エ ッ セ イ


−何ゆえに保険は必要か−


 結婚して二年が過ぎた。気付いてみれば、妻と娘の三人になっていた。独身のときに考えた「夫」や「父親」になるという『想い』を感じるより、現実の方が数段早く、目の前に現われたような気がする。

 家族を持ってようやく責任を感じ始めた。その責任の究極はやはり、食べさせていくということに尽きる。それは、私が元気にいるときも、病んでいるときも、また死に至った後にも、存在すべき責任である。それゆえとるべき行動は、保険ということになる。

 しかし、ここに一つ問題が生じる。もし、私よりも妻の方が先に天へ昇ることになったならば、私は多額な自宅のローンと子供を抱え、大変な困難を強いられる結果となる。妻の保険は、家族特約のみである。しかし妻は「それで十分、掛け金のことを考えてみなさい」と主張する。私は必死に「もし、あなたにもしものことがあれば、私は再婚しなければならない。それには女性とデートし、粋なバーなどへ連れていき、気に入ってもらう必要がある。それでなくても「おやじ」「子持ち」と分が悪い。せめて多少のお金ぐらいは持っていないと、相手にもされなくなる。だから、せめてローンを払いながらもデートぐらいはできる保険金が欲しい」と説得した。妻は余計に反対したが、何度となく不安を訴える私を見て、数日後しぶしぶ承諾してくれた。

 今日も私はこう思う。保険というものは、それぞれの立場によって、その時々に必要になってくるもの。もしもの場合の次善策を考える基礎として、妻の視線を感じながらも、大事なものだと思うしだいである。



 


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