立山 雪上トレーニング山行報告

有元眞理子

 

 

日程:20071122日(木)夜発〜25日(日)予備日なし

目的:雪上トレ 雪山でのテント生活、アイゼンワーク、ピッケルワーク、ビーコン操作、ゾンデニング、フィックス通過など

 

参加者:L、気―有元眞理子、記―清水玲子、装・医―大杖哲司、食―古久保晴男、  会―兼重良三 

行動記録:

11/22 2120JR西宮 集合・出発、2355内津峠PA 休憩(それまでノンストップ!)

11/23 130駒ヶ根PA 仮眠、530起床、朝食(PAの食堂で)、625出発、  

    730豊科,  830扇沢着 荷物整理したり、切符を買うのに並んだため9時のバスは乗れず 930トロリーバス乗車 続いてケーブル乗車 1045 ロープウェイは整理券で順番まちとなる 1115バス乗車 1120室堂着

   1140歩きはじめる1240テント場着 テント設営  1420歩行訓練

   1600天気図 1645夕食準備・夕食・反省会,  2030就寝

11/24 430起床 朝食 600行動開始 円柱テスト、0830稜線に出る、

   920強風、別山小屋裏で休憩 別山方面に少し向かうが、引き返す

   1030だいぶ下る、小休止、1117テント場に帰着 昼食・甘酒・食事用の雪とりにいく・テント近くにトイレ作り 1240ビーコントレーニング(途中から兼重さん合流)ゾンデニング、ワカン歩行 1545終了

   1600天気図 1645夕食準備・夕食・反省会、2030就寝

25 400起床 朝食 テント撤収、625トレーニング開始、900歩き出し

   1005室堂着、1015バス乗車 ロープウェイ ケーブル トロリーバス

   1145扇沢着、1215大町温泉 入浴・昼食、1345大町温泉発 1751 養老

 

 

    例年この連休には年末山行に向けて中アで雪上トレを行っていたが、数年前から年末山行がなくなり、この時期の雪上トレもなくなった。今年はメラピーク登山に向けてのトレーニングを兼ねて会の山行もしようということになった。リーダーをするはずだった朝元は体調不良でしばらく休養だ。有元にリーダーを交替。トレーニングは大杖、清水と行ない、ミーティングも先ずはその3名で行うという変則になった。中アの縦走はメンバーの面識がないことが大きな不安材料となりBC方式になる。又、雪がなくてまともなトレーニングが出来なかった経験、降れば千畳敷カールが心配ということもあり、立山に変更した。

    兼重、古久保とその一週間後にトレを組んだ。兼重の顔は知っているが山へは行った事がない。何より雪山装備が心配だ。3000mの雪山は初めてだそうだから。古久保は新しい登山靴に新しいアイゼンだ。兼重の装備はクロスカントリーをしているので問題なかった。トレの後、ミーティングを行い本ちゃんを迎える。日本列島は寒気に覆われ北日本は大雪だ。室堂も1m以上の積雪だ。雪の心配はなくなった。出発当日、家に帰ると玉井から留守電が入っている。立山から室堂までのバスが雪のため運休だという。扇沢から入ればどうか?というアドバイスだ。扇沢への道を兼重に確認してもらう。

    兼重の8人乗りのステップワゴンで出発だ。玉井が装備の受け渡しがてら見送りに。

   玉井2日後にタイへクライミングに出発する。5人の人間と荷物で車はいっぱいだ。有元は日頃の睡眠不足解消の為に即、睡眠モードに入る。1ピッチで気が付けば養老も多賀も過ぎて内津峠だ。兼重は一体何キロで走ったんだ?古久保に運転を交替。「あぶない!!」という声で目が覚める。目の前にトラックが。よく分からないが左後ろから追い越されたようだ。しばらくして今度は乗用車がやはり同じように追い越して前に入って来る。走行車線に入ってゆっくり走ろうと声を掛ける。すると今度はクラクションを鳴らされる。ラインを超えていたんだ。早めに運転を交替しようと次のSAで止まる。本人は眠たいわけではないというが。いつもは9時に寝ているそうだから眠たかったのかもしれない。事故にならなくて良かった。扇沢まで行く予定だったが、駒ヶ岳SAで仮眠することにする。4.5人用テントなので荷物が無ければ5人でも眠れると思ったが、大杖が自分は狭くて眠れない、5人寝るなら外で寝るなんて無茶を言う。兼重はそれを聞いてか車で寝ることになる。月が明るく暖かだった。

