくれていたので助かりましたが、天候や参加者の状態によっては避難小屋での泊まりなど検討が必要になることを感じました。また出発時には大雨だったので縦走中止は仕方なかったと思います。雨の下りは苦手です。ついつい力が入るのでのストックに助けられました。

 早く下山したので天気図の記入、「えっ!まだするの」と内心思いましたが意外と集中できました。いい加減なものです。本当に連続で指導して頂いているのに申し訳ありません。帰りには温泉に入りずぶ濡れだったので疲労もとれて気持ちよかったです。反省会では参加者やスタッフの意見を聞くことで勉強になりました。今回食糧担当でしたが伊東さんに頼りっぱなしだったので反省しています。

 3週連続の山行は体力が不安でしたが、はじめのボッカがきつかったので後はなんとか乗り切れました。体力がついてきてるのかな?

 今後の自己課題:@事前に地図を確認すること A任務分担を意識しておこなう B毎日のストレッチ C雨具購入 D歩き方 E天気図学習

 座学「パーティーシップ」リーダーシップ・メンバーシップ の学習では、メンバー一人ひとりが山行の目的・全体像をつかんで参加すること任務分担をとおしてお互いに協力しあうことが重要であることを学びました。また、事故事例をとおして考えていると事故の可能性はどこにもひそんでいるということを感じます。安全で楽しい登山を続けるためには体力・知力が必要ですね。

 

♪大澤 律子

 土曜日700県連前集合、玉井さんの車にはすでに有元さん、山對さんが乗車され、私が乗車して出発。車中、有元さんの差し入れのさくらんぼ(日本産で大粒)を頂く。非常においしかった。舞子で今日のリーダーの大杖さんが乗車されて、5名で出発。菊屋さんに着き、コーヒーとパンを頂き、10509名全員で出発。駐車場横の道からスキー場を通り、車道の所に大きな登山口を表した石標があり、有元さんからこれが氷ノ山で10年前に労山の方4名が遭難され遭難碑は作れないのでこの登山口と彫られた石標が作られた事の説明を受ける。

 神大ヒュッテを通り、東尾根コースで氷ノ山山頂1420着。雨の為、山頂小屋で休憩。私は内心、悪天なのでこの小屋泊だったらいいのになぁと思っていると、リーダーの大杖さんがキッパリと今からテントの設営をします。と言われ、設営場所をトイレ北側の平坦になっている所にし、2つのテントを並んで張りました。ペグで止めないで石を使いましたが、重い石が少なくて、どうかと思いましたが、この時は石をいくつも重ねる事とアルプスではペグを打てない所が多い事も教わる。テントで4時の天気図を書き、食事をほぼ済ませ、お水の量が心配になり、朝元さんと清水さんが1時間位かかる水場にまた降りて水をくんでこられた。テントに残った有元さんと私は、食事の片付けや着替えなどして待ち、ミーティングで隣のテントに移動、まもなく朝元さんと清水さんも帰って来られてミーティングが始まる。

 先にコースの事で、明日予定コースを十分に理解しておく事が大事なので確認する。それから座学の「パーティーシップ」が始まる。

1.山行中の「パーティーシップ」とは@リーダーシップ、Aメンバーシップ、Bメンバーシップが確立していればリーダーの指示は少なくなる。

2.山行前の「パーティーシップ」とは@メンバーの選定、Aコースの研究、B任務分担

3.「パーティーシップ」を考えるにあたり次の文章を読む。

『釈迦ヶ岳滑落事故』

4.登山における「パーティーシップ」とは

5.過去の山行でパーティーシップについて感じた事

この座学の釈迦ヶ岳滑落事故を取り上げられ色々と考えさせされたことは本当に有意義でした。それから、今回の悪天候でのテント泊も私にとって貴重な体験になりました。参加させて頂き、ありがとうございました。

 

 

 ♪山對 肇

7月1日(土)〜2日(日)の登山教室は、実技G縦走、テント生活、座学Eパーティーシップだった。2台の4WDに乗せてもらって行き、途中で、それぞれ分担するものを仕分けして受け取ったが、50リットルのザックに一杯になった。修了山行のときは、さらにヘルメットとハーネスが増えるので収納に一工夫が必要だと思った。奈良尾の民宿では、皆さんが民宿の方々と良い関係を築いておられる様子が実感できた。
 前日に、天候が悪くなるので、下りには気をつけるようにとのメールに従い、ストックを持っていった。ストックは日ごろ滅多に使わないし、登りで使うのは初めてだった。できるだけ丁寧に歩いたけれど足元は泥だらけになってしまった。ストックの使い方も間違っていて、教えてもらった。登りは蒸し暑くて避難小屋まではついていくのがやっとだった。一昨年上高地から岳沢への登りでも暑かったことを思い出したけれど、遅れそうになることはなかったので、やっぱり運動不足かな、と考えていた。避難小屋からは、稜線で良い風が吹いていたので助かったけれど、リーダーとの間隔が少し開いていた。頂上では、テントを張る場所を選ぶのを習った。少しの傾斜や石が快適さを左右する。テントの扱いも2度目なので、できるだけやってみたけれど、ポールを引っ張ってしまった。食事のメニューは、良く考えられている。美味で楽しい内容だった。修了山行のように日数がかかると違った準備が必要かもしれない。座学のパーティーシップの実例は、詳しい事実が分からなかったけれど、実情はツアー登山だったようだ。最初の転落のとき笛で通報した以外は、参加者の中にリーダーを助けようとした人はいなかったのか。下山途中に転落した男性の救助を求めたのかどうか、不可解なことが多い。パーティーシップとは、協力して登山するとともに危機管理のことであると思えば、その重要性が理解できる。ツアー登山では、必ずと言っていいほど、そのコースに参加する力の無い人が混じっている。疲れてくるとなんでもないような所でも足を滑らせるので、遭難のニュースは他山の石としなければ、と思った。夜は、風が強くテントが一晩中揺れていたけれど、軽い材質なのに丈夫なものだ、と感じた。翌朝、風が収まらないので、東尾根を戻ることになった。下りはいつまでたっても苦手だな、と思いながら後ろについてくださっている伊東さんの様子をうかがうと、いつも身体を垂直に保ち確かな足取りに、力の差を痛感した。今回の山行は、多くのことを学んだ。山頂から見た雲海の中にたたなずく山々は素晴らしかった。リーダーの皆さん大変お世話になりました。お疲れのとこを帰路も運転してくださった玉井さん、朝元さん、ありがとうございました。