登山教室後期修了山行報告

 玉井進吾郎

 

日 程2007年3月16日(金)夜〜18日(日)        

目 的:登山教室後期の修了山行

山 域:北八ヶ岳 

参加者CL・食料・会計―玉井進吾郎、SL・装備―有元眞理子、医療―伊東一江、

      写真―上田治、(受講生)記録―大沢律子 

行動記録3/16 2040JR西宮を玉井の車で出発〜名神を走り〜中央道・駒ケ岳SAで仮眠2400

3/17 0540起床・朝食〜出発0630〜諏訪IC〜JR茅野駅で上田が合流0720〜渋の湯(07500835

〜黒百合平(10451200)〜東天狗岳1305〜西天狗岳1335〜黒百合平テント場1450(泊)

3/18 0400起床・朝食〜出発0620〜高見石小屋(07400815)〜白駒池0835〜青苔荘0845

高見石下分岐0930〜渋の湯(10401215)〜茅野駅でミーティング(12401300)〜

西宮1900ごろに帰る

 

行動概要

16日、後期の修了山行は受講生2名、スタッフ9名の10名という予定で計画され、311日のミーティングも終わっていた。ところが翌12日に坂崎がインフルエンザ、井上が風邪、受講生の清水も風邪に続き、大杖も風邪、最後にCL予定の朝元が風邪となった。残りの受講生大澤はOK、スタッフも4人は参加出来ることが確認出来たので規模は半減したが予定通り実行することにした。任務分担が大幅変更となり、余裕をもって再チェック出来る状態でなかった。

 出発時に確認した天気予報は17日から冬型となり、寒気が入って来るとのことだったので寒さが心配であった。2040分に出発し、名神から中央道を走り、駒ケ岳SAでテントを張って仮眠をとる。

 

17日、SAで朝食を摂り6時半ごろ出発する。夜明けも早くなり、すっかり明るい。諏訪ICで中央道を下りる。茅野駅で関東から来てくれた上田君を無事ピックアップすることが出来た。初めての道路だが順調に渋ノ湯に着いた。空が青く天気は良い。装備や食料を再配分してパッキング、ゆっくりと雪道を踏み締めながら登って行く。夏道は石ころで歩き難いが雪が積もった今はかえって歩き易い。2時間余りで黒百合平に着いた。

 ここのロケーションは素晴らしい。数日前に降ったと思われる雪がシラビソ等の針葉樹に綿帽子となってクリスマスツリーのようであり、皆んな感動し気に入っている。先着の大部隊は大阪労山の冬山セミナーのご一行である。テントを設営し天狗岳に向けて出発する。風も無く良い天気が続く。

 

 歩行オーダーを上田、大澤、有元、伊東、玉井と編成する。上田君は八ヶ岳には詳しくまるでプロガイドよろしく案内をしてくれる。中山峠からは東に佐久盆地が広がり、近くに稲子岳南壁の黒い岩肌も見えた。峠からは尾根沿いに登って行く。左手東側は切れ落ちているので注意を要するが、クラストした雪面にアイゼンが良く効く。大澤は新調した登山靴とアイゼンを履き快調に登っている。時折、有元が大澤に爪先を上げよ!と指示を飛ばす。ピーク手前はクラストした急斜面になっており慎重に登る。東天狗岳に着き記念写真を撮る。遠く南アルプスの甲斐駒ケ岳、仙丈岳が、手前に赤岳、阿弥陀岳が見える。時間があるので西天狗にも行くことにした。こちらはほとんど雪道で特に問題は無い。帰りは東天狗のピークに登らずトラバースした。往路と違う賽の川原のコースを下って黒百合平のテント場に帰着した。お茶を飲んでからラジオ天気図を作成した。大澤は前より等圧線の引き方がサマになって来ている。天気図も練習次第だ。西高東低の冬型気圧配置に寒気が入っているので明日は余り良い天気ではないと判断した。しかし、上田ガイドは「明日も良い天気ですよ、国の天気予報より地元の予報が当たります」と別の見解を発表する。夕食は「肉鍋」で上田が担ぎ上げた八海山が美味しかった。

 

18日、4時起床。上田君のゴアテントも中側に霜が張り付いているが、水滴が落ちることは無い。今朝は放射冷却もあってかなり冷え込んでいる。6時の外の気温が零下19度であった。餅入りラーメンを食べテント撤収して6時20分に出発する。中山峠から昨日と反対に樹林の中を北へ向かう。途中で中央アルプス、御岳、乗鞍岳から穂高連山を見ることが出来た。天気は上田ガイドの予報どおりであった。長い下りで高見石小屋に着いた。気温も上がりここでは零下9度になっていた。高見石に登ってから白駒池まで下る。池は氷の上に積雪で一面白くなっている。凍った池の上を歩いて青苔荘手前まで歩く。クロカンコースとなっているゆるやかな登山道を歩き、高見石手前の分岐を右に折れ、渋の湯に向けて下って行く。渋の湯に1040分到着、温泉に入って出発し、茅野駅前で反省会を行なった。ここで上田君と別れ一路神戸へ車を走らせた。