 

23日、430起床。SAで食事を摂り出発。お天気はいい。途中コンビニに寄って地図をコピーする。扇沢駐車場は車がいっぱいだ。スキーヤーが多い。先ずはトロリーバスだ。チケットを買うのに並ばないといけない。清水と大杖に任せて乗り場へ移動する。そこで兼重がザックの蓋のストラップのソケットが片方、効かなくなったという。見てみると変形している。蓋が閉まらないではシャレにもならない。ザックの内側を押さえるストラップのソケットをはずして付け替え急場をしのぐ。最近購入したヨーロッパの有名メーカーのザックだが、このメーカーはとにかくトラブルが多

 

ロープウェイ展望台からの立山方面

 

い。交換してもらい、と念を押す。ザックの蓋が出来ないなんて遭難騒ぎだぞ。秤があったのでザックを乗っけると兼重のは26sもある。有元はあとからスノバーやバイルを足したので25sになったが、大体みんな23s足らずで収まっているはずなんだが。少し荷物を取って配分する。次がケーブルで黒部ダムの上を歩いてロープウェイに乗り最後は又トロリーバスだ。いちいちチケットをチェックするのと荷物代が別なのが面倒だ。ロープウエィは待ち時間が長いので展望台に出て景色を眺める。ここで降りて登る登山者もいる。雪が多くて大変そう。トレースも見当たらない。室堂に着いたのは1130。朝が早かったのでここで食事にする。これだけスキーヤーが多ければラッセルは無いだろう。一安心だ。

 

いいお天気で気分いい。が、兼重の調子が悪そう、と言っても普段を知らないので様子を見るしかない。高所は経験があるから問題ないはずだし、体力もあると聞いている。歩幅が大きいのでスリップしている。ザックは荷物を分けたから23s程度と思うが。よく踏まれたトレースのお陰で夏より楽にテン場に到着だ。テン場にはテントが結構並んでいる。色とりどりできれいだ。大杖がテン場跡にテントを張ろうとするので、今回はそれもトレーニングということで、整地から始める。雪がフカフカで整地に時間がかかる。暖かくて風もないのでゆっくりテント設営のトレーニングをする。特に張り綱の

 

雷鳥荘前 ここからテン場へ下る

 

結びをきっちり行う。あんまり丁寧にテントを張ったので、天気図まで1時間ちょっとしか時間がなくなってしまった。つぼ足での歩行を練習する。円柱テストもしてみる。新雪としまり雪だ。

1530にはテントに戻り天気図を作成する。兼重と古久保はなぜか手間取り天気図作成はパス。今日は高気圧に覆われて晴れ。明日は低気圧が近づいているが、まだ遠い。そんなに崩れないだろう。夕食は大山でおいしかった回鍋肉。他の3名は初めてだ。アルコールはなんと大杖が少し持って来ただけ。ビールは寒いだろうと思って持って来なかった。夜、トイレに行くが困った。月明かりで何処もかしこも明るくて隠れるところが無い。清水は感激している。有元も御岳で月明かりが雪に反射して昼間のように明るい景色にびっくりしたことがある。そのときは他のパーティーがいなかったので良かったんだが。明け方少し冷えた。

 

反省会記録

有元:立山からのバスが不通となり、室堂ルートになったので予定より時間がかかったが、テント場までは早く来れた。では今日の感想などを。

兼重:冬山テント泊で、装備がごつくなるのは大変。初めてのことを色々と教えてもらえて勉強になる。一度には頭に入らないが、例えばビーコンの使い方など、今度雪崩講習会に参加するので、その前に実際に雪山で体験できるのはよかったと思う。

清水:来る前は、大雪の話もあり、実は最悪の状況を予想して少しブルーになっていた。雪が多くて進めないのでは、とか、寒すぎて眠れないのでは、視界ゼロではないかと。しかし、天気がよくて、とてもきれいな景色で、感動しました。

