浪花百景乃内
自安寺
妙見宮
朝参の圖
貞信筆
自安寺は道頓
堀の南にありて此
寺中の妙見宮はその
霊験著明しく 江南の繁
花につれて昼夜詣人
絶えず就中衆愛を願
わんとて俳優および娼妓の
輩 信仰なすこと朝まだ
起より夜は更る迄柾下
駄の音絶る閑なく
線香のけふりは
壇上の荘厳
を覆ひ
奉納の提
灯は贔屓
贔屓の顔に
輝く月々午の日の
群参いわんかたなし
其みな妙見の
二字によるもの
ならん哉