小豆島クライミング PART

玉井進吾郎

◎日 程  200711月2〜4日  天気は晴

◎参加者  L.玉井進吾郎、上田治、大杖哲司(2〜3日のみ)

 

 9月に続いて今年2回目の小豆島のクライミングである。上田は前回ロープ摩擦と言うヒヤリハットを体験したが、小豆島の岩場がすっかりお気に入りだ。大杖は4年ぶりの再訪だ。4年前は県連登山学校の卒業生有志が唐沢岳幕岩でのアルパインクライミングを目指して雪彦山で岩トレに励んでいた。海の日の記念日に行く予定だったが、梅雨末期の大雨で急遽小豆島の親指岳に変更してダイレクトと赤いクラックを登った。坂崎も今回参加予定だったが、出産を控えている奥さんから自宅謹慎を命ぜられて涙を呑んだ。

 大杖は2日間しか参加できないので前半は親指岩でマルチピッチのクライミングを行い、後半に吉田の岩場で上田とフリークライミングをすることにした。

 

 

 

11月2日、姫路港に全員が集合し、09:45発のフェリーに乗船した。船中で話し合っていたところ、京都の雪稜クラブのOBだという角谷某が話し掛けてきた。結婚して子育て中でクライミングが出来ないと懐かしそうにしていたのでメラピークKOBEの名刺を渡しておいた。福田港からバスに乗り継いで橘の神社にザックを置いてさっそく登りに出かける。今日はダイレクトルートを登ることにした。13時大杖がリードで登攀を始める。取り付きのチムニーは支点のハーケン類が抜けたり、腐食しており落ちることが出来ない。上部は左のエスケープを回り込んで登った。2ピッチ目も大杖がリードする。3、4ピッチ目は上田がリードした。3P目は核心でフリーだと10Bだが、リードはA1、フォローでもA0でないと登れなかった。こんなボルトやハーケンではフリーで登る意欲なんか沸いて来ない。1615分にピークに立つ事が出来た。瀬戸内に沈む夕陽が美しかった。4ピッチの懸垂下降で取り付き点に降りた。藪の中はすでに暗くなりヘッドランプを点けて下り神社に1735着いた。大杖シェフの自宅菜園直送の野菜と魚の鍋料理を腹いっぱい食べた。

11月3日0500起床、雑炊を食べて0620出発。0620取り付き着。今日は赤いクラックを登る。大杖リードで0635登り始める。1P目は赤いクラックを越えたところでビレーする。2P目は直上し凹角下まで。3P目は二つ続く凹角を越えて左の滑り易そうなスラブを登る。4P目から上田がリードする。ここがこのルートの核心である。支点が悪いのでリードではフリーの力量がないと無理だが、フォローだとフリーでも挑戦できる。高度感もあり、楽しいクライミングになるだろう。5P目はランナウトした高度感のあるスラブを左上するが、上田は左に行き過ぎて昨日のダイレクトの大テラスに出てしまった。6P目、少し戻ってからカンテ沿いに登ってピークに1115着。下降路から下り、神社に1155着いた。1249のバスに乗り、福田港で大杖と別れて吉田のオートビレッジにテントを張り、岩場に向う。吉田の岩場は上田の報告に譲る。

 

 

11月4日、夜露に濡れたテントを干して8時からクライミング始める。9時半ごろ、一度戻ってテントを仕舞う。13時にクライミングを終える。1340のバスで福田港に着くと14時に臨時のフェリーがあったので具合よく早く帰ることが出来た。

 

 上田がアブミに付けていたフィフイを落としたり、ルベルソを忘れたこと以外には今回は特に問題となる反省点はなかった。このフィフイについては「役に立つより邪魔になるで」と雪彦山で言っていたが、やっと分かったのかな、、、。ルベルソを忘れたことは問題だが、それでかなり動揺して慌てていたのが問題である。冷静に対処してもらいたい。マルチで二人に言えることはルートファインディングが悪いことだ。事前にビレー点などを指示したのに間違っていた。登る前にルート図をよく読み、現場で形状をよく判断しなければならない。これも経験が大事だが、登ったルートを後で思い出し、テクニカルノートに記すことを今後はお願いしたい。それからマルチはスピードが大事である。日頃からフリークライミングなどでトレーニングを継続させることが必要条件である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

拇岩クライミング〜感想と反省           上田 治                          

 9月に続いて2度目の拇岩クライミング。登攀者が少なく静かなクライミングを楽しめる。その反面、残置ピトンが古く、岩はコケが生えてスリップしやすい。しかし、岩全体は、堅くしっかりしている様子。フリークライミングのテクニックを上達されば、雪彦の岩場と並んで関西の主要なセミ本ちゃんルートとして楽しめる。

 

 2()、ダイレクトルート。下部2ピッチは、大杖さんリード。上部2ピッチを上田が担当。2ピッチ目、セカンドなのでフリーで登り出す。細かいスタンスに足を置いたところ苔でスリップしフォール。同じ箇所で続けて2回もスリップした。A0A1に変えて登る。大杖さん、ナイスビレーをありがとうございました。

 3ピッチ目、リードなのでA1で登る。私のアブミも先のカラビナには、フィフィをつけている。手が届かないとき、フィフィを引っ掛けるようにしていた。アブミの架け替えの時、そのフィフィがカラビナから外れて落ちていった。下に誰もいなかったので問題は起きなかった。雪彦でもフィフィを落としており、今回が2回目。落下防止の良い対策を施せず、そのままにしていた。アブミにフィフィを付けるのは止めることにした。

 フォールとフィフィの件で、集中力が散漫になっていた。4ピッチ目をリードし、終了点でルベルソを忘れてきたことに気付いた。ムンターヒッチで、一人ずつ登ってもらった。ミスを起して動転しない。冷静沈着に登攀を継続できるような精神力を養う必要がある。

 

3()、赤いクラックルート。下部3ピッチは、大杖さんがリード。上部2ピッチを上田が担当。3ピッチ目は、前回、私はルートファインディングを誤り右に入ってしまったところだ。右も決して易しくない(多分X+)のだが、右に行くと登攀は終わってしまうので、エスケープしないのであれば行ってはならない。

今回の反省も、ルートファインディング!5ピッチ目(最終ピッチ)、トラバースしすぎてダイレクトルートの大テラスに出てしまった。V級くらいなので残置ピトンが少ない。ここは、小さなブッシュがあるところを上に登らなければならない。拇岩は、ルートファインディングが難しいが新鮮さがある

 

 

小豆島の感想                   大杖哲司

前回の4年前と同様に橘の神社で泊まった。ここのことはよく覚えている。くすのきの風格ある大木があり心地よいところだ。大切に使いたい。

 初日に登ったダイレクトは3ピッチ目がグレードとしては難しいだろう。でも1ピッチ目はいきなりランナウトするのでリードとしては、1ピッチ目のほうが緊張する。錆付いたハーケンのみなので、タイオフやキャメロットを使用するが、ここで使用したキャメロットは小さすぎたのが反省点である。上で大きなのを使用するかもしれないし、「落ちないだろう」と思って小さいのをセットしてしまった。下にセットしたタイオフや錆付いた残置ハーケンがきちんと効いてくれれば大丈夫かもしれないが落下距離は長くなる。登り始めは特に慎重にするべきだ。時間的に完登できるかどうかわからなかったが間に合った。懸垂下降の終わりごろに夕日が瀬戸内にしずんでいった。爽快感があった。

 二日目の赤いクラックは3ピッチ目の途中で右の稜線に行きたくなる。そこにペツルがあるし、左は手がかりの少ないスラブなので。考えてみると4年前はここで右に行ってしまったことを悟った。だから今回が完登ということになる。

 両ルートともにピッチによってはA0が入った。ここを全部フリーで登れるようにするには、技術向上だけでなく墜落に耐えられるように支点をリボルトすることが必要だ。支点によってはペツルが1本だけ打ってあるが。古いハーケンやリングボルトでは心臓に悪い。でもここは瀬戸内海の眺めがよくて登っていて気分がよい。また訪れたい。