古久保:天気がよいので、明日からの冷え込みが心配。冬用登山靴がまだなじまない。歩きにくいということではないが、皮が硬いところが気になる。

大杖:ラッセルを予想していたのに、あまりにも快適な状況で拍子抜けした。最初の冬山にしては、条件がよすぎる。こんなことは稀であるとわかってほしい。冬山でこんなにのんびりテントをはったのは初めて。これが普通と思わないほうがいい。

有元:今回はトレーニングが目的なので、できることをしていきましょう。アイゼントレや、フィックス通過、円柱の弱層テストなど。ピークハントが目的ではない。

 

    24日、夕べはお月さんがあんなにきれいだったのに、今朝は黒い雲が出ている。まあ、仕方ないな。条件が良ければ縦走。アイゼントレが出来ていないので、別山の周辺でアイゼントレをして、様子を見てから決めることにする。その前に弱層テストだ。結構しっかりしている。1ピッチ歩かないうちに汗だくに。1枚、2枚上着を脱ぐ。いつまでお天気が持つのか?兼重は荷物が軽い今日も調子が出ないようだ。呼吸と足を出すタイミングが合っていない。足が止まる原因がこれかどうかは分からない。腹式呼吸は高所トレッキングでマスターしているはずなんだが。中々うまく行かない。御前手前で風が強くなる。御前小屋に着くとすごい風。ここは大抵こういう状況だ。しかし幸いなことに、今日は裏に回ると風はない。ここで休憩。アイゼンを着ける。兼重、古久保は直ぐにミトンをはずして作業する。こんな条件のいい時にこそ時間がかかってもいいから練習しておくことだと何度言ったことか。吹雪ならそんな悠長なことやってられないんだから。慣れ慣れ。厚手の手袋を濡らすと凍傷になっちゃうぞ。どうしても無理なら薄手のインナー手袋になって素早く装着して濡れたインナーは乾いた物に交換する。それでも、吹雪のときは履き替えで手が濡れてしまうので、私はオーバーミトンをはずしたくない。剣方面は残念ながら視界が悪い。そんな中でも山スキーヤーは剣沢へ滑って行く。私達は別山目指して出発だ。稜線に出ると風が強くなる。兼重のスピードがますます上がらない。立ち止ることも。目から涙が出ると言う。雪粒でも入ったのかと言うが、そうでもないらしい。ゆっくりでいいから止まらないようにいうのだが。向こうから登山者がやってくる。この時間だから縦走は無いだろう。やはり引きかえして来たという。風が強くてちょっと地吹雪状態だ。もう少し行けば風で雪が飛んでしまって問題なくなるんだが。どうも縦走は無理っぽいし、強風下でのアイゼントレは兼重には無理なようだ。なんか体調がおかしい。戻るか?と聞くと、そうしたいという返事だ。テン場までの下りも結構長いからな。先行する3人に追い付き戻ることを伝える。下でも何かのトレーニングは出来るんだから。御前にはびっくりするほど多くのボードやスキーヤーが集まっている。そして下りでも多くのスキーヤーとすれ違う。兼重は下りになってもペースが上らない。風は少し下ると弱くなった。体が動かないという。自分でもこんなことは初めてで、理由は分からないということだ。先に行ってくれとも言う。それは絶対にダメだ。特にヒマラヤでは、しんどい時こそ絶対に先に行ってと言ってはいけないし、言われても、一人にしたらダメだ。そこで座り込んでしまったらおしまいだよと繰り返し言う。

