2008年春山山行報告 白馬岳

 有元眞理子

 

日 程:2008425日(金)夜発〜29(火)

山 域:北ア 白馬岳

目 的:3000mの春山を経験する

参加者:L有元、食・財・記−清水、装−玉井、医・記−古久保

タイム:

4/25 2300JR西宮集合・出発 多賀・恵那峡SAで休憩 255駒ヶ根SA

4/26 仮眠後630起床・朝食 710出発 900白馬駅近くでパッキングと買い出し、岩岳スキー場近くで小屋のカギを受け取り 1010栂池着 ゴンドラ〜リフト乗車1105山頂駅着 1115大経大ヒュッテ着 雪かき・昼食 1600天気図 1630夕食 1930就寝

4/27 500起床・朝食 700行動開始 830稜線に出る・小休止 1000乗鞍岳ピーク着 小休止 1045白馬大池、小屋着 防風壁作り 1130テント設営 1200昼食 1240トイレイグルー作り 14001500滑落停止トレ 1600天気図 1645夕食 2000就寝

4/28 300起床・朝食 450行動開始 555小休止 ここから強風に 734小休止 820最後の直登 840白馬岳ピーク 855下山開始 930小休止(主稜をのぞむ) 1008看板 1030小休止 1130テント着 昼食・休憩 14001440 グリセードトレ(雪すべらず) 〜1540周辺散策 1600天気図 1645夕食 2000就寝

4/29 410起床・朝食・テント撤収 550行動開始 615乗鞍岳ケルン 630下りはじめる 715祠 750ロープウェイ駅 ヒュッテに寄り、林道経由 910ゴンドラ駅着・乗車 930駐車場着 鍵を返して糸魚川方面へ 1040道の駅小谷 入浴・昼食・反省会 1230糸魚川IC 1750西宮着

 

 玉井、有元が415日までネパールへ行っていた。春山の計画書は古久保が書いてくれていた。本来はこの秋のメラピーク登山のトレーニングとして大日から立山縦走の長時間歩行を予定していたが、朝元の体調が悪く遠征は中止になった。それなら、もう一度考え直して、伊部や清水が参加出来る山域に変えたらどうか?ということになった。結局伊部は都合が悪くなり、無理だと言っていた清水が参加出来ることになった。帰国してメールで任務分担や装備リストなどをやり取りし、21日の会のミーティングの後に、山行のミーティングを行った。そろそろ食担をと申し出た清水の提案は、現地で食材を購入し焼肉をしたいということ。当日は大阪経済大学の山小屋泊だから問題ない。小屋にはホットプレートもあるという。だったらアルコールは、、、と、ミーテイングから、えらい盛り上がった。天気予報は春らしく、ころころ変わる。まあ、少しは崩れるだろうが冬山には戻らないだろう。

出発は有元の都合で少し遅めだが2230にしてもらった。ところが清水がJRの事故で遅れて出発は2300になる。それでも予定通り駒ヶ根SAで仮眠する。4時間ほどの仮眠だが横になれるということは幸せ。

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大阪経済大学白馬ヒュッテの前で










大阪経済大学の山小屋 中はもっと立派で快適敵
白馬駅前のJAに寄る。開店は930。待ち時間の間に装備の受け渡しを行う。野菜も肉もいい品物がある。山菜もいろいろあった。山小屋の鍵をホテルに借りに寄る。この辺りは桜が満開だ。ゴンドラ乗場でザックのウエイトを計る。みんな25KG前後だ。なにしろビールが一人4本だからね。ロープウェイの中から小屋が見える。小屋まで下る。先ずは玄関の扉を開けるために雪かきをする。小屋は予想以上に立派な小屋で、電気も通っている。石油ストーブもある。3人は大感激!!古久保さん達が材木を担ぎ上げて作った小屋だ。お茶を飲み、掃除などして早めに夕食の準備をする。外は雪だ。お天気なら外に出て散歩でもしたいところだが。アルコールはたっぷりで、ストーブでサツマイモやしいたけを焼いて当にして飲み始める。1600に天気図を書き、その後、本格的に焼肉を始める。いい気分になり玉井、古久保は19時には寝る。有元も30分ほど本を読んだだけ。清水もその30分後には寝たそうだ。夜中風が強かった。


 

 

