雪彦山第三弾・三度目の正直ならず

                              上田 治

日 程  84()5()

参加者  L.玉井、大杖、上田、坂崎(5日のみ)

ギ ア  ダブルロープ、カム、ナッツ一式、ヌンチャク(各自8)、アブミ一組(

)、捨て縄(支点補強用)、その他夏期アルパインクライミング装備一式

ルート  4日 三峰・東稜〜不行・弓状クラック(敗退)

     5日 地蔵・東稜〜凹角、正面壁(加古川ルート〜紅菱会ルート)

 雪彦での練習も3回目になった。課題であった前腕の引付けも多少力がついた。しかし、アブミの扱いは今だ不慣れ、ミスを連発した。愛用してきたプレートアブミを止めて、テープアブミを新調した。さらに、ボルトに掛けやすくするため、先端のオーバルカラビナにフィフィを装着した。しかし、練習量が足りないのか、下手糞なのか…

 

4日朝、台風一過の後とは思えない天気。雨こそ降っていないが、まだ梅雨明けしていないせいか岩場は濡れて苔で滑りやすい。三峰・東稜は、今回で2回目のトライ。前回は、1P(W,A0A1)の下部でてこずった。上田リードでスタート。A0で慎重に抜ける。上部は、左に回りこみ過ぎないように注意して、ガバのフェースを登った。2P (V+)は、大杖リード、ナチプロでランニングをきめてスムーズにこなした。コンテで3P目の取り付きへ。

3P(VA1)は、上田リード。前回は、右の易しいルートを登った。今回は、アブミの練習ということで左側フェースの人工ルートに挑戦した。垂壁の抜け口が核心となった。岩が乾いていれば手のひらのスメアで難なく越えるところが、湿気で手が滑る。良く見るとわりと大きなスタンスがある。しかし、落ちる不安からビレイヤーに声を掛けてトライ。スタンスへ乗り移るため、アブミの上段で立ち込み、右手斜め上の突起を押さえて、体重移動したと途端、右手が滑ってフォールした。掴むものが無く、落ちたとき逆さになったようだが、ビレイヤーがしっかり止めてくれたのでかすり傷程度で済んだ。(大杖さんありがとうございました。)ロワーダウンし、玉井にバトンタッチ。難なく抜けて終了点へ。

尾根伝いに不行岳へ。弓状クラック(X、A0A1)の下の草付きは、最悪の状態。人の頭ほどの浮き岩、もげそうなブッシュの幹を掴んで、落ちる前に駆け上がった。テラスでは、太い立ち木でセルフを取り、安定したビレイが出来た。クラック1ピッチをナチプロで登る予定で、玉井がトライ。しかし、必死に粘るもギアの重みに耐え切れず断念。大杖に交代。しかし、クラックのコンディションが悪く、終了時間も迫り途中で断念した。

 

5日、天気は回復し、日が照る一日となった。坂崎が合流。パーティは、坂崎−上田、玉井−大杖の2編成。各パーティは、個別に登ることにした。1本目、地蔵・東稜〜凹角ルート。坂崎リードでスタート、つるべで登る。このルートも2度目。しかし、凹角への取り付きは、記憶に薄いため坂崎にリードをお願いした。凹角(W)は、上田リード。前回と同様に、カム、ブッシュやチョックストーンに支点を取り、バンドを右に回りこんで終了。次のピッチ(V+?,A0 A1)は、坂崎リード、華麗なアブミさばきで終了点へ。上田は、A0で抜けた。前腕の引付け力は、それなりに付いたようだ。

正面壁・加古川ルートの取り付きへ移動。1P(WA1)は、上田リード。途中からアブミを使う。中間支点の間隔も短く快適に登れた。2P(VA0)、坂崎リード。1ピン目のボルトは、リングが落ちている。マイクロナッツのワイヤーを掛けて、ランニングを取る。3P(V+A1)、ここから紅菱会ルートに移る。フリー化されたルートと交錯しており、リングボルトのラインに白銀のペツルがきらめいている。上田がリード。小ハングを越えたところでZクリップ!直した直後にアブミを落とす2重のミスが続いた。坂崎のナイスなフォローでアブミを回収し、登攀継続。上部は、左クラックから棚に上がるところが核心か。ボルトが連打された所でピッチを切った。続くピッチは、坂崎に交代。チムニーを越えて左上する。ランニングを長く取る必要あり。余裕があれば、3Pは、チムニーの上で切りたいところ。最終ピッチは、坂崎リード。ほとんどピンがなく、ランナウトで頂上に抜けた。

 

今回のトレは、ミスの連発だったが、パートナー達のフォローで事故を回避できた。ありがとうございました。雪彦を満足に登れるようになるまでには、まだまだ、練習を積む必要があるなと感じた。

 

 展望台にて

坂崎感想

錫杖岳へ向けて最後のトレーニング。上田とパートナーを組んで登る。ルートの核心部分は上田に登ってもらった。カム、ナッツを使うことを意識し登る。加古川ルート2ピッチ目、ランナウトする場面で隣のルートの玉井から、ハンガーボルトの位置を教えられる。僕の記憶ではこれまでなかった支点であり、周りをしっかり見ていなかった。フリー化に伴い追加された支点でした。加古川ルート3ピッチ目で上田にミスがあったが初めてのルートであり戸惑いもあったのだと思う。ハング部分に対する苦手意識も余裕をなくしていたのではないだろうか。余裕を持って登ることでミスを防ぐこともできる。地蔵東稜〜凹角〜地蔵岳正面壁とつないで登ったが、もう少し時間を短縮できればいいと思う。トレーニングも終わってしまった。いよいよ本チャンを待つのみになった。錫杖岳に向けてミーティングし思いを一つにする。