スキーヤーが行列で登って来るので、大杖がトレースのない斜面を下り始めた。兼重の足が止まってしまった。足が出ないと言う。大杖を呼んでステップを切ってもらう。バックステップで下る。足元が本当に危ういな、と思いつつ、自分は左斜め下に下ろうとしてスリップした。ピッケルは山側の左手に持っていて、直ぐにピックが刺さった。アイゼンも蹴りこんで直ぐに止まるだろうと思ったが、雪が深いからか、なかなか止まらない。なんで止まらんの、ヤッバッ、と独り言を言う。アイゼンを蹴りこみ直すがまだ止まらん。ピックを抜いて滑落停止の姿勢を取ろうか?しかしそれだとスピードが出そうだし、キャーって声を出してみる。と、スキーヤーの男性が構えていて腕をつかんで止めて呉れた。清水さんも側にいて、身体を支えてくれた。アイゼンを蹴り込んで立ち上がった。大丈夫ですか?とその男性。まだ、私の腕をつかんでいた。大丈夫です、有難う。と言って、パーティに戻った。みんなびっくりしただろう。立ち止まったままの大杖に、どうしたん?ええよ、と声を掛ける。数メートル下にはブッシュが出ていたが、その下は切れ落ちていた。あのブッシュで止まったかな?片腕やからなあ。無理やったかもね。アイゼンが引っ掛かって止まったか?頭が下になったか?雪は柔らかめなんだがあの部分だけが堅くなっていたんだ。テン場が見えてきた。もうちょっとやのにな、と兼重。辛そうだ。ちょっと平らなところで休憩だ。お天気はまだ持ってる。ラッキーだ。ここで兼重のザックを取る。橋を渡ると少しだが登りになる。兼重は最後の力を振り絞っているという感じだ。私達は甘酒を楽しみにしていたんだが、食欲が無いし頭も少し痛いという。ヘルメットやヘッドランプが頭を締め付ける感じだそうだ。兼重はとりあえずテントの中で休みたいという。眠るならシュラフに入るように言うが、ダウンを来て腰を下ろすだけにするそうだ。高度障害なら横にならない方がいいから。

 残りのメンバーは歩行訓練、その間にビーコンの訓練の為に大杖にビーコンを穴に埋めてもらう。ピンポイントが中々難しい。ビーコンをくるくる回してしまう。上下にも動かしてしまう。2回目だったか、いざ捜索開始と言う時に、大杖が埋めたビーコンのスイッチを入れるのを忘れたという。確かに?と確認すると、一旦スイッチを切ったと言う、うっそ!!まあいいや。大体場所を覚えてるんだろう。スコップで掘ってみるが出てこない。じゃ、ゾンデの練習したらいいやん。ちょっと相手が小さいから細かくやらないといけないけど。4人で真剣にゾンデニングを行う。ビーコンはアイゼンの袋に入れている。深さは1mと分かっている。この情報は重要だ。雪は2m程積もっていてゾンデの先には土が着く。もうそろそろ場所を変えてみようか?と言っていたら、あった!!この感触。大正解。よーかった。再度気を取り直して練習開始。テントに兼重の様子を見に行く。だいぶ元気になったというので、ビーコンやってるから来ないか?と誘う。最後は2mの深さだ。ピンポイントがはずれるとなかなか難しい。そんなに深く埋まっているわけが無いという思い込み。これがどうしても抜けない。ビーコンを信じるしかない。兼重は折角だからと、又、大杖がビーコンを埋めている。3人はワカンの練習に移る。清水は履き方もうろ覚え。斜面を上り下りする。その後、つぼ足で同じ斜面を歩いてみて、ワカンとの違いを実感。これで今日はタイムアップ。気象の時間となる。夕食は肉鍋。隣のテントは遅くまで楽しそうにお喋りをしていたが、ちょっと声が大きいだろう。

 

反省会記録

有元:別山まで行こうとしたが、兼重の調子が悪く引き返した。しかし、天気がもったので、いろいろトレーニングできた1日でした。では各自の反省を。

兼重:体力不足・体調不良でご迷惑をかけて申し訳ない。おそらく、明日も尾をひくと思う。まだ本調子ではない。(歩いているとき頭痛があり、テントに戻ってからも胸が気持ち悪かった)しかし、勉強することがたくさんあり、身になる山

 

何を見てるんかな?無事で良かった

 

行だった。普段はハイキングの会なので、内容が違って当然の部分もあるが、気象(天気図)など、頭に入れてするのは素晴らしいと感じ、自分も知識を身につけていきたい。他の会のいいところは素直な気持ちで取り入れていきたい。朝元さん、古久保さんを介したメラのメンバーとの新しい出会いに感謝。