 

修了山行を終えて 

 直前の風邪やインフルエンザでメンバーが半減するというハプニングがあったものの受講生が1人でも参加出来たから修了山行を予定通り実施した。北八ヶ岳は初級の雪山山行としてロケーションやコースタイムは大変適した場所であると思った。天狗岳への登りは雪の斜面がクラストしアイゼン歩行に適したルートになっていた。大澤さんは足に合った登山靴とアイゼンを新調したところであり、その歩行は余り問題はなかったようである。ただ、歩く姿勢がまだ前傾気味なので今後改善してもらいたい。また、爪先を意識して上げて歩かなければ引っ掛ける恐れがあり、この点も考慮していただきたい。テント生活は飲料水用の雪の採取、コンロでの雪作り、食事作り、寝る場所の確保など多くのことを学ぶことが出来たと思います。しかし、自立した登山者としての道は今スタートを切ったばかりだからとにかく山行を継続し経験を積んで行って欲しい。受講生の参加が1人だけになってしまったのは本当に残念であった。

 

 

受講生・大澤の感想

 今回の雪山、八ヶ岳山行は早くからとても楽しみにしていた。そして、それ以上に不安も感じていました。少し考えてみると、スタッフの方々に囲まれての登山教室の山行なので何も心配する事は無いのですが、前回の大山や比良山とは違って八ヶ岳ではテント設営場所が標高2300mの雪原です。低い所でも雪山の自然は大変厳しくなる時があるのに、低くない所なのです。 2645mの高さの天狗岳にも登ります。登る事は嬉しい事ですが、雪山の急登や急な下りに自分が対応出来るのか?など思っていました。ザックの事や靴の事は指摘していただき、直前なのに、有元さんに手伝ってもらって新しい靴を買う事も出来ました。

 

 16日夜830に玉井さんの車で有元さん伊東さんと私の4名で西宮を出発して、駒ヶ根SAでテント泊。17日朝720に茅野駅で上田さんと合流して渋の湯で車を駐車。835登山口を出発。上田、大澤、有元、伊東、玉井の順に歩く。分岐で5分休息の時、青空が見え出した。上田さんの予想では、今回の山行は絶好の天気に恵まれるとの力強いお言葉!実際そのとおりでした。1045に黒百合平着。黒百合ヒュッテの周りの景色のすばらしい事!そこでテント設営をして1200にテント場出発。中山峠を通り、東天狗岳着1305。途中の登りで酸素が少なく感じた。1335西天狗岳着。快晴で北アルプス、中央アルプス、八ヶ岳の赤岳や甲斐駒、仙丈もすばらしくきれいに見えた。

急斜面でもない所で私はアイゼンをひっかけ転倒したので気が引き締まった。足場の不安定な所はサッと通ってしまう事。1450テント場に着く。有元さんに付いて水を作る雪を取りに行く。15cmから20cm位の塊の雪が水を作りやすいそうでした。お茶をして、1600の天気図を書く。山行の時だけの天気図でも、良く書ける様になっていると、皆さん、有元さんから褒められました。夕食の玉井さんの肉鍋は、モヤシ、コンニャク、ネギ、ごぼう、豆腐、牛肉、焼肉のタレ、最後にレタスでたいへん美味でした。テントの外で、星がきれい!との声でした。

 

 18日朝400起床。テントの内側は霜で真っ白です。冷凍庫の中の様でした。カートリッヂのガスが着火しにくかった。餅入りラーメンの餅は小さな丸餅ではなく、普通の大きさの四角の切り餅で大きかったので、二つは腹持ちが良かった。620テント場出発の時、玉井さんが温度計を見て来られて、−19℃と言われた。700中山の少し北の展望台着。展望非常に良し。740高見石小屋着。高見石に上り、白駒池が白く見える。815高見石小屋発。どんどんと下り、830白駒池着。間をあけて一人ずつ池の上を歩き渡る。上田さんがズッコケてくださる。840に青苔荘着。少しの登りで息切れ。930賽ノ河原分岐着。ここまでの登り歩行で、有元さんにいつも言われていた体重移動と膝の曲げ伸ばしで、疲れなく歩ける事が少し実感できた。疲れてくると足の横幅が狭くなるので気を付ける。下ばかり見ないで前を見る様にする。957賽ノ河原着。雪があるので歩きやすい所です。登ってくる登山者と会う事多くなった。1040渋の湯着。入浴。昔の温泉に来た様。26℃の白濁のお風呂には冷たくて入れなかった。