テキスト ボックス:  
白馬大池のテン場









立派なテン場と快適なトイレ
4/27 白馬大池まで行くだけなのでゆっくりだ。具沢山のスープとパンの朝食だ。ゴミは小屋にデポして帰りに取りにくることにする。お天気は曇り。積雪はザラメっぽく、少し潜る程度。古久保、清水、玉井、有元の順で歩き始める。ちょっとした登りが結構しんどい。乗鞍の登りは清水が頑張って登り切った。上は風が強く休憩場所を探すがちょっとした岩陰があるだけだ。ケルンが印象に残っているんだが、見当たらない。トラバース気味に小屋へ向う。有元の靴はサイドが効かないのでバックステップで下る。今回は温かそうだから夏靴で来たのだが、やっぱりダメだな。小屋は屋根の一部が出ているだけだ。だれもいない。今回も貸切だ。何もないだだっ広いところなので、ちゃんとブロックを積む。お茶を済ませ、先ずはトイレを造り、その後滑落停止のトレーニングをすることに。トイレはイグルーにする。ブロックを切り出し積み上げ、玄関を掘り下げる。立つことが出来る立派なトイレが出来た。滑落停止をしようとしたが雪が緩んでなかなか滑らない。形だけでもやっておこうと30分ほど、トレーニングする。小屋へ戻り天気図だ。変な等圧線だが、まあ、大きく崩れることはないだろう。夕食はホイコーロー。玉井は初めてだ。

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滑落停止

4/28 雪が緩む前に歩きたいので早起きだ。が、お天気はイマイチ。なんで?あの天気図でこんな天気になる?視界は20mほどか?古久保は夏道通しで歩く。まあ、視界がない時はその方がいいか。風も結構強い。いくつかのピークを越える。小蓮華はまだかな?鉄杖が立っているはずなんだが、見当たらない。おかしいなあと思いつつ歩く。視界は相変わらず悪いが、時々ガスが晴れるので歩ける。主稜線に出ると風は一層強くなる。視界も相変わらず悪い。目に前に急な雪壁が現れる。こんなとこ登るのかなあ。巻くんじゃないか?と思う。しばらく視界が出るまで様子を見ることにする。一瞬視界が出た。どうもこの壁を登るようだ。登り切ると見覚えがある景色がある。ピークは意外と遠い。やっとピークだが余りにも風が強いので記念写真を撮ると直ぐ下山だ。このまま視界がないと下りはトレースをきっちり追っていかないといけない。ところが幸いなことに、風は次第に収まり視界も良くなった。小蓮華からは大杖パーティーが登っているはずの主稜がきれいに見える。10人程が登っている。今頃取り付いた頃だろうか?風も収まりお天気はいい。トレースもバッチリだ。快適に登れるだろう。私達ものんびり歩く。テン場跡で休憩だ。緩い傾斜で玉井がアイゼンを引っ掛けて転んで少し滑ったが、ピッケルで止まった。気が緩んでいたとか?でも、斜面の傾斜はそのまま滑ればきつくなっている。下りはテン場へ向って直行だ。少し温かくなると雪が団子になる。プレートもあまり役に立たない。このまま下って快適な小屋で泊るという手もある。が、テントもなかなか快適なんで、やっぱりもう1泊することに。テントに入って、レーションでお昼だ。そして、ぽかぽかテントの中で昼寝だ。この時期なら、外で昼寝ということもあるが、今回はそれには少々寒い。ひと眠りして、グリセードの練習だ。でも、これも雪質が悪く出来ない。あんまり暇なので清水、有元は蓮華温泉方面へ散歩へ行く。古久保も途中の大岩まで付き合う。朝日岳がデーンと大きく見える。五輪尾根も明瞭。栂海新道が見えると思ったが、後で玉井に確認すると、見えないはずという。テントに戻りまたまた天気図だ。今回は3回きっちり書いた。予報は当らないが、、、、。今夜はキムチ鍋。食材がたっぷりだ。ジャガイモが中々美味しいことを発見。アルコールもたっぷりで、ゆっくり夕食を楽しむ。

 4/29 下山日は快晴だ。キムチ鍋の出しで雑炊だが、それにとろけるチーズを入れるというのが一工夫だ。なかなか美味しい。チーズはキムチに合う。テントを撤収しブロックを壊す。トイレのイグルーも壊すがその前に、清水が上に立ってみる。イグルーはかなり雪が締まって壊すのに結構時間がかかった。帰路はケルンを目指す。こんなところだったかな?兎に角まっすぐ登ったらそこにケルンがあって、そこからまっすぐ歩けばテン場があったと記憶していたんだけど。古久保は基本的には夏道を取るようだ。ケルンから大きく左へ向う。ここから天狗原へ下るのだが、結構きつい。祠を目指して下るとなると斜め下りになるので、真横にトラバースして傾斜の緩いところを下ることにする。清水はかなり急な傾斜もドンドン下る。有元はアイゼンがずれやすく、急な斜面は下れない。バックステップでトラバースする。直下降なら大丈夫と思ったがそれも、やや不安。で、再度バックステップで下る。春山も行けると聞いて買った登山靴だがちょっと無理みたい。ザラメのトラヴァースでもアイゼンがずれる。アイゼンを直しながらロープウェイ駅まで下る。当初ここにザックを置いてゴミを取りに行く予定だったが、登り返しが嫌だし、始発まで時間があるので、小屋からゴンドラまで歩いて下ることにする。

 林道はきれいに均されている。小屋は林道から直ぐだ。ゴミを分担して持つ。しばらく林道を歩き途中から樹林を下る。締まった雪で良かった。ゴンドラであっという間に駐車場だ。鍵を返しにホテルに寄る。昨日下界はいいお天気だったそうだ。やっぱり山だけだったんだ。帰りは日本海回りで帰ることにする。途中の道の駅で温泉に入って昼食、反省会を済ませる。大杖らも順調に登ったと坂崎からメールが入る。良かった。高速は意外と空いていて明るいうちに西宮に着いた。

 

感  想

清水 玲子

奇跡的にGWに休みがもらえ、参加できました。食糧担当をそろそろやらねば…と立候補。期間も長いので、定番メニュー+新鮮さで考えました。その感想も交えて。

1日目JRの遅れで遅刻し、皆さんを30分待たせてすみません。快調に運転していただき、駒ヶ根SAにてテントで熟睡。全然寒くなかったです。

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これがトイレ カイテキー
2日目白馬駅近くのJAスーパーで肉を買うぞ!とやる気まんまん。開店30分前に着き、パッキングをしながら待つ。玉井さんから「一人4本」のビールが「配給」されました。これで1.4キロ!ゴンドラ乗車前に荷物を計ると、みなさん246キロ前後。清水にとってはなかなか重い。でも食べれば減るし…。ゴンドラ〜リフトを乗り継ぐと、そこからわずか15分で大経大小屋へ。予想以上に(失礼)、とてもしっかりしたおしゃれな山小屋です。入り口に階段を作ったり、軽く掃除をし、昼食を済ませると、全員が外に出る気を失くしてしまいました。(小雨だったし)ストーブでサツマイモを焼きながら、「かんぱ〜い」。天気図をはさんで、ホットプレートで焼肉大会。JAで買った、「地元産豚肉」がとっても美味しかったです。締めはおかかチャーハン!男性陣は7時すぎにはお休みになり、有元さんと私は優雅に読書(山小屋に置いてある山の本)。大経大小屋、オススメです。古久保さんありがとう。

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登りでガスってすごい雪壁に見えたんだけど
3日目快適な小屋で目覚めもよく、朝食はベーグルにクリームチーズやツナをはさみ、コーン入りのポタージュスープ。ストーブでベーグルを焼けたので美味しかった。いよいよ行動開始、尾根に出るまでずっと古久保さんがトップ。暑くて汗が出る。祠を過ぎて、乗鞍の登り。ラッセルもあり、途中で清水がトップに。重い荷物で息が切れ、足が止まる。「足が止まらないペースで!」と有元さん。牛歩ってこれか、というスピードで進む。上がずーっと見えているのに、なかなか終わらない。上がるにつれて、風が強くなる。内心、「もう代わって〜」。みなさんの励ましで、なんとかたどりつく。今回一番体力的に「がんばった!」瞬間でした。

 白馬大池までは少しだが滑るところもあり慎重に。1045に小屋付近に着きテントの防風壁を作る。スノーソーの威力はすごい。道具は使えると便利。テントで昼食後、今度は「トイレイグルー」作り。仕事で、子どもとイグルーを作ったことがありますが、やはり「プロ」は違う。早い!特に玉井職人のこだわりには脱帽です。おかげで快適この上ないサイトができました。夕食は古久保さんレシピの回鍋肉。しかし、野菜の分量が多すぎて?途中から味噌鍋風に。古久保師匠、スミマセン。

4日目3時起床、朝食はもちと焼き豚入り棒ラーメンで温まる。少し緊張しながら行動開始、でも荷物がとても軽いので気が楽。昨日午後、小蓮華山方面に6人ほどの人影が見えていたが、その人たちが途中でテントを撤収していた。次第に風が強くなり、身体の右側から吹いてくる。でも、「2月の八ツよりマシ」。小蓮華山頂の印(鉄剣)が見えず、おかしいなあ、おかしいなあといいつつ歩く。ひときわ急な斜面が目の前にそそり立ったとき、視界が真っ白に。「このままだと、ちょっと待ったほうがいい」と玉井さんが言い、足を止めたがまもなく晴れた。これが山頂への最後の壁だった。「風やめ、風やめ、30秒でいいから!」と祈りながら、ピッケルをさして、一歩一歩登る。緊張感あるけど、これまた2月の根石岳の登りより、怖さが少しマシ。そして山頂へ到達。やった。でも下りもこわい。その下りは、だんだんと視界が開け、風も少しマシになり、写真を撮る余裕もでてきた。 小休止ポイントで、レーションをとりながら、「あれが主稜」と教えてもらう。人が何人も見える。大杖さんと上田さんかも。下りは「雪山に来ているなあ」と景色を楽しめた。でも、雪庇もあるし、スリップもあるので、気をつけねばならない。1130にはテント着。昼食のとき、「あれ、ほっぺた凍傷やで」と言われ、ビックリ!鏡で見ると、風のあたっていた右頬が5pくらい黒くなっている。やばい。ゴーグルも目出帽もしていたが、その隙間をやられた。雨具のフードが風にとぶので、かぶっていなかった。(帽子とヘルメットは着けていた)。ここで気持ちがかなりトーンダウン。ご迷惑をおかけしました。(後日談:皮膚科で塗り薬をもらい、1週間できれいに剥けました。もうほとんどわかりません。でもあの時は、消えないかも…と不安に。)その後、グリセード(雪がすべらずできず)練習や、周辺散策。有元さんと、遠くの雪山の姿に癒される。綺麗やなあ。空が青いなあ。夕食は、具沢山キムチ鍋。これでもか!厚揚げ、豚肉、豆もやし、ごぼう、ねぎ、玉ねぎ、こんにゃく、キャベツ、そしてじゃがいも、キムチにコチュジャン。美味しく出来てよかったです。夜に見た星空は私の人生でも3本の指に入る凄さでした。メガネをかけて、じっと見ていた。

5日目最終日が快晴というのは、後ろ髪をひかれますが仕方ありません。朝食はキムチ鍋の残りにとろけるチーズを入れたチーズ雑炊。お試しください。さっさと撤収し出発。大池の上を歩くとき、古久保さんが「落ちひんかな」と心配していたのがおかしかった。乗鞍のケルンで記念撮影。遠く雨飾山や妙高が見えました。そこから、「壁」下り。最初は何気なく歩きはじめたが、かなりの斜度。23度アイゼンが効かず足がずれ、ヒヤッとする。斜面にはシュプールがあり「これスキーですべったら最高やなあ」と思いながら一歩一歩降りていく。景色が球体のように広がり日の光で雪面がきらきらしていて、降りたいけれど降りるのがもったいないような気分でした。

 小屋を経由しロープウェイに乗らず歩いて降りるとき、これから日帰りで上がるスノーボーダーや登山者に会いました。「天気がいいから登る」地元の特権ですね。

 「次は縦走やな」と有元さん。でも全部の荷物をかついで歩くには、まだまだ修練が必要です。山に3泊もして雪山の行動にもだいぶ慣れることができたし、とてもリフレッシュできました。ありがとうございました。

 

玉井進吾郎

テキスト ボックス:  
        乗鞍の下り










 
 GWの雪山は4年ぶりでした。剣の赤谷尾根から北方稜線を池ノ谷コルまで歩いて以来になる。やはり春の雪山は良いなあと久し振りに思った。古久保さんの母校、大阪経済大学の山小屋がこれまた素晴らしかった。45年前に古久保さん等が小屋の資材を担ぎ上げて作ったという小屋だ。30人以上は泊まれる大きさで電気とプロパンがあり、快適な山小屋ライフが楽しめる。来年のGWはここを基地に白馬集中合宿だ!と飲んだ勢いで叫んでしまった。

 今回のルートは1996年のGWに登り、大雪渓を下ったことがあった。白馬岳への登りは先月の北八ヶ岳山行のような風が吹いていた。この時期としては積雪が多く、視界も悪いためルートファインディングに苦労した。前は楽に登れたのだったが、、、。 4時間足らずで無事、白馬の頂上に立った。下山し始めてから天気が良くなり、上田君等が登っているはずの主稜を眺める。ルートには10名ほどが登っているのを確認できた。

 いくら楽な山行とはいっても山小屋ライフを楽しむためには一定のボッカは避けられない。今回は缶○―ルを含めて23キロほど担いだ。これが出来なければ雪山とはおさらばだ。