清水:1日天気がよく、素晴らしい景色で、歩いていて景色にはげまされた。稜線上の強風は迫力があった。腹式呼吸や、立ち止まらない歩みのペースを教えてもらい、意識できている間は楽だったが、下る途中、無意識に忘れていると、息が乱れた。降りてきてからも、ワカン歩行、ゾンデニング、ビーコンなど盛りだくさんの体験ができてよかった。

古久保:オーバーミトンでの作業はやはり難しい。ビーコンもゾンデも、やったことがなかったので勉強させてもらった。冬山でこんなにいい天気が2日も続くのは初めて。暖かい。

大杖:あの風が体験できてよかった。あれがなかったら、天気がよくのんびりで、冬山に来たという感じがなかった。

有元:古久保さんは、物の出し入れに手間取っている感じ。何をどこに入れるか決めたり、いつ何がいるのかイメージしてパッキングする必要あり。兼重さんは、昨日荷物が重かったことと、寝不足が今日の体調不良の原因ではないか。結果的に、早くに引き返してよかったが、調子が悪い時はもう少し早めに言ってほしい。

大杖:もう少し上でアイゼントレしたい気持ちは確かにあったが、あのスピードなら縦走を決行しないほうがいいと感じていた。

有元:「みんなに悪いから」と遠慮して言わなかったのだと思うが、その後もっと調子が悪くなって動けなくなったり、天候が急変すれば、もっとみんなに迷惑がかかる。遠慮せず言うこと。また、周りの人間もわかってあげる必要あり。今回はお互いに初めてのパーティだったので、「いつもより食欲ないな、おかしいな」とか「歩き方がいつもと違うな」ということが分かりにくい。

大杖:有元さんの滑落について、状況を整理しておきたい。

有元:スキーヤーが多かったので、トレースのない斜面を降りた場面。先行の大杖に続く3人はバックステップで降りた。そこを斜め下に降りようとした。ピッケルは左手(山側)に持ち、アイゼンもきいていた。詳しくは覚えていないが、山側の足がすべり、ゆっくり落ちていった。ピックをさしたが止まらず、アイゼンを蹴りこんだが雪がやわらかくて止まらなかった。そこで声を出してみた。近くにいたスキーヤーが止めてくれた。あの場所だけ雪質が変わっていた。表面はやわらかく、中が堅かった。

大杖:「落ちた」という別の男の人の声で気づいたが、有元さんの声をパーティのメンバーは聞いていない。

 

大杖、古久保がすぐ下で待ち構えたので、スキーヤーがいなくても止められたとは思うが大声を出すべき。

    

25日、600出発を目標に400起床。ちょっと無理かも。暖かいとは言ってもテントのなかは霜だらけ。朝食はラーメン。お湯を沸かすだけで結構時間がかかる。最後のお茶の時に、大杖が食器のお茶をこぼして右手にかかってしまった。だいぶ大量にこぼしたが他は大丈夫だった。雪で冷やすように言う。流水が一番いいんだが仕方ない。このアクシデントで、ちょっとペースダウンする。火傷は大したこと無いようだが、冷やすところが少しずれて水泡が出来たところもある。水泡を破らないように気をつけないと。満腹の朝食を終えてテント撤収だ。張り綱はみんなうまく解けた。それでも結局出発は30分遅れになった。暖かくてアイゼントレは出来そうにない。時間も余りないので、予定通りフィックス通過の練習をする。その前に弱層テストだ。その前にビーコンチェックは?と清水。おっと、そうだった。出発時にするべきだったんだ。忘れていた。大きなミスだ。大杖は仕舞い込んでいる。古久保はスイッチを切ったまま。なんてこった!!テストは腕で剥がれる弱層がある。スノバーをセルフの支点として、あとはブッシュで支点を取りザイルを固定する。兼重、古久保は先週やったばかり。清水は去年の雪彦以来?きれいさっぱり忘れている。ビレーループ????フリクションノット????まあ、そんなもんだろ。古久保、またまた、ザックの奥から何かを取り出そうとしている。3人が登って下って時間切れだ。兼重は予定のバスに乗り遅れるといけないので、余裕を持って出発したいと昨日から言っていた。雷鳥ヒュッテまでの登りがちょっときつい。ゆっくり歩き呼吸をしっかり。登り終えて一安心。みんなで写真を撮ってもらう。今日もお天気はいい。室堂に着くと丁度トロリーバスが出るところ。大急ぎで準備して2本早いのに乗れた。まだ、みんな帰らないのか、それほど混んではいない。ケーブルの待ち時間来なくスムーズに扇沢に着く。大町の温泉に寄って、そこで昼も食べてしまう。

 

反省会記録

有元:今日はフィックス通過トレーニングをした。当初予定していて実施できなかったのはアイゼントレ。では、今日の反省と、3日間全体の感想などを。

兼重:今回は、身のある記念になった山行だった。色々なことを勉強して、まだすべてが身についたわけではないが、少しでも自分の会の活動にも役立つようにやろうと思っています。今後もご指導をよろしくお願いします。

 

 

下山日 雷鳥荘への登りで

 

清水:フィックス通過のトレーニングは1年以上ぶりで、うろ覚えで戸惑った。ビレイループ、オートブロックなど用語も忘れていた。室堂に戻る登りでは、荷物が重くても腹式呼吸やペースの安定で楽に歩けることが少し実感できた。今回の山行ではいろいろ自分の課題も見えたが、とにかく天候に恵まれ、楽しかった!!です。

古久保:セルフビレイなど、初めての体験だった。昔は若さにまかせて登っていた。オーバーグローブについて、ミトンを使っていたが、作業がしにくく、5本指がいいかとも思う。シュラフもメラピークに向けて厳冬期用を買うべきか、など装備のことを考えていた。本番に向けて装備点検など一からやっていかなければ。そういう意味で、今回は冬用登山靴、アイゼンを試すことができ、よかった。

大杖:個人的には4回目の雪の立山になるかと思うが、3日間の快晴は初めてで、十分楽しめました。昨夜のやけどは、すぐに冷やしきれなかった部分が水泡になっていた。

有元:天気に恵まれ、目的のトレーニングが実施できてよかった。テント、ペグの撤収もスムーズであった。今朝の行動前のビーコンチェックを忘れたのは失敗。

兼重:最後に、行きの車でのヒヤリ事例に触れておきたい。眠いと思っていなくても疲れもあり、夜間の運転は注意必要。「いま運転できるか」などお互いに言いやすい雰囲気や、シートベルト、休憩などの徹底が必要。

 

かんそう

古久保晴男

冬山の空は、鉛色に曇り何時天候が崩れるかと思うのであるが、今回は、五月晴れのような晴天で雲ひとつ無く日が照りつけ汗をかく。このような、冬山は、初めてである。

おかげで、大日岳はじめ立山連峰の白い峰峰その上には、スカイブルーの空。

室堂駅から一歩外へ出ると一面銀世界、今年は最初の雪面に新調の靴で一歩だ、キュッキュュと雪が泣く、心地よい感触だ、だが、天気が良すぎて、初冬期の様な感じがしない。

2日目アイゼンワークかねて別山を目指して大日岳、剣御前稜線から別山を目指して登る。稜線から雄大な剣岳、遠く槍が岳展望でき素晴らしい眺めだ。剣御前手前からやっと冬山やしく冷たい強風にさらされ冬山に来た感じがした。

今回は、雪上トレーニングが目的。雪山でのテント生活、二人用の狭いテントの中で荷物の出し入れ、パッキング等交互に行わなければいけないので時間がかかった。

ビーコン操作、ゾンデニング、真剣であった。何でかビーコン操作訓練しているときに埋めてあったビーコンのスイッチを入れ忘れため必死で捜査したからである。

フィックス通過訓練 昔は、若さに、ませて行け行けムードで登っていたが、今回の訓練でビレイループ、オートブロック等の訓練をしたことは、有意義で実りある冬山合宿であった。

 

兼重良三

3泊4日があっという間に終わり、本当に充実した山行でした。感謝、感謝です。特に明昭では経験出来ない様なビーコン操作はじめ、雪崩関係のトレーニングは身のある内容で勉強になりました。さて、本題の反省点ですが既に日々の反省会で申し上げていますので重複しますが列記しますと下記の様な点である。

@     理由はどうあれ、遅れて4名の方に迷惑を掛けたことである。

A     行動食の量及び内容誤りのため、ボッカが他の人より重くなった点である。

B     オーバーミトンを着用しての作業の未熟さ。

C     新調したリュックの選定誤り。(11/28コウジツで他のメーカーのリュックと交換した。)

D     体調不良の為、ゾンデニングの経験が出来なかった点である。

 

今回の経験を自分だけで止めるのではなく、少しでも会に役立つように取組んで行こうと考えておりますので、これを機会に今後ともご指導の程宜しくお願い致します。

 

清水玲子

 初めての11月の雪山。出発前、天気予報が悪く、少しブルーになっていた。「いきなりラッセルかも。」…。仕事が立て込んでいる時期で、体力的に荷物が重いことも心配だった。出発2時間前、同じ日程で立山山行を計画していた大阪の友人から、「立山からのバスが不通なので、私たちは中止です。そちらは

 

これはだれ?充実した3日間を振り返る

 

決行?」のメールが入り、びっくりして有元さんに電話したら、「扇沢からに変更して、決行」の返事。よかった。ザック一式、京橋のコインロッカーに朝、入れておいたかいがあった。

 

 兼重さんの快適な車のお世話になり、出発。駒ヶ根PAでの初めてのテント泊。あったかい天ぷらそばを食べて、扇沢に8時半着。駐車場は車で満杯。チケット売り場も行列で、バスに乗り込めたのは9時半。ロープウェイの順番待ちなどで室堂着が11時すぎ。軽く昼食をして出発。まず、山スキー・スノーボードの人の多さにびっくり。若い人も、ベテラン風も。見ていると、羨ましい…。が、一式揃えるのは大変だ。

空は青く、雄山・浄土山は夏とは全然違う表情で、光っている。踏み跡があり、歩きにくくはないが、久々の冬靴で足首がふらつく。快晴すぎて、汗が出てくる。雷鳥平は初めてで、夏と風景を比べることもできないが、色とりどりのテントが見えてきた。1時間ほどで到着。設営地を決め、5人で肩を組み、雪を均していく。テント設営も、昨年の武奈のときよりスムーズだった。でも、私がポールのかけ方を間違えて、スミマセンでした。少し歩行訓練をした後、天気図を書く。続くラジオのトップニュースが、十勝の雪崩事故で、一瞬シーンとなる。今一番聞きたくないニュース。けれど、夕食の回鍋肉は美味しかった!幸せでした。

夜は満月に近い月明かりが雪を照らし、外の方がテントの中より明るいくらい。山のシルエットもくっきり映え、美しい…が、トイレに困る。見とれてしまい、テントに入るのが惜しかった。

 

2日目は、4時半起床。2時ごろ冷え込んで寝返りを繰り返したが、結構寝れた。雪柱検査をして出発。荷物は軽いが、足が時々深く沈み、姿勢を崩して息が乱れる。「腹式呼吸」がいいと聞き、「スー」「ハ〜」をこころがける。確かに、ペースを守ると歩きやすい。一歩一歩は小さくても、確実に高度が上がる。テント場が小さくなり、さっきまで見えなかった遠くの峰が見えてくる。その姿にはげまされた。小屋が近づくと、強風。フードと、ゴーグルの存在がありがたい。大杖さんに耐風姿勢を教えてもらう。体を少し傾けるだけで、ザックへの風の当たり方が変わり、楽になったりつらくなったりする。荷物が重いともっと大変だろう。他のパーティの人も引き返して来、上はもっと厳しかったようだ。風のとぎれめに一瞬見えた剣岳が、迫力だった。

ビーコン・ゾンデ実習もでき、何より「見たことのない新雪・雪山の大パノラマ」の中に身をおけたことが、とても嬉しい3日間でした。もっとトレーニングしたいなと思いました。パーティのみなさん、ありがとうございました。