 無事に下山する事ができ、スタッフの皆さんの心からの御指導が身に染みました。本当に有り難く感謝しています。伊東さんの言われた通り、北八ヶ岳はすばらしい所でした。メラピークの登山教室での経験をこれからの山行に活かせるように楽しく頑張ります。

 

反省会 茅野駅東口前ベンチで 12401300

玉井:これで修了山行は無事終わりました。天気は寒気が入ってもっと悪いかと思ったけ  

   ど良くなって怪我もなく終わりました。感想を受講生の大澤さんから。

大澤:初めは皆さん揃わなくて、みんなが揃うときにしたらいいと思ったけど、これが駄目なら、もうないという感じだったので、修了山行に参加出来て良かったです。お天気に恵まれ雪もあって景色も良かったです。歩くのもいろいろ教えてもらったことが今回はちょっと出来たかなと思います。体重移動しながら歩くことですが。それで歩くのが楽になりました。テント生活も素晴らしかった。水の雪を一緒に取りに行って良かったです。いろんなことを見たり出来たりして良かった。皆さんに愛情をこめてよく教えてもらって楽しめました。

伊東:この1年間の最後の山行が無事終わって良かったです。1年間って長いので、どんなんかなって思ってたけど。スタッフも少なくて大変だったけど、1年間スタッフとしてやってきて自分の勉強にもなりました。これからの山行に役立つと思います。前に来た時はお天気が悪かったけど、今日は天気が良くてよかった。

上田:会に入って近畿を出た初めての縦走でした。今まで自分ひとりの山行だったので、ギクシャクするところがあるんじゃないかと不安もありましたが、皆さんに大目に見てもらったのではないでしょうか。自分の問題としては先頭を切って歩くのは難しい。1〜2m離れて歩こうと思っていたのに気が付いて後ろを見たら56m空いていて、それでいてタイム通りに歩かないといけないし。遅くなってもいけないから。大澤さんの歩き方は私自身としては特にないかな。あとは装備のパッキングに手間取っているので、これは慣れれば早くなるかな。雪山自体があまり経験がないのかな?靴やアイゼンを買われたので、これからどんどん行って下さい。

有元:雪の八ヶ岳は初めてでいいところだと思った。秋に縦走したけど雪の時がいい。大澤さんは比良、大山と比べて格段に上達した。歩き方は意識したらもっと良くなると思う。普通に歩くといういことが出来るようになったし。アイゼンの踵が引っ掛かりそうになることがあるので気をつけて。急斜面では休憩しないで一気に登ってしまう。足場が崩れたりバランスを崩したりしたら危険。まだ前にかがんでいる。景色見た?

玉井:みんなも言っているけど、このコースは初級の登山教室としてはいいところだ。アイゼンがないと歩けないところもあった。ロケーションも良かった。夏の修了山行と、それぞれに良かった。大澤さんは初めと比べたら力がついたと思う。バトミントンか何かで膝を傷めたけど、こういうときには、あんまり無理しないほうがいい。後期の修了山行は当初10名だったが、スタッフ4人と受講生1人が風邪で休んで半減し、寂しくなってしまった。大澤さんはこれを出発点としてやっていって欲しい。

有元:これからどういう山へ行きたい?

大澤:家庭の事情で先のことが分からないのではっきり言えない。ただ、出来るときに出来ることをやって行きたい。家では他のことは考えられないので、外に出て、山のことを考えてます。

 

気象について 

 17日、160012時現在の気象通報を聞き天気図を作成した。雪を降らせた低気圧は、はるか東に去り、1032hPaの高気圧が南東に20kmで南東に進んでいる。12時、お天気は良く風もない。予報では冬型になるとのことであったが、高気圧のスピードが遅い。しかし、今日よりは冬型が強まると予測した。富士山は−20℃で上空に寒気が入っていることを示している。

 夜中、明け方と外に出た人の「星がきれい」という声が聞こえる。400起床。食事時、少し風が強くなったがすぐ止んだ。0630テントを出る。もう明るく快晴、風もない。しかし気温は-19℃。放射冷却で冷え込んだ。雪は締まりアイゼンが快適に効く。

 中山の展望台から見ると蓼科山にはレンズ雲がかかっていたが、北アルプス方面は上空に雲があるものの、雪を被った山並みが見られた。その後、お天気が崩れることはなかった。帰路、養老SAでは風が強く「山より寒い」と言い合った。交通情報でも横風が強いので主意するようにとの放送があった。

 17日、21:.00の天気図を見ると、高気圧は朝鮮半島の東にあり南南東に移動している。

この高気圧は1200の天気図にあった高気圧が移動したのではなく、その高気圧は消えて、新たに発生したものである。3月ともなれば厳冬期のように規則正しく高気圧が移動し冬型になるということではないようだ。少しの等圧線の凸凹に注目して、新たな高気圧や低気圧が出来ることを予測する必要がある。  (記